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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百六十八話 祝い酒

「馬車でお送り致します」



 セバスチャンの好意に感謝して、馬車でハングリーベアーまで送ってもらう。

すると食堂内はすでに多くのお客さんで溢れかえり、空になったエールの樽が積まれていた。



「ギンジロー」



 声の方向に振り向くと、そこには王都に行っていたハリーとミリア、エミリアの姿が。



「お帰り〜心配してたんだぞ」



 ハリーが立ち上がったので、銀次郎は嬉しくて強くハグをする。

胸を突き合わせて背中を何度も叩くと、ミリアとエミリアも立ち上がった。

女性とハグをするのは未だに照れがあるので、二人にはそっとハグを。

たぶんどっかで下心があるんだろうな。

こんな時にエルヴィスの事を思い出し、モテる男は下心なしにハグをするのかなと一瞬思ったが、エルヴィスに下心がないはずがないと考えを改める銀次郎。



「まずは乾杯しよう。クラーラさんエールをください」



 テーブルに着くと、ハリー達も今来たばかりでエールとおつまみしかテーブルにはなかった。



「みんなの無事を祝って、プロージット!!」



 ゴキュッゴキュッゴキュッ

冷えたエールが身体に染み渡る。

みんなの分も含めてお代わりをお願いすると、マインツハンバーグが三皿テーブルに届いた。



「この香りが……ボクを蘇らせる。何度でも」



 ルッツが溶けたチーズホールを持ってきて、ナイフで小剃り落とす。

ミリアとエミリアも追いチーズをご希望だ。



「ギンジロー色々話す事があるけど、今はマインツハンバーグに集中したい。ちょっと待ってて」



 ハリーは本当にハンバーグが好きだな。

おつまみのナッツをもらいながら、冷えたエールを流し込む。



「ごめんギンジロー、これだけじゃ満足出来ない。ハンバーグのお代わりを」



 さすがにミリアはお代わりをしなかったが、エミリアはハリーと同じタイミングで一皿目をたべて、お代わりハンバーグだ。

銀次郎もお腹が減ったが、まずはルッツにフライドポテトを注文して様子を見る。



「まずは私から話をしますね」



 マインツハンバーグを半分ほど食べたミリアは、王都での話を始めた。

冷蔵庫に関しては、ハリーの氷を使い商業ギルドで魔道具の登録をしたとの事。

予定より長く王都に滞在したのは、冷蔵庫の登録に時間がかかったのだと。



「クーノ様が、マンネンヒツがなくなっちゃったから、また欲しいって言っていましたよ」



 結構な数を売ったのにもう無くなっちゃったの?

まぁ買ってくれるのならいい商売になるし、他の万年筆もネットショップで探してみるかな。



 熱々揚げたてのフライドポテトが届いたので、一口つまむとエールが足りないのでお代わりを注文。



「エミリアは?」



 フライドポテトをガッツリとエミリアにたべられたので、話を振りつつフライドポテトの皿を手前に引き寄せる。


 

「ん……王都のお菓子も悪くなかったけど圧倒的にギンジローのお菓子の方が美味しい」



「おっ……おう」



 褒めてくれるのは嬉しいが、指輪は大丈夫だったのだろうか。

ミリアがフォローしてくれて、親方の作った指輪は無事納品されたそうだ。



「まずは王都の商会なんだけど、前にコンペートーを買い取ってくれたカールハインツ商会に行ってきたよ。また是非買い取らせて欲しいとお願いされたから三個売ってきた。可能なら定期的に納品して欲しいってさ」



 ハリーからお金を受け取ったが、そのままハリーにお金は返した。

ハリーには遠慮されたが、調査費と手間賃だと言って強引に受け取ってもらう。



「王都の魔法魔術学校に行ってソフィア様に溶けない氷の件を話してきたよ。そうしたらどこかで見られていたのだろうか、帰る時に第三王子とその取り巻きに絡まれたんだ。どんな関係なのか? 婚約をしているとの噂だけど相手はオマエじゃないだろうなって疑われたよ」



 話に聞いてはいたが、第三王子からソフィアはアプローチをかけられている事を改めて知る銀次郎。



「ボクには結婚を考えている人はいるが、それはソフィア様ではないって事を伝えたよ」



「ん……? 今なんて言った??」



 ハリーとミリアが見つめ合い頬を赤らめる。

結婚を考えている人って……ほーん、そうなんだ〜

銀次郎がニヤニヤして二人を見ると、エミリアに最後のフライドポテトをたべられてしまった。

そのポテト、一番大きかったから最後に残しておいたのに。



「フライドポテトがなくなっちゃったから、お代わりを注文してくるわ〜」



 銀次郎は席を立ちクラーラさんに耳打ちをする。



「えっいいの? 大丈夫?」



「今日はお祝いなんで大丈夫です。一度やってみたかったし憧れもあったので」



 銀次郎は魔道具のエールサーバーの元に、エールの木樽を担いで持っていく。



「おーいみんなー。冷えたエールはサイコーか?」



 急に大声を出した銀次郎に注目が集まる。



「どうしたギンジロー。酔っ払ったのか?」



 シルバーランクの冒険者、キーランドさんが心配して声をかけてくれたが銀次郎は大丈夫だと手で制す。



「今日はお祝いだからこのエール樽を呑み尽くすぞー。みんなプロージット!!」



 ハングリーベアーのお客さん達にエールを振る舞う銀次郎。



「ギンジロー今日は朝まで呑もうぜ。プロージット!」



「お祝いって何だよ。ギンジロー教えろ」



「やーだよ。いいからジャンジャン呑んで」



 木のジョッキをガシガシとぶつけ合いながら、顔見知りのお客さん達とエールを飲み干していくギンジロー。



「エールの樽が空になったら追加してください。エール代は全部出しますから」



 後から振り返ると、ハリー達が王都に行って寂しかったのかもしれない。

久しぶりの再会でそんな幸せな話を聞いたら、呑むしかないでしょう。


誤字脱字報告いつもありがとうございます。

あなたの支えがあって小説を書き続けられていると言っても過言ではありません。

これからも宜しくお願い致します。感謝。

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