第11話 「"レベル0"のチート授業開講!」
「よし、早速初回授業だが…今日やるのはは実践授業だ!」
フェイがそう告げた瞬間、生徒たちの間にざわめきが広がる。
「えっ、実践!? まだ初回の授業なのに?」
「しかも、いきなりダンジョンって……」
「普通、こういうのは2年生になってからじゃ?」
シャーロット魔術学院には、他の魔術学院とは異なる、迷宮都市ならではの”特殊なカリキュラム”がある。
それは、実際のダンジョンを利用した実戦訓練。
しかし、これは通常、2年生以上の上級生が受ける授業であり、1年生がいきなり参加することはほとんどない。
そんな生徒たちの反応を見て、フェイはニヤリと笑った。
「学院のルール? そんなの関係ねぇよ」
「……え?」
「俺は”実際に使える魔術”を教えるためにここに来たんだ。それに、教室でお行儀よく座学なんてつまらないことはしねぇ。お前らに必要なのは、“魔術を実戦でどう使うか”だろ?」
生徒たちは息を呑んだ。
彼の言葉には、強い説得力があった。
「さぁ、着いてこい! 今日は”魔術の使い方”を叩き込んでやるぜ!」
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迷宮都市・第3訓練区画
学院が管理する迷宮の一つ、“第3訓練区画”。
ここは比較的安全な低階層を選んでおり、魔物の強さも控えめだ。
それでも、実際に魔物と戦うことになるのだから、生徒たちの緊張感は高まっていた。
「さて、お前ら。今から中に入るが…中では魔術を使うな」
「……は?」
生徒たちはフェイの言葉を理解できなかった。
「いや、先生? 俺たち、魔術学んでるんですよ? なんで魔術を使っちゃダメなんですか?」
「ふむ、じゃあ質問だ。お前ら、“魔術を使う”ってどういうことか、ちゃんと理解してるか?」
「そりゃ……詠唱して、魔力を放出して、術式を発動させて……」
「ざんねーん、不正解!」
フェイはバッサリと切り捨てた。
「魔術ってのは、詠唱して放つだけのもんじゃねぇ。“魔力の流れ”を読めなきゃ、実戦じゃどうにもならねぇんだよ」
彼が手をかざすと、魔力の流れが視覚化されたかのように、空気中に青白い光の筋が浮かび上がった。
「魔術を撃つ前に、まず”魔力の流れ”を知れ。それができない奴は、ダンジョンで魔物にやられるだけだぞー」
世界最強の"レベル7"のもとで魔術を教わってきたフェイは、当時は使えないながらもその知識だけは完璧であった。そのフェイが考えた最初の授業は、“魔術の流れ”を読み取る訓練だった。
生徒たちは言われるがままにダンジョン内の魔力の動きを観察する。
「う、動いてる……」
「魔力って、こういう風に空間を流れてるんだ……!」
「そうだ。魔術ってのは、この流れを利用して発動する。でも、お前らはこの流れを無視してる。だから詠唱が長くなるし、魔力を無駄に消費するんだよ」
フェイの言葉に、生徒たちは驚きを隠せなかった。
今まで「詠唱を覚える」ことばかり意識していたが、本当の魔術は”流れを操ること”だったのだ。
「じゃあ、ここからが本番だ。魔術を使わずに、魔力の流れだけで魔物の動きを予測してみろ」
迷宮内を進むと、Dランク指定モンスター、【ゴブリン】の群れが現れた。
「さぁ、こいつらを相手に訓練開始だ」
「えっ、でも魔術使っちゃダメなんですよね!?」
「使わなくても、“魔力の流れ”を読めば相手の動きが分かるだろ?」
生徒たちは必死に魔力の流れを読みながら、ゴブリンの動きを見極める。
するとーー
「……あ、次に攻撃してくる場所が分かる!」
一人の生徒が気づく。
「そうだ。“魔力の流れ”を読めれば、敵の動きも予測できるんだよ」
「す、すげぇ……!」
最初は戸惑っていた生徒たちも、次第に”魔力の流れ”を利用して回避を始める。
フェイは満足げに頷いた。
(これでようやく、こいつらも“魔術の第一歩”に立ったな)
ダンジョンでの実習を終え、生徒たちは明らかに魔術に対する考え方を変えていた。
「先生、魔術ってこんなに奥が深かったんですね……!」
「俺、今までただ詠唱してただけだったんだ……」
「次の授業も楽しみです!」
生徒たちは皆、フェイの授業に引き込まれていた。
(よし、これで第一段階はクリアだな)
そう思いながら、帰ろうとしたその時ーー
ズシン……!
迷宮の奥から、異様な魔力の波動が響いた。
「……あ?」
フェイは眉をひそめる。
(おいおい……なんか、ヤバいのが来るぞ…)
彼の直感は、よく当たる
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