表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第3章 クリスタルの実
65/323

64

「山男として興味がないと言えば嘘になるが。俺はもうちょっとピカピカした“石”のほうが好きだ」

「金か」

 バナードはしかめ面をつくった。

「山小屋を回すにはもちろん、山を守るためにも先立つものは必要なんだ」

「いつも私たちをもてなしてくれるのは?」

 ヨワは首をかしげた。

「タダじゃない。ロハ先生から金をもらってる。でも心配することはない。研究資金として大学から出してもらえる」

 こんなにちゃっかりしている人だったのか。胸中で思いながらヨワは苦笑った。山開き中の山小屋の儲けだけでどうやって一年間過ごしていけるのだろうと考えたことはあったが、彼に関しては無用の心配だった。

「じゃあまたひとりでここに居残るんですか」

 ユカシイの問いにダゲンは「いや」と首を振った。

「騎士がいつ何人体制で来るとか動向がわからない。ふもとの町の屯所で情報を待つよ。そうだな、こっちには用意があると伝えとくか」

 そう言ってダゲンは足早に二階へ上っていった。きっとロハ先生はまだ伝書ハトを飛ばしていないだろう。

 山小屋での最後の夜、ヨワとユカシイとリンはカードゲームで大いに羽目を外し、その勢いのまま寝袋を投げ合い、恥ずかしい思い出を暴露し合った。

 ヨワの恥ずかしい思い出は寝ている間に浮遊の魔法を使ってしまい、寝ながら宙をふよふよ漂って気づいたら教室の机の上にいたことだ。清掃のおばちゃんに目撃され笑われたことは今振り返っても居た堪れない。だが、リンが兄弟間でしかけ合った数々のいたずらを話した時は、ヨワもユカシイも身をよじらせいつまでも笑いが止まらなかった。

 そうして気づけば三人とも雑魚寝で朝を迎え、名残惜しい気持ちを抱えながらロハ先生とバナードとダゲンとともにカカペト山を下りた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ