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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百七十四話 新しいお店

新年明けましておめでとうございます。

皆様にとって、良い一年に成りますように。

「ギンジローちゃんおはよー。今日はアレなんでしょ? あとで見に行くから」



 今日もクラーラさんの笑顔に癒されつつ、ハリーとエデルと一緒にモーニングハンバーグを注文した銀次郎。

クラーラさんは、銀次郎が関係しているヴェリーヌさんの新しい果実水のお店が完成するので、その様子を見学しにきてくれるそうだ。




「真ん中にナイフを入れて溢れ出てきた肉汁とソースを揚げたジャガイモに吸わせつつ、肉厚に切ったハンバーグを口の中に放り込む。ギンジローってフライドポテトの付け合わせの時は、いつもそうやって食べてるよね?」



 モーニングハンバーグが届いたのでたべていると、隣に座るハリーにフライドポテトを肉汁とソースをたっぷりと吸わせて、一番最後にたべる癖を指摘される銀次郎。

本当は少し硬めに炊いた白いごはんを、鉄板の上で焼き飯に育てつつ、ハンバーグと白いごはんを交互にたべて、最後に焼き飯で〆るのが好きなんだけどなぁ。



 親友には本当の事を言いたいけど、お米をマインツで見た事がない。

どう伝えようか悩んでいると、エデルがフライドポテトを一つ分けてくれた。

エデルは優しい奴だな。



「ウチらは大聖堂が終わったら、顔を出しに行くから」



 モーニングを終えた三人は、後でまた会う約束をしてハングリーベアーを出るのであった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「エルヴィスと一緒に、これから商談に行ってきます」



 エルヴィスを迎えに行った銀次郎。

ヴェリーヌさんと深い関係? のエルヴィスを、これから一緒に商談があるとお母さんに言って連れ出した。

だってそうしないと、お母さんに老舗の高級羊羹を請求されるからね。

お母さんは疑いの目で見てきたが、振り切るように店を出た銀次郎とエルヴィス。



「また頼むなギンジロー」



 朝から仕事をサボれるエルヴィスは、口笛を吹きながら歩いていてご機嫌だ。

行き道には蝶々がふわりふわりと飛んでおり、ほっこりとする二人だった。



 ヴェリーヌさんの新しいお店に着くと、カールさんとユルゲンさん、そしてユルゲンさんの息子さんで大工の棟梁のハーゲンさんと、そのお弟子さん達が準備を進めていた。

銀次郎は挨拶をして今日の工程を確認した後、時間をもらってハーゲンさんと話をする。



「養鶏場の増築工事ありがとうございました。この後、従業員の家の方をお願いします。木材はカールさんに手配してもらって下さい。費用は全てマインツ家で支払いますので」



「こっちとしてもありがてぇ話だからな。それで家はいくつ建てりゃ良いんだ?」



「実はまだ正確な数は決まっていなくて。今度大聖堂で説明会を実施するので、そこに立ち会ってもらえますか? それに広場や公衆トイレ、後は食堂も建てて欲しいので」



「そりゃ景気が良いな。冬になって雪が降る前には終わらせてぇから、他の大工も使って良いか? ウチの大工は六人しかいねえからな」



 ハーゲンさんにお願いしていると、ヴェリーヌさんと従業員の二人、そしてエミリアもやってきた。



「今日はよろしくお願いします」



 一人ひとりに挨拶をするヴェリーヌさん。

大工のお弟子さん達も通うお店だったので、ヴェリーヌさんとは顔見知りだった。

さてまずは内装から仕上げていきましょう。



 店の中は広々としていて、今のお店より多くのお客さんが利用できる様にした。

今まで通り立ち飲みスタイルで、果実水を飲んだらコップはセルフで返却口に戻してもらう。

ヴェリーヌさんのお店で一番大変だったのは洗い物だ。



 そこで登場するのが、親方に作ってもらった食器洗浄の魔道具。

なんと洗剤や水を使わず、強力なクリーンの魔法で食器が洗浄される。



「ここに食器を並べて蓋をした後このボタンを押して下さい」



 ヴェリーヌさんに食器洗浄を試してもらう。



「ここを押せば良いのね」



 ヴェリーヌさんがボタンを押すが、特に音がする訳でも光る訳でもない。



「蓋を開けて確かめてみて下さい」



 食器洗浄器の中には、綺麗になったカップやグラスが並んでいた。



「えっ本当?」



 ベティーさんとカロリーナさんと一緒にカップを確かめるが、手洗いするより綺麗になっていて驚いている。



「これ親方作ったの?」



「そうだよ。親方が作った魔道具は他にもあるから」



 エミリアに伝えて、次にガラス製のドリンクサーバーの魔道具を取り出す。



「これは透明なガラス製のドリンクサーバーです。温度調整機能があり、果実水を冷やす事が出来ます。綺麗で見栄え良いでしょ? 水を温める事も出来ますので、紅茶を淹れる時にも使って下さい」



 ヴェリーヌさんが今すぐ使いたがっていたが、カールさんに魔道具を設置してもらってから試してもらう様にお願いする。



「これが照明の魔道具と、こっちは冷蔵のディスプレイですね。照明の魔道具は今のお店でもあるので大丈夫だと思いますが、冷蔵のディスプレイは、はちみつレモンや、冷やしたい果物があれば使って下さいと伝える。

持ち帰り専用の販売口と棚や小物入れ、倉庫や休憩室に冬用の暖炉の説明も終えた。



「冷たい空気が流れて来るなんて不思議ね。良いのかしらギンジローさん。どう考えても高価でしょ?」



 心配するヴェリーヌさんに、約束通りお金はマインツ家が出している事。

今後、銀次郎もお店を出していくにあたり、参考にさせてもらう為の投資ですよと伝え安心してもらう。



 照明の魔道具と冷蔵のディスプレイを取り付けてもらい、店内は営業に使う備品を搬入して掃除をすれば完成だ。



「こりゃ凄え店になりそうだな。この歳になってこんな事に携わる事ができて俺は嬉しいぜ。ギンジロー、用意は出来てるから最後の仕上げと行くか」



 ユルゲンさんに声を掛けられ、最後の仕上げガラス窓に取り掛かる。



「表通りに面している部分は、全部ガラス窓にしました。透明なガラスなので見通しが良くなり、店内が広く感じると思います。陽の光も取り入れる事が出来ますし、眩しい場合はシャッター降ろして下さい。上のガラス窓は開きますので、換気も大丈夫ですから。あとこのガラス窓は、防犯と自動洗浄の魔法が付与されているので、割られて泥棒が入る事もなくいつでも綺麗な状態です」



 銀次郎がサラッと伝えると、ヴェリーヌさんだけではなく、カールさんやユルゲンさん、ハーゲンさん達も驚いて動きが止まる。

エルヴィスだけが、ガラス窓を触ってウチの店にも欲しいなとおねだり。

チワワみたいにウルウルとした瞳で見つめられても、ダメだからね。

こうしてヴェリーヌさんの新しい果実水のお店は、完成したのであった。

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