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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百十六話 酔っ払いの虎

「ギンジロー様。エルザ様がお呼びです」



 エルザ様という言葉にビクンとする銀次郎だが、若い料理人達にはステーキにワサビを塗ってたべるとウマイよと教える。

ただ決してワサビ単体ではたべない様に。

みんなでステーキをたべた後、オリバーにはワサビの試食を単体でしてもらうように伝えておいた。



「どうしましたか?」



「このお料理は何なのか教えてくださるかしら?」



 エルザさんが指差したのは、スペアリブのコーラ煮だ。

味がとても気に入ったらしいのだが、鍋にスペアリブを入れてコーラで煮ただけの料理だと伝える。



「コーラ?」



「はい。私の故郷で有名な飲み物です。甘くてしシュワシュワする飲み物ですよ。飲んでみます?」



 するとこの場にいる何名かもコーラを飲みたいと希望するので、銀次郎はいつものペットボトルではなく、喫茶店の時に使っていた瓶に入ったコーラをアイテムボックスから取り出した。



「ギンジロー手伝うよ」



 孤児院で大人気だったコーラの味を知っているソフィアが手伝ってくれた。

栓抜きの使い方を教えると、ソフィアは蓋を外して氷の入ったグラスにコーラを注いでいく。



「やっぱりボクも貰おうかな」



 領主のレオンハルトさんも気になったのか、ソフィアからグラスを受け取りコーラを試してみる。



「あはは、これは美味しいな〜。おーい。ヒューイもクーノもこれ飲んでみろよ」



 息子さん達に声を掛けるレオンハルトさんだが、二人はお酒があるからいいよと断っていた。

その姿を見て微笑みながら、エルザさんもコーラを試す。



「甘くて刺激的ね。まるでパパと初めて会った時の事を思い出すわ」



 虎は酔っ払ってるのかな?

まぁ自分から呑みたいと言ってたのだから、今日は楽しんでもらいたいな。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「ギンジロー君少し良いかな?」



 長男のヒューイさんがワイングラスを持って話しかけてくる。



「はい、どうされましたか?」



「私の妻がね……母が若返ったのは君が関わっているのではないかと。何か秘密はあるのかい?」



 秘密といえば化粧品だとは思うのだがどうしよう。

銀次郎が考えていると、エルザさんがこっちに近づいてくる。



「なに二人でコソコソやってるのよ」



「ディアナが言ってたんだよ。母さんが若返ったのはギンジロー君が関係しているって」



「あら嬉しいわね。あなたから見てもそう思う?」



「知らないよ母さん。ギンジロー君と話してるんだからあっちに行ってよ」



 ヒューイさんは遠ざけようとするが、エルザさんは離れない。



「秘密を教えてあげるから、後でディアナとリサに部屋に来る様に伝えておいて。ギンジローさんはヒューイに言っちゃダメよ」



 鼻歌混じりで席に戻るエルザさんを見届けると、あんな楽しそうな母親を見るのは久しぶりだとヒューイさんは言っていた。



「兄さん、ギンジロー君を捕まえてまたワインの話をしているのかい? 兄はワインを飲むと話が長いんだよ。ごめんね〜ギンジロー君」



 クーノさんは結構酔っ払っており、ヒューイさんの肩に腕を回して揺らしている。



「いえいえ。別の話をしていましたがヒューイさんはワインがお好きなのですか?」



「そうだねワインは好きだよ。今飲んでるワインはウチの秘蔵のワインなんだ。百年以上のブドウの古木で作られていて、出来の良い年にしか樽詰めをしないワインだ。クーノはエールばっかり飲んでいないで、たまにはワインを飲んだらどうだ?」



 ヒューイさんからの申し出も、エールの方が美味しいとグラスを突き出すクーノさん。



「兄さん今度ギンジロー君を誘って外に呑みに行かないか? 兄さんが好きなあの店、いま凄い事になってるよ」



 あの店とはマリアさんのお店である。

ただ二人は既婚者なので気軽に行けるお店ではない。

どうやら自分をダシにして、マリアさんのお店にまた呑みに行く段取りを計画しているみたいだ。

真面目そうなヒューイさんも、ご馳走するから頼むねと乗り気だった。

ソフィアに対して後ろめたい気持ちもあるが、ヒューイさんが誘うからと自分に言い訳をしてしっかりと約束をする銀次郎だった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



 マインツ家初のバーベキューを楽しんだ後、銀次郎はコーエンさんが管理する化粧部屋に来ていた。



「ディアナとリサに、私とギンジローさんの秘密を教えるわ」



 変なことを言わないで欲しい。



「エルザさんと秘密などないと思いますが……」



 酔っ払いの虎を突き放す銀次郎。



「あらつまらないわね。二人だけの秘密じゃない。まあいいわコーエンお願いね」



 ディアナさんとリサさんに、二人だけの秘密? を暴露する事になった。

コーエンさんが洗顔の指導から、基礎化粧品の説明をして二人のお肌を整える。



「ディアナさんのお顔、触ってもいいかしら?」



「いいわよ。私も触っていい?」



 元々お綺麗な二人だったが、コーエンさんの腕によってお肌がケアされる。



「二人ともどう? 鏡で確かめてみなさい」



 コーエンさんが鏡を用意すると、プルップルになったお肌を見てうっとりする二人。



「今のはお肌を綺麗にして潤いを与えるお化粧よ。コーエン次お願いね」



 コーエンさんは頷くと、ディアナさんとリサさんにお化粧を実施していくのであった。

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