査定してもらいました
短めです
新しく買った品物は下着にブラウス、ベストとスカート。サンダル。短い髪を隠せるような灰色のストール一枚。髪は隠した方がよいとマーサが強く言うのです。短い髪って恥ずかしいのでしょうか?他には大きめの肩掛けカバンが一つです。カバンの中には数日分の保存食とさいふ用革袋。水筒が一つ。
それと薬草が練り込まれた軟膏の小瓶。
着替えを手伝ってくれたマーサが手枷で傷ついた手首やマメだらけの足を心配してくれたのです。早速使ってみました。痛みはだいぶ引いたように思います。
ピンクな令嬢が茶色と灰色の地味女に変身できました。この仕度なら王都の外へ旅に出かけても大丈夫でしょうか。
ネックレスを一つ残し、身に着けていた物は売りました。
番頭さんによる査定の内訳ですがピンクのドレスは安物で小物まで含めて銀貨15枚ということでした。
高価で売れたのは指輪と髪飾りなどの宝石が付いたアクセサリー。これらは金貨6枚です。
髪が金貨2枚で売れました。長くて艶があった為最上級の値段が付いたという事です。
マーサがこっそり教えてくれたのですが魔法が使える人の髪は貴重なのだそうです。魔道具の材料としても使えるのだとか。価値のある髪だから切ってはいけないと泣きそうになりながら訴えていました。優しい人ですね。
今着ている服と旅の支度の費用は金貨2枚弱で髪を売った値段とほぼ同じでした。
ドレスやアクセサリーの売り払い額が現金になって手に入りました。金貨6枚と銀貨35枚。銅貨が98枚でした。ちなみに金貨1枚=銀貨100枚 銀貨1枚=銅貨100枚です。
銀貨10枚と銅貨を当面の生活費に使おうと決めて革袋に入れ残りのコインは下着の隠しポケットにしまい込みます。このあたりの知恵はマーサに教わりました。
お礼を言って店を出ようとしたときに番頭さんが封筒を差し出してきました
「これは?」
「向かった先に仕事が無いと困ると思ってね。隣町に行くのならうちの商会関連の店があるから紹介状だ」
「それはご親切にありがとうご・・・」
お礼の言葉が途中で止まってしまいました。封筒に書かれたお店の名前を読んだからです。お店の名前は『堕天使の誘惑』
「えっと、怪しい名前のお店ですね・・・ひょっとして娼館?」
番頭さんは私からそっと目をそらしました。どうやら娼館への紹介状のようです。
『ざまあ』令嬢の行きつく先は良くて修道院。悪くて死亡。中間にあるのが奴隷落ちとか娼館落ちですよね?どうやら私は娼館落ち路線に進みつつあるようです。
まあね。死ぬよりはましですよ。
見ず知らずの私に、娼館とはいえ働き口の紹介状を用意してくださったのですから。改めてしっかりとお礼を言いなおして封筒を受け取りました。番頭さんは苦笑いをしていました。
お店を出た私は乗合馬車の停車場に向かいます。乗合馬車のことは着替えながらマーサに教わりました。私が髪を切るときに辛そうにしてくれたダース商会の使用人です。隣町に無事に着いたら手紙を出す約束をしました。すっかりお友達です。
さて、王都の一番近くにある街なので隣町と呼んでいましたが正しくはカンランという名前の街です。王都からは朝と昼の2便の乗合馬車が出ています。朝の便は途中にあるノビル村で昼休憩し夕方カンランに到着。昼の便はノビル村で一泊して翌日の昼にカンラン到着となっているそうです。
できれば昼の便に乗りたかったのですが停車場に着いた時には出発した後でした。仕方ないですね。旅の支度に時間がかかってしまいましたから。
たくさんの方にアクセス頂いで驚いています
ブックマークをつけて下さった方、ありがとうございます。
頑張って続きを書きますね ^^




