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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百十九話 大工さんがいない

「ほえ〜たくさん作ったの〜」



 お腹はいっぱいだけど、懐かしい料理が作れて楽しかった銀次郎。



「まずはポテサラです。ジャガイモを使った料理で、主役にもなれるし脇役にもなれる一品です」



 蒸したジャガイモにキュウリとニンジン、後は燻製肉を入れてマヨネーズで和えたポテサラだ。



「ボクこれ好き」



 お孫さんも気に入ってくれたみたいで良かった。



「ポテサラってどんな意味ですか?」



 お婆さんの息子さんから質問を受けるが、故郷ではジャガイモの事をポテトと呼びそのサラダですと伝える。

息子さんからはジャガイモなのにサラダなんて不思議ですねと言われてしまったが、確かによく考えるとそうだな。

ただあまり考えても答えは出なそうだったので、さらっと流す銀次郎だった。



「こっちはジャガバターです。蒸したジャガイモに好みでバターとクレイジーなソルトをかけて下さい」



 こちらは蒸したてのジャガイモなので、湯気や立ち上る。

お孫さんがフーフーと冷ましてからジャガイモを口の中に入れたが、それでも熱かったのかすぐに水を飲んでいた。



「これは美味しいですけど、塩をこんなに使っても良かったのですか?」



 息子さんの奥さんが心配しているが故郷では塩はそれほど高くないし、このハーブ入りの岩塩クレイジーなソルトはどんな料理にも合うのだ。



「これなら屋台で売れそうじゃな」



 そう呟くお婆さんに、屋台で売ってみてどれが人気なのか確かめるのもアリだなと思う銀次郎だった。



「次は豚汁です。バターを乗っけてもおいしいのでお好きにどうぞ」



 お婆さんが育てた野菜で作る豚汁は、コクは強いけど何だか優しい味がする。

ハリーに付き合ってハンバーグを三食もたべた銀次郎だが、豚汁はスッと胃袋に収まった。



「これは美味いのう。野菜をこんなに美味しくしてくれてありがとうギンジロー」



 お婆さんにそんな事言われると何だか照れるな。

最後にそろそろ収穫を迎えるサツマイモを使って焼き芋を出す。

鍋に洗った石を敷き詰めた時は何してるんだと驚かれたが、甘くてねっとりと仕上がった焼き芋はデザートのようだ。



「うん、やっぱりおいしい。どうですか皆さん?」



「ボク大好き」



 お孫さんの笑顔に癒される銀次郎。



「うちのイモがこんなに美味しくなるなんて信じられないです」



 息子さん夫婦は焼き芋の美味しさに驚いているようだ。



「ギンジロー何でこんなにイモが甘くなるの?」



 ハリーも焼き芋に驚いていたので、石焼きにするとねっとりと甘くなる事を教える。



「イモを全部買うって言ってたのはこれけ?」



 お婆さんの質問に、寒くなったらこれを売ろうと考えていた事を伝える。



「これなら売れるじゃろが今年はもう作れんな。こんな事ならもっと早く育てちゃ良かったわ」



 いま育てているサツマイモを収穫した後もう一回育てようと考えたが、これから寒くなっていくので無理だと諦めるお婆さん。



「お婆さん達は冬は何を育てるのですか?」



 銀次郎が聞くとお婆さんはダイコンやホウレンソウ等の冬野菜は育てて売るが、あまり儲からない。

雪も降るので基本は家でのんびりと過ごすそうだ。



「少し考えがあるんですけどいいですか?」



 銀次郎はある事を思いついたのでお婆さんに相談する。

お婆さんは冬にやる事なんて限られてるから、別にいいぞと約束してくれた。



 この件はエルザさんに相談だな。

今日はお婆さんのところに行って良かったと思う銀次郎であった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「ハリーごめん。ちょっと商業ギルドに行っていい?」



「いいよ」



 新たな商売を思いついたのと、この後またハンバーグをたべるのは勘弁と思った銀次郎は、ハリーを誘って商業ギルドへと向かう。

商業ギルドの扉を開け中に入るが、受付にエミリアはいなかった。

代わりにレニャが対応をしてくれて、ミリア専用の部屋に案内してくれる。



「ごめんね急に来ちゃって。ちょっと話があって」



「ギンジローさんの担当は私ですので問題ないですよ。それにハリーにも話があったのでちょうど良かったです」



 銀次郎は受付のレニャにケーキを渡しソファーに座る。

しばらく待つと紅茶を淹れてくれたので、ケーキをたべながら話を始めるのであった。



「個室にはやっぱりソファーセットの方が似合うね。座り心地も良いし」



「そうですね。このソファーは長く座っていても疲れないですからね」



 マインツの商業ギルドとマインツ家でソファーやベッドを作る予定なので、早く世間に広まって欲しいなと思う銀次郎だった。



「レニャ、紅茶を淹れてくれてありがとう。さっき渡したケーキの残りはみんなでたべて。ところでエミリアは今日もヴェリーヌさんのところ行ってるの?」



 イチゴのショートケーキを美味しそうにたべるレニャだったが、エミリアの話をすると少し困った顔をした。



「トラブルが発生して大変みたいです。私も動いてみたのですが何ともうまくいかなくて」



「何があったの?」



 レニャに話を聞くと、新しいお店の工事が進んでいないとの事だった。

なぜならマインツにいる大工さん達全員が、近隣の村に駆り出されて大掛かりな建物を作っているそうだ。

そこは鳥を育てる建物で、マインツ家からの依頼で急ぎで作ってるって……

それって養鶏場だよね。



 ミリアは事情を知っていたはずだから、何で相談してくれなかったのと聞くと



「ギンジローさんが動いている案件でしたので相談できず申し訳ございませんでした。王都から大工さんを呼び寄せようとしたのですが断られてしまって」



 申し訳なさそうにするミリア。



「ミリアが謝る事じゃないよ。この件はこっちで何とかするから。レニャも迷惑をかけてごめん」



 この件はすぐに動こう。

ミリアに社交ダンス発表会の練習についての打ち合わせと農業の事を聞いてから、ハリーを商業ギルドに残して席を立つ銀次郎であった。

ブックマークが1,000人を超えました。めっちゃ嬉しいです!

今日は休みなのでぼんやり考えていた閑話を今から書いて、夜にはUPしようと思います。

小説を読んでくれている皆様、そして誤字脱字の報告をいつもしてくれる方に感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございます!

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