異世界から昭和295年の現代に転移した僕がおったまげた3つの出来事
第一次報告書
転移1日目
異界探査官
賢き血族に連なる
若葉の次女の
孫娘の一族 ネリュ
壁一面に描かれたGalkyi_Galpia――ブラウン管テレビと言うらしい――によれば、今日は昭和295年10月25日だ。
僕よりも少しRyon(お姉さん)が、劇場絵画を見ている人に向けて今日の出来事を話している。
高度な魔術回路を備えている劇場絵画を持てるのはそれなりの地位にいる者だろう。しかし、少なくないはずだと思考できる。その劇場絵画を持っている少数の人に向かって、Ryon(お姉さん)は話をしているのだろう。それは少し考えればわかることで、まさか自分に向かって話しかけてきたと思い込み、気づかずしばらく噛み合わない対話をするような者はいないはずなのだ。
僕がこういったことを理解できるのは、僕が統計翻訳能力が正しく発動しているからだろう。話していることも、表示されている日付も、違和感はあれど差し障りなく理解が出来る。
例えば昭和295年というのは、Rycm-Ousが295年も続く古い王家、という意味だろう。
僕が住んでいたNeveiwr-Ous(ネビュラ血族の国)でもRycm-Ous266年だから、このニッポ・・・にほ?Nipo-Oun?のほうが少しだけRyonだね。
Neveriwr-Ousから魔法事故でこの世界に転移してきた、と、この世界の人には説明したけれど、僕の使命はこの世界の情報を本国に届けること。
実際に転移するまでわからなかったけれど、幸運だったのは、文化が発達していること。人里離れた場所を自動的に選ぶ術式を組んだとおり、山奥に転移したんだけど、すぐ近くに整った道があったのには驚いた。
道は国家の大動脈とはNeveiwr-Bail(ネビュラ賢者:ネビュラスの初代統治者)の賢き詞の一つだけれど、こんな山奥にまで道が整っているとは。
怪物に荒らされコストがかかるだろうに、それでも、田舎に住む人のために道を整えているのだろう。