第百七十二話 ネグリジェ
遅くなり申し訳ございません。
そして誤字脱字報告いつもありがとうございます。
文字数が多くなったので二話に分けています。
下着関係の話が出ておりますので、もし不快に感じられる方はスルーして下さい。
「仕事以外での接触は禁止よ。セバス、契約に追加しておいて」
エルザさんの許しを得てシャーリーさんはメイド仕事の他に、コーエンさんの下で美容関係の仕事をする事になった。
自分がシャーリーさんを推したのでエルザさんが勘ぐって釘を刺したが、下心はこれっぽっちも無いですからね。
さて……エルザさんが来て空気が変わってしまった。
エルザさんの買い物が終わらない限り、メイドさん達が買える訳がないので特別な商品を案内する。
「エルザさんの好きなブランドのバスローブとタオル、そしてネグリジェをご用意致しました。最高の生地を使いながら、極限まで無駄を省く事によって、圧倒的な存在感を生み出しています」
商品を見てもらう為に広げていくと、エルザさんが真っ赤な顔をしてネグリジェを掴む。
「な……何を見せてるの!?」
「えっ? あ……あぁ……」
ネグリジェに過剰な反応を見せるエルザさん。
テッカテカでスッべスベのネグリジェは、異世界では過激なのかもしれない。
「なんかすみません」
「いえ……驚いただけよ。早くしまって、それ頂くから。後はコーエンお願いね」
エルザさんは足早に部屋を出て行ってしまった。
さらに変な空気になってしまったが、心配しているメイドさんに声をかけて販売を再開。
それぞれ気に入った物を購入した後は、いつもの仲の良い門番さんがニコニコしながら部屋に入ってきた。
「お邪魔します。今日は非番の者しか来れませんでしたが、皆の分も任されていますので、何がオススメか教えてもらえますか?」
「あっどうも。今日は休みだったのですね。あちらに試食がありますので、紅茶でも飲みながら話をしましょう」
「ほっほっほ。それではお呼ばれしますかね」
紅茶を淹れてお菓子を試食してもらう。
門番さん達とは中々話が出来ないが、今日は非番だって言ってたからゆっくり話ができる。
いつも笑顔で迎え入れてくれて感謝している事を伝える。
「私の妻と子供がギンジロー様に会いたいと言っておりましてね。差し入れてくれた飴やお菓子を家に持って帰ると、こんな気遣いが出来る方は、きっと素敵な人なんだろうなって」
なんか嬉しいな。
封を開けていないカンカンのクッキーを渡して、サービスしちゃう銀次郎だった。
門番さんは、仲間達の分も含めてたくさんの商品を購入してくれた。
次は庭師や御者に従僕などの裏方さん達。
セバスチャンから話を聞いて紅茶や緑茶、後はお菓子をまとめて購入。
異世界では紅茶は高価だが、品質の高いものが安く購入できると喜んでくれた。
コーヒーに関しては苦味が強く、砂糖を入れれば飲めるが高価なので飲む人は少ないらしい。
ただハマった人もいるので、その何人かはコーヒーセットを購入してくれた。
個人的にはコーヒーは命の飲み物と思っているので、今度一緒に飲みましょうと伝える銀次郎。
「俺たちで最後だな。坊主、採ってきたぞ」
オリバーに渡されたのは、カゴに入った山盛りのトリュフ。
「オリバー本当にいいの? これってとても貴重で高級品なんだよ?」
「裏の山に行けばいくらでも採れるからな。坊主これはいくらで売ってくれるんだ?」
オリバーが手にしたのはカンカンのクッキー。
メイドさん達が騒いでいたから気になったらしい。
「クッキーは日持ちしますけど、やっぱり作りたてが一番おいしいですよ。前に作ったシフォンケーキより簡単だから、今度一緒に作りますか?」
「それは助かる。そいつと交換でクッキーの材料を仕入れてくれ」
「クッキーの材料って安いよ? トリュフと交換だと大変な量になるけどいい?」
「お菓子作りはほとんど経験がねぇから、他にも俺たちで作れそうな物があればその材料も一緒に頼むわ」
オリバーと約束して、その後は若い料理人達の注文を受ける銀次郎とミリア。
なんかミリアにばっかり質問してない?
気持ちはわかるけどノーチャンスですよ君たち。
一通り販売を終えて片付けに入ろうとした時、メイド長のコーエンさんから話があった。
「あのネグリジェという衣服について、詳しく教えてもらえますか?」
そんなこと言われても売れるかなってだけで選んだし……
「えーっと……ネグリジェは女性が寝る時に着る服で、下着っぽいですけど大人の寝間着となります。他には故郷で人気のあるモコモコふわふわなパジャマ、後は大胆なベビードールも用意していますけど見ますか?」
あなたにおすすめの商品に表示されて、ノリでポチった商品をアイテムボックスから取り出す銀次郎。
「こ……これは……」
淡い桜色のベビードールを掴んだまま、顔が赤くなるコーエンさん。
その顔色はベビードールより濃い色になっている。
隣にいたミリアも顔が真っ赤だ。
「すみません。ノリで仕入れちゃったんですが、そちらは寝る時の下着みたいな物です。私も詳しくないですが、下着の上に着る人もいれば、上はつけずに下だけ履く方もいるみたいですけど」
「つまりその……下というのはドロワーズの事でしょうか?」
そんな照れながら聞かれたら、こっちも恥ずかしくなっちゃうよ。
「ドロワーズってカボチャみたいなパンツでしたっけ? 私の故郷ではドロワーズを履いている人はいないのでよく分かりませんが、もっと薄くてちっちゃいパンツですね。あれ? ショーツ?」
「ギンジロー様の故郷の下着は今ありますか? もしあればそちらのベビードールとパジャマも一緒に頂きますので」
めっちゃ食いついてくるコーエンさん。
「少し時間をくれますか? マジックバッグの中を探してみますので」
とりあえず一人にしてもらい、どうするか考える銀次郎だった。