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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百二十九話 はいチーズ

「はいチーズ」



 カシャヴィイイイーンとインスタントカメラの音が部屋に鳴り響く。

ライナさんの希望を叶える為、三人の写真を撮った銀次郎。

紅茶を淹れ直し少し待っていると、写真が出来上がったのでライナさんに渡す。



「はいチーズ」



 写真を胸にあてて喜ぶライナさん。



「ライナさん? どうしました?」



 銀次郎の言葉が、魔法の言葉だと勘違いしていたライナさん。

写真を胸にあてて心にもこの思い出を残そうとしていた。



「ねぇギンジローさん。今度王都に来たら、はいチーズしてくれますか?」



 癒されるわ〜

ライナさんの純粋な心に直面して、いくらでも写真を撮ってあげようと決意した銀次郎であった。



「そうだソフィア、手紙で自慢していたネックレス早く見せてよ」



「自慢なんてしてないよ。嬉しかったから手紙に書いただけ」



「それを自慢って言うの。いいから早く見せて」



 ライナさんに急かされたソフィアは、アメリーにお願いしてネックレスを持ってきてもらう。



「ギンジロー見せてもいい?」



 黙って頷くと、箱を開けてロイヤルブルーサファイアのネックレスを取り出すソフィア。



「綺麗……」



 二人ともうっとりとした目でネックレスを見ていたが、その目が急に獲物を狙うような目になりこっちを見つめる。



「ゴホン」



 セバスチャンの合図でやっと理解できた銀次郎。

ネックレスを手に取ってソフィアの背後へとまわる。



「はいOK」



 今回は手も震えなかったので上手くネックレスをつける事ができた。

ライナさんもアイリスさんもキャーキャー言ってるが、あまり耳には入ってこない。

目の前の女性に心が奪われる銀次郎。



 かすかに聞こえる「はいOK」

何かお願いされた気がするが、ソフィアの姿に見惚れていた銀次郎は「うん」とだけ返事をした。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「ギンジロー殿でしたら間違いは無いとは思いますが……ですがやはり……この件は貸しですぞ」



 ケーキの用意をしようとしたら、スチュアートさんから物騒な事を言われる。

また握手を求められたが、その力は強かった。

なんだろうと思いつつ別室に行くと、領主のレオンハルトさんがクーノさんと万年筆について語り合っていた。



「やぁギンジロー君。このペン気に入ったよ」



 ご機嫌なレオンハルトさんは赤ワインの入ったグラスを一気に煽ってから、ペンを手に取り見せてくる。

ライナさんとアイリスさんの従者達は緊張している様子だが、みんなでお酒を楽しんでいた。

銀次郎はそっと部屋を出て次の準備をする。



 ソフィア達が待つ部屋に戻り、銀次郎はキラキラと輝くフルーツタルトのホールを見てもらう。

反応は良かったので目の前で切り分けて、フルーツタルトを白いお皿に乗せた。

最後にアイスクリームを乗せ、粉砂糖と生クリームでお皿を仕上げる。



「本日のお茶会の為に作りました特別なプレートです」



 食べるのがもったいないと、ナイフとフォークを持ってオロオロするアイリスさん。

ライナさんはプレートを持ち上げて、銀次郎が手紙を仕込んでいないか確認する。



(あぶなかった)



 ライナさんがこっちを見ているが、この後仕掛けがあるので目線は合わせないでやり過ごす。



「ギンジローさんケーキって何種類あるのですか?」



 異世界で甘味と言ったらクッキーか、パンにハチミツをかけてたべるくらいだ。

しかもこのフルーツタルトは、ネットショップで購入した物。

ケーキって何種類と聞かれたら、いくつでもあるとしか答えようがない。



「ケーキは数え切れないくらい種類があります。明日はマインツハンバーグをたべに出かけますので、その時にケーキも出しますね。どんなケーキが希望ですか?」



「希望って言われても……アイリスは?」



 ライナさんはアイリスさんに話を振ると、実家に帰った時でも作って食べれるケーキが良いと希望してきた。

ハングリーベアーで作るならハチミツを使ってみよう。

久しぶりに作るからちょっと不安だけど、作り方自体は簡単だからなんとかなるかな。

日持ちもするケーキというかお菓子を作る事を約束するのであった。



 今回のお茶会も楽しく進み、しばらく経ってからソフィアから合図が来た。

ライナさんからは何いちゃついてるの? と突っ込まれるが、銀次郎はフルーツタルトのホールが乗っていたであろうお皿を片付けると手紙と万年筆が現れる。



「これは私とギンジローからサプライズ。このペンはインクをつけなくても書けるの」



 ソフィアがドヤ顔で説明すると、試し書きの紙を渡す。

これも魔道具なのと聞かれたので、魔道具ですと答える銀次郎。

魔道具って言葉は便利だな。



 アイリスさんは手紙を読んで涙を流す。

ソフィアの言葉が嬉しかったのだろう。

白髪の執事はその姿を見て号泣していたが、手をとって万年筆を渡す銀次郎。



「先ほどの件よく分からなかったのですが、とりあえずこちらで貸しはチャラって形で宜しいでしょうか?」



 スチュアートさんは、ぐぬぬと言って返事はしてくれなかった。

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