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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百二十六話 インスタントカメラは魔道具です

「他に何か隠してる事はある?」



 別に隠してる事はないのだが困っている事ならばある。

商業ギルドのエミリアからケーキも売りたいと言われたが、ヴェリーヌさんのお店のコンセプトに若干合わない事を伝える。



「ケーキね……」



 呆れ顔の虎に、銀次郎はシュークリームを取り出す。

設備さえ整えば、シュークリームなら作る事が出来るし提供にも時間はかからない。

異世界では甘味成分が足りないので、きっとお客さんは喜んでくれるだろう。



「セバスチャン」



 急にセバスチャンが呼ばれて虎から指示を受けていたが、セバスチャンはすでに手配済みですと答えていた。

何だか分からないが、セバスチャンは出来る執事なのだけは伝わった銀次郎。

ケーキに関しては玉子の増産と値段を下げてから考える事にした。

ヴェリーヌさんのお店の費用は、マインツ家で払ってくれる事になったので安心だ。

ネットショップを駆使して、魔改造していこうと企む銀次郎だった。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●



 ヴェリーヌさんには先に帰ってもらい、ハンバーグで街おこしの進捗報告をする。

その後は社交ダンスの発表会の打ち合わせをして、やっとソフィアとの時間になった。



「ライナとアイリスは明日予定通りに来るって」



 あと三日でソフィアが王都に旅立ってしまう。

寂しいがお茶会に集中して、その事を考えないようにした銀次郎。



「アイリスがね。街でマインツハンバーグを食べたいって」



 アイリスさんは、ハイデルベルク男爵家の次女で大きな商会の家である。

最近マインツハンバーグが流行っている事を耳にし、自分自身で確かめたいそうだ。



「それって街の食堂でたべたいって事?」



「うん。マインツの街でどのくらい流行っているのか、実際に食堂で食べて確かめたいって」



 勉強熱心だなと思った銀次郎だが、貴族のお嬢様なので何かあってはいけない。

執事のスチュアートさんに心配をかけさせない為にも、ハングリーベアーでマインツハンバーグをたべてもらおう。

あそこなら融通が利くし、ハリーに居てもらえれば色々と答えてくれると思うし。



 遅めのモーニングハンバーグからのティータイムって感じかな?

ハングリーベアーはランチ営業をしていないので、その時間は貸し切りにしてもらおう。

せっかくならティータイムの後はあれだな。



「街に行くなら二人のドレスも作る? ソフィアの親友ならプレゼントしたいな」



 ソフィアに提案すると王都では貴族のパーティが多いので、二人も喜ぶと思うと言ってくれた。



「あとね。ライナが私達の絵を描いて欲しいって」



 絵ってなんだ?

詳しく聞くとインスタントカメラの事だったので、いっぱい撮って思い出を作ろうと伝える。

一応インスタントカメラの事は説明したが、上手く伝わらなかったので魔道具という事で落ち着いたのだった。



 その後もずっと話を続けた二人だが、四つめの鐘が鳴り別れの時間となった。



「そろそろ行くよ」



「うん……」



 ソフィアは頭を肩に預けたまま呟く。



「ギンジロー様、馬車を用意してきます」



 部屋で二人っきりになった銀次郎とソフィアは、別れの挨拶を交わすのであった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



 セバスチャンに送ってもらった銀次郎は、エルヴィスのお店で馬車を降りる。

店は閉まっていたけど、扉を叩きお母さんにいつのも老舗高級羊羹を取られて家の中に入る。



「悪いな。キリの良い所までやりたいから作業場に戻る。店の中で少し待ってな」



 エルヴィスが作業場に戻ったので、誰もいない店の中でネットショップを使い買い物をする銀次郎だった。



「お待たせ。呑みにでもいくか?」



 エルヴィスが一仕事を終えて戻ってきた。

もちろん呑みに行くと答えたが、先に用件は済ませておこう。



「明後日またドレスを注文しにくるから。ソフィアの学校の友達なんだけど、プレゼントをするからお金は後で払ってもいい?」



「もちろん」



 ありがとうと感謝の気持ちを伝え、採寸する時に足のサイズも計って欲しいとお願いする。



「足のサイズを計るって、俺に王子様になれって事かい?」



 ガラスの靴の持ち主を探す王子様の物語を歌ってもいたので、エルヴィスは気に入ってるんだな。

ドレスに合う靴をプレゼントしたいけどサイズが分からないから、調べてもらいたい事を伝える。



「うちの店にも靴あるぞ?」



 エルヴィスの店には少しだが靴も置いてある。

魔物の皮で作る革靴は重厚感があって素晴らしい物だけど、女性用の靴は少ない。



「ドレス用の靴だから派手なのがいいんだよね」



 銀次郎はサンプルで買ったドレス用の靴をアイテムボックスから取り出す。



「これは凄いな。輝いてるぞ」



 エルヴィスはスパンコールでキラキラ輝く靴を手に取り、隅々まで確認している。



「それがパーティー用の靴で、こっちがダンス用の靴」



 ヒールの部分がしっかりしていて皮は柔らかくて軽いが、パーティー用の靴より目立つダンス用の靴を渡すとエルヴィスは黙ってしまった。



「この靴売ってくれないか? この靴を参考にして作ってみたいんだ」



 エルヴィスのお願いを断るわけがない銀次郎。

 


「その靴を俺が履くには小さすぎるからエルヴィスにあげるよ」



 いつもの様に握手をしてお互いの胸と胸を重ね合わせるエルヴィスと銀次郎であった。

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