第百二十四話 約束
「あわわわ。私がソフィア様の作ったサンドイッチを食べるなんて、そんな事許されるのですか?」
マインツのお城に戻った後、ソフィアがお茶会で作るサンドイッチの練習をした。
みんなで紅茶を飲んでたべようとなった時に、メイドのアメリーが恐れ多いと遠慮している。
「これは練習だから、美味しく出来ているか感想を聞かせてね」
ソフィアが何とか説得をして、セバスチャンと四人で紅茶とソフィア手作りサンドイッチを楽しむのであった。
「おいしかったです〜。ふわふわな白いパンにトロトロのタマゴ。ソフィア様はお料理も出来て凄いのです〜」
「アメリーもギンジローにお料理を教わったら作れる様になるわよ」
アメリーは、食べるのは好きですけど、作るのは苦手ですと答えていた。
「ギンジローさんのパンは何でこんなに白くてフワフワなのですか?」
アメリーの質問に、ソフィアも気になっていたと身を乗り出す。
「フワフワというか、こっちのパンが固すぎるよね。こんどオリバーと一緒にパンを作ってみるよ」
「それは楽しみです〜ソフィア様が王都に戻られる前に作ってくれますか?」
あっ……
意識しない様にしていたけど、五日後にはソフィアは王都に旅立ってしまう。
寂しさで微妙な空気を作り出してしまった銀次郎。
「前に約束した冬休みが始まる前に王都に迎えに行く件だけど、その前に王都に行ってもいい? その時にエルヴィスにお願いしたドレスを持っていくよ」
セバスチャンからソフィアの学校での話を聞き、心配だった銀次郎。
会えなくなって寂しいではなく、会いに行けばいいんだ。
社交ダンスの発表会が終わったら、一度王都に行くとソフィアに伝える。
「ギンジロー約束だよ。王都に来たら私が案内してあげるね」
「それは楽しみだ。王都って確かエルザさんの友人の二人もいるよね? この前ドレスを作ってもらったから、一緒に届けに行こうよ」
「えっ? そうね……お母さんに話をしてもらっておくね」
また一瞬空気が微妙になった気がするけど、せっかく王都に行くんだったら届けてあげようと思った銀次郎だった。
●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●
セバスチャンにハングリーベアーまで送ってもらった銀次郎は、スキルのネットショップで買い物をする。
まずは野良猫アオの猫缶だな。
そろそろ少なくなってきた焼津産のカツオを使った高級猫缶を購入する。
「あの生ハムは売ってるかな?」
三十六ヶ月熟成の生ハムの原木が売ってるか確認するが、やはり二十四ヶ月熟成までしか売っていなかった。
「……」
売ってないものは仕方がない。
その代わりロールケーキタワーは新作のブルーベリーが入荷していた。
以前は値段の高さに悩みながら買っていたが、慣れとは怖いものである。
悩む前にポチっている自分に気づかない銀次郎だった。
「果実水関係って何かあるかな?」
ネットショップを眺めていると、ドリンクサーバーのコーナーを見つける銀次郎。
「これいいな。銀貨3枚でお手頃だけど、ガラス製だから高級感がある」
ヴェリーヌさんの新しいお店の売りになると確信した銀次郎は、ガラス製の透明なドリンクサーバーを購入する。
この中に果物と氷を入れれば、映える事間違いなしだ。
「ガラスか……」
ヴェリーヌさんの新しいお店は、ガラスにこだわってみたら面白いかもな。
思いついたら止まらないのがネットショップだ。
あなたにおすすめの商品を中心に、あったら面白いかもという商品を次々とポチる銀次郎。
ガラス製品を大量購入した後は、最後にお目当ての物を探す。
「意外とあるもんだな〜」
お婆さんの畑で試したい物は、ネットショップに全て売っていた。
このスキルをくれた野良猫のアオに感謝して、食堂へと向かう銀次郎だった。