表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第6章 海
183/323

182

 にこりと微笑んだウララにヨワはお礼を言った。我が子を愛し深く信頼している笑みだと思った。改めてユンデの幼さなど関係なく、彼の想いに真っ直ぐ向き合いたいと心を決めた。それと同時に子どもの成長を揺るぎない愛で見守るウララの眼差しがうらやましく感じた。もしも自分に子どもができたら彼女のようにそばにいてあげたい。

 日時などの詳細は手紙でやり取りすると約束して、ヨワとユカシイとリンは帰ることにした。ウララが階段口からユンデに声をかけるもついに男の子は姿を見せなかった。海にも行きたくないと言うかもしれない。ヨワの心配を察したようにウララは「よく話してみます」と言った。

 最後に突然の訪問になったことを謝ってヴィオレフロッグ家をあとにした。数歩進んだところでヨワは窓を見上げてみたがユンデが覗き込んでいることはなかった。

 先を歩いていたリンが敷地から出ようとした時、細身の男性と行き合った。

「おや。きみたちは」

 くっきりとほうれい線が浮かび上がった彫りの深い顔、波打つ髪を肩まで伸ばし後ろでゆるくひとつに結んでいる。かすかに見開いた目の水色と、日の光の元でさらに赤く見えるくせっ毛はついさっきまで会っていたユンデやウララによく似ていた。

「私はこの家の主ジャノメだが、なにか用があったのかね」

 ユンデの父親だ。ヨワは前に進み出て自己紹介をした。するとジャノメはすぐ合点がいったようでひかえめな笑い声をもらした。

「そうか。きみが息子のガールフレンドか」

 それを断るためのデートに誘いに来たのだ。そう言い募ろうとしたヨワの言葉を遮ってジャノメは笑みを浮かべたままうなずいた。

「わかっているよ。息子のためにわざわざ家まで来てくれてありがとう。ユンデは純粋だ。きっときみへの好意もそうだったに違いない。息子を許してくれるだろうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ