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浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第3章 クリスタルの実
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 ロハ先生の説明にユカシイは非難の声を上げた。

「えー! クリスタルならなんでもいいんじゃないんですか」

「魔力に反応して蓄積はするけど、力を強めてくれるのはほんの一部の実だよ。って教えなかったっけ?」

「初耳ですう」

 ロハ先生の指示を受けてヨワはみんなをそろそろと地面に下ろした。ヨワの魔力が弱まるのに呼応してクリスタルは輝きを落ち着かせる。一度に何人も宙に浮かべたことははじめてだったので、全員がきちんと地に足を着けた時ヨワの口から思わずため息が出た。

「すげえ。俺はじめて空飛んだ。ヨワの魔法ってすごいな!」

「こ、これくらいみんなできるから」

 男性から称賛されたことがないヨワはつい強がった。横からユカシイがすかさず「いや、みんなできないから」とつっこみを入れた。

「うーん! しかし本当にすごいぞ。前はちょっと違和感を覚えるくらいだったのに、今また少し濁り具合が増したように見える」

「魔力を溜めると濁るんですね。もっと輝きが増しそうなのに」

 ユカシイの言葉にロハ先生はうなずいた。

「僕も意外だったよ。もしかしたら巨樹を知ればクリスタルの理解も深まるかもしれない。帰ったらさっそくコリコの樹の資料をひっくり返さなきゃ」

 意気込むロハ先生の声を聞いてヨワはげんなりとした。先生が引っ掻き回した資料を元通りにするのはヨワの役目だった。助手の悲しいところだ。


 昼はダゲン手製の焼きおにぎりときゅうりのしば漬けとからあげが入った弁当を食べた。午後の調査はみんな黙々と進めた。なにせ悪路ゆえ日が暮れると危なくて通れなくなる。

 午後三時。まだ日が高いうちに調査は切り上げられた。クリスタルの実は入念に布をかけて保護し、洞窟をあとにする。ロハ先生はまだ調べ足りないという顔をして何度も振り返った。

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