表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第3章 クリスタルの実
64/323

63

 それからヨワたちはダゲンから留守中のことを聞いた。伝書ハトの知らせを受けてコリコ国から五人の騎士が来たそうだ。彼らは見張りにふたりを山小屋に置いて周辺を見回りした。しかし怪しい人影も痕跡も見つからなかった。騎士はカカペト山中とふもとの町の警備を強化する準備が進められているとダゲンに伝え、ヨワたちが捕らえたふたりの盗賊を連れて山を下りていったそうだ。

「あたしたちは明日下山しちゃうけど、ダゲンさんはどうするんですか」

 ユカシイは心配そうにダゲンを見つめた。

「今ここに留まるのは得策じゃないだろうなあ。いったん山を下りることにするよ」

 それを聞いてユカシイは弾んだ声を上げた。

「じゃあ明日いっしょに下りましょうよ」

「実はそのつもりで準備していた」

 ダゲンといつもより長くいられることに喜び振り返ったユカシイとヨワはハイタッチした。そこへ突然ロハ先生が大声を上げてイスから立ち上がった。

「あそこには貴重なクリスタルの実があるって王様に伝えなくちゃ。ダゲン、ちょっと伝書ハト貸して!」

 ロハ先生はダゲンの返事を聞く前にハト小屋がある二階の階段を駆け上っていった。その姿を見送ったダゲンは神妙な面持ちであごに手をやった。しばし考えたあと、リンに視線を向けて口を開いた。

「貴重なクリスタルがあると知ったら王はあの洞窟に騎士を配備するよな」

「おそらく。それがなにか」

「そしたらこの山小屋は詰所にぴったりだ」

 ヨワはふとダゲンの言わんとしていることに気づいた。

「もしかしてダゲンさん、騎士といっしょに山小屋に残るつもりです?」

 山小屋の主はにやりと笑った。とたんユカシイが不満の声を上げる。

「なんだ。きみもクリスタルに興味を持っていたのか」

 バナードが意外そうに言った。ダゲンは後頭部を掻き、あいまいに笑みをもらす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ