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浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第2章 カカペト山
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 その申し入れに感謝を述べてロハ先生は受け入れた。次にヨワとユカシイに視線を移した先生がなにを言うかなんてわかりきっている。ヨワはロハ先生が口を開く前に立ち上がった。

「私も行きます。ひ弱でおっちょこちょいな先生を残して帰れるはずがない」

「先輩が行くならあたしも行きますからね」

 そう言ってユカシイもつづいた。そうなるとヨワの護衛であるリンもついていくことになり、ひとり山小屋に残すよりは安心ということでダゲンもいっしょに行こうと話が持ち上がった。あれよあれよと決まりそうになった話にロハ先生が待ったをかける。先生はヨワに視線を定めた。

「ヨワ。きみは今大事な身なんだよ」

 ヨワも負けじと正面からぶつかった。

「先生。忘れてはいないでしょう。私の居場所をあなたが作ってくれました」

 中学校を卒業するとともに成人したヨワは、ホワイトピジョンの名前を取り上げられ帰れる場所を失った。周りの子たちの半分は結婚し、もう半分は専門学校に進む中でヨワはお金もなくどこへも行けなかった。そこへ声をかけてくれたのがロハ先生だ。

 もう二度と失いたくない。

 そのヨワの思いを汲み取ったのか先生はそれ以上なにも言わなかった。

「ひとつ話がまとまったところでいいか。俺はここに残る」

 ダゲンの言葉に誰もが驚きの声を上げた。

「納屋に縛りつけてる奴らのこと忘れてるだろお前たち」

「しかしやはりひとりは危険です」

 そう詰め寄るリンにダゲンはからからと笑って力こぶをつくって見せた。

「山男をなめるな。それに明日の午前中には騎士が奴らを引き取りに来るだろ」

 リンはしばし顔を伏せて悩んでいるようだったが、最後はダゲンの言葉と筋肉を信じることにした。

 夕食のあとヨワとユカシイはダゲンにたいてもらったかま風呂に入った。男性陣にも勧めたがロハ先生もリンもバナードも自分のにおいを嗅いでだいじょうぶだと宣った。信じられない。

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