表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第1章 突然の縁談
8/323

07

「先輩、なんで名乗り出ないんですか」

「だって私ホワイトピジョンじゃないし」

 ひそひそとやり取りするヨワとユカシイの隣でふたりの騎士もこそこそと会話していた。

「お、おい。どっちがホワイトピジョンだ」

「俺に聞くな。知らねえよ」

「まさか間違った人物を連れてきたのか」

 一段低くなったスオウ王の声に騎士たちの背がまっすぐ伸び上がった。

「そんな、まさか。ちゃんとあの大学教授に聞いた部屋にいましたよ」

 小柄な騎士が慌ててそう答える。ヨワは大学教授と聞いて思い当たる人物がひとりいた。ユカシイもハッとした表情でヨワを見た。

「だったらなぜ黙っておるのだ」

「お待ちください陛下!」

 そこへ右手の扉からひとりの男性が謁見の間に慌てた様子で入ってきた。白髪混じりのネズミ色の髪にこんもりとたくわえた口ひげ。丸メガネに大学のローブとエプロンを身につけたいつもの格好のロハ先生だった。

「ダメだよ、ヨワ。屁理屈はやめてきちんとごあいさつしなくちゃ」

 ヨワは自分のことを王や騎士に教えたのはロハ先生しかいないと確信していた。きちんとした住所がなく、大学の研究室の片隅で暮らしているヨワの居場所はロハ先生やユカシイなど研究室仲間しか知り得ない。ヨワはそれでよかった。自分の存在を知る者はできるだけ少ないほうが気楽でいられた。

「先生がこんなところにいらっしゃるなんて意外でしたよ」

 特にヨワを助手として誘ってくれたロハ先生のことは信頼していたが、あっさりと口を割ったらしい彼に裏切られた心地だ。ヨワはたっぷりと不満と不信を込めた目でロハ先生を見つめた。

「ごめんね、ヨワ。勝手なことして悪かったと思ってるよ。でも事はかなり逼迫している。きみにも関係のあることなんだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ