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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百三十三話 運命のドレス

「ちょっと友人のお店に寄りますね」



 ハングリーベアーで食事を取った後、サプライズをする為にエルヴィスのお店へ。

少しの時間騒がしくすると思うので、エルヴィスのお母さんにはいつもの羊羹を渡す。

お母さんは急に用事が出来たと言って、羊羹を持ってどこかに出かけてしまった。

近所の方と羊羹でお茶をするのだろう。



「ライナお嬢様、アイリスお嬢様、仕立て屋のエルヴィスと申します。お二人のドレスを作らせて頂きますね」



 優雅なお辞儀をするエルヴィスに、何が起きているのか分からない二人。

ソフィアとギンジローが二人にサプライズでドレスをプレゼントすると説明し、やっと理解してくれたライナさんとアイリスさん。

エルヴィスに寸法してもらい、好みのデザインを聞く。

事前にお願いしていた通り、足のサイズも計ってもらった。



「こんなにキラキラしている生地を初めて見たのですが、これってマインツの特産品なのですか?」



 アイリスさんが生地を手に取って聞くと、エルヴィスは素敵な女性に出会うとこの生地はキラキラと輝き出すのですと、よく分からん事を言ってる。

アイリスさんはうっとりしているし、ソフィアもライナさん素敵って騒いでる。



「この生地に出会えたのは運命だと思うの。この生地を活かした煌びやかなドレスと、学校のパーティーで着る少し落ち着いたドレス。二着作ってもらいたいのですが宜しいですか? 費用はお支払い致しますので」



 アイリスさんの申し出に、ライナさんも作って欲しいとお願いする。



「大丈夫ですよ。すでに費用はギンジローから頂いておりますので」



 するとキャーと騒ぎながらこっちをキラキラした目で見つめてくる。

二着目の費用なんて払っていないけど、この流れには乗っておく。



「エルヴィスの作るドレス期待してて下さい。出来上がったら私が王都まで届けに行きますので。あとこれを渡しますね」



 銀次郎はネットショップで購入した、一粒真珠のネックレスを三本取り出す。

前に間違って全財産を使って買ってしまった真珠のネックレスと同じブランドだが、こちらは一粒で少し小さめの真珠だ。



「本当に宜しいのですか?」



 ライナさんが少し心配そうに見てくるが、こうなったら最後までだ。

ソフィアの背後に立ち、真珠のネックレスをつけて「はいOK」と魔法の言葉をかける。



 ライナさんとアイリスさんがまたキラキラした目で見つめてくるので、同じ様にネックレスをつける。

お揃いの真珠のネックレスに、一生大事にしますと言ってくれたのでプレゼントして良かった。

真珠は日本の事を思い出させてくれるので、真珠のネックレスをつけているソフィアを見ると、今まで以上に愛しく感じる銀次郎であった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「マインツの大聖堂でお祈りをしませんか?」



 エルヴィスの店を出た後、ライナさんがマインツの大聖堂に行きたいそうなので寄ってみることにした。

大聖堂に着いて中に入りお祈りを済ませると、レイノルド助祭が慌てた様子でやって来た。



「レイノルド助祭どうしました?」



「受付から知らせがあったので急いで来ました。この後少しお時間を頂けますか?」



 赤色で細いフレームの眼鏡をかけたレイノルド助祭。

銀次郎がふざけて買った女性教師用のコスプレ眼鏡だが、本人はとても気に入っているみたいだ。

ソフィア達が問題ないと言うと、レイノルド助祭に案内されてヴェルナー司祭の部屋へと入る。



「お久しぶりですなソフィア嬢。ご友人のお嬢さんのお名前を伺っても宜しいかな?」



 ライナさんとアイリスさんは、ヴェルナー司祭にお会いできて光栄ですと挨拶をする。

銀次郎も挨拶を済ませると、紅茶とクッキーを用意してくれたので席に座る。



「急にお呼びして申し訳ない。皆様が来ていると聞いたので、お茶でもと思いましてな」



 ヴェルナー司祭はソフィア達の学校の事を聞き、お揃いの真珠のネックレスが似合っているなど世間話をする。

ソフィアは堂々としていたが、ライナさんとアイリスさんは少し緊張気味の様子だ。



「お嬢様方は仲がよろしいですな。私にも学生の頃からの友人が王都の教会にいますので、何か困った事があれば頼ると良い。エカードには伝えておくので」



 友人のエカードさんって、この間会ったエカード司祭だよな?

ライナさんもアイリスさんもエカード司祭の名を知っており、王都に戻ったら三人で教会にお祈りに行きますとヴェルナー司祭に伝える。



「ところでギンジローさん。うちのレイノルドはしっかりと役に立っているかな?」



 ちらっとレイノルド助祭を見ると、直立不動で真剣な顔をしていた。



「えぇもちろんです。今度社交ダンスの予行練習を行うのですが、馬車の段取りもしてくれていますし、相談に乗ってくれて助かっています」



 特に相談をした覚えはないが、レイノルド助祭を持ち上げておく。



「そうかそうか。それは良かった。レイノルドには修行をさせたいので、ギンジローさんこれからも頼みますぞ。何でもレイノルドに言ってくだされ」



 ヴェルナー司祭と最後に握手をして部屋を出ると、レイノルド助祭はホッとした表情をしていた。

教会もいろいろ上下関係があるのだろう。

お邪魔しましたと伝えて、マインツのお城へと戻るのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変面白かったので全話読んでしまいました。次の話がとても楽しみです。原始的な肌のお手入れしか存在しなかった世界に現代世界の技術の結晶ともいえる女性用高級化粧品はもはや「兵器」です(笑) […
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