第百九話 アルミホイルは魔道具です
「ソフィア様が料理ですか?」
オリバーは手を切ったり火傷したりしたら大変だからと心配するが、孤児院の炊き出しでもソフィアは料理をしている。
「心配してくれてありがと。気をつけるから大丈夫だよ。もし何かあっても私の責任だから」
オリバーは渋々納得してくれたが、それでも心配そうだ。
若い料理人達がどんな料理を作るのか集まってきたので、下準備をお願いして料理を作り始める。
「まずは鳥のもも肉を、強火で焼いていこう」
フライパンに軽く油を馴染ませて、下処理をした鳥のもも肉を渡す。
皮の方から焼いていき、焼き目がついたらひっくり返す。
「ギンジローこれでいいの?」
大丈夫だよと伝えて、ライナさんからもらった蜂蜜酒を用意する。
「ここはちょっと危険だから離れていて」
ソフィアにはコンロから離れてもらい、蜂蜜酒を入れてフランベする。
アルコール分はそんなに高くないので火はそれほど出なかったが、料理人達は驚いていた。
今度はブランデーでフランベして、驚かせてみようと計画する銀次郎だった。
表面に焼き色がついた鳥のもも肉を、用意していたアルミホイルに包む。
「これで少し置いとくから、その間に別の料理を作ろう」
ソフィアが頷くが、オリバー達はアルミホイルに興味を示した。
以前にアルミホイルを使ってハンバーグの包み焼きを作ったが、それ以降は作っていなかった。
説明も特にしていなかったが、オリバー達はその事を覚えていた。
ただアルミホイルを魔道具だと思っていたらしく、高価な物なので使わないんだと勘違いしていたらしい。
アルミホイルは異世界にはないけど、ネットショップなら銅貨1枚で買える安い物だ。
こうやって表面を焼いた鳥のもも肉をアルミホイルに包むと、低温で火を入れていく事が出来てパサつかずジューシーに仕上がる事を教える。
イメージがしにくいのか、あまり伝わっていなかったので出来上がったら試食しましょう。
次に料理するのはチーズフォンデュだ。
料理人達にジャガイモとブロッコリーあとはソーセージを茹でてもらっていたので、ソフィアに小さくカットしていってもらう。
カットが終わったら、アイリスさんから貰ったチーズに小麦粉を振ってもらう。
小鍋にライナさんから貰った白ワインを入れて弱火で温めた後、潰したニンニクを入れて香り付けをする。
良い香りがしてきたので、小鍋にカットして小麦粉を振ったチーズを入れてもらう。
「焦げないように弱火で、チーズは一気に入れるのではなく何回かに分ける方がおいしくなるよ」
ソフィアが楽しそうにチーズをかき混ぜている。
その姿を見て幸せな気分になる銀次郎。
チーズを全部入れてトロトロになったので、チーズフォンデュ専用の串をみんなに渡す。
「これで好きな食材を刺して、チーズをつけてからたべて下さい。私の好きな料理のチーズフォンデュです」
ソフィアはジャガイモを選んで、チーズを絡ませていく。
「熱いから気をつけてね」
銀次郎はソフィアに伝えてソーセージを選んだ。
「ギンジロー美味しい。他のも食べていい?」
もちろんだよと伝えて、銀次郎はソーセージを口の中に入れる。
おいしくてお酒が呑みたくなっちゃったな〜。
オリバーや若い料理人は無言だが、手は止まらない。
チーズフォンデュの具材は燻製肉やニンジン、カボチャやアスパラ、他にも合うので色々試して欲しいと伝える。
みんなでチーズフォンデュをたべた後、鳥のもも肉の方へ戻った。
フライパンに残っていた蜂蜜酒を煮詰めて、クレイジーなソルトで味を整える。
アルミホイルで育てていた鳥のもも肉は、しっかりと中まで火が通ったようだ。
もう一度フライパンで外側を焼いて、鳥のもも肉の完成だ。
少しだけもも肉を切って、みんなに味見をしてもらうとおいしいと言ってくれた。
「良かった。このままたべてもいいけど、お茶会用にサンドイッチにしていきますので」
銀次郎はアイテムボックスから食パンを取り出して、耳をカットする。
バターを塗ってレタスをのせて、鳥のもも肉をスライスして贅沢に投入。
トマトも入れちゃうよー。
「坊主、それは俺たちの分もあるのか?」
オリバーが肩を掴んで迫ってきたが、サンドイッチをこれだけの人数で試食はできない。
鳥のもも肉はみんなで試食したから、もう使い切っちゃったし。
銀次郎が困っていると、ソフィアがもう一度作ろうと言ってくる。
「お料理の練習もしたいし、みんなで作ってみんなで食べた方がきっと美味しいよ」
その言葉に料理人達は歓喜する。
サンドイッチは他の具材も必要だから、みんなで色々な種類のサンドイッチを作ってたべましょうか。
ホットサンドも作っちゃおうかなー