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ところが、ヨワとユンデを見比べたウララはひとつ息をついて困った表情を浮かべた。ユンデは母から離れ、壁に背を張りつけてそっぽを向いた。
「すみません、ヨワさん。この子がご迷惑をおかけしたみたいですね」
「あの……?」
「最近ユンデが大人の姿で出かけていることは知っていたんです。あ、私たちの魔法のことはご存知ですか?」
ヨワはうなずいて話の先をうながした。
「どこでなにをしているのか気になってはいたのですが、悪さをするような子じゃないから信じてあげようと主人と話していたんです。そしたらコリコ祭りから帰ってくるなり『年上のガールフレンドができた』なんて言うものですから驚きました」
本当にすみません、とウララは深く頭を下げた。ヨワは慌てて顔を上げるように言った。ヨワにもユンデの好意を利用しようと下心があった。一方的に謝罪を受ける立場にない。
立ち話もなんですから、とウララに招き入れられヨワとユカシイとリンはリビングに通された。ガラスのローテーブルを囲むソファーに座ると、どこから現れたのかソゾロがひらりとリンのひざに飛び乗ってきた。ソゾロはリンになでられてゴロゴロとのどを鳴らしている。それを見ているユンデは所在なく立っていた。
「ユンデ?」
隣を示して呼びかけたが少年はキッチンで飲み物を用意している母の元に駆けていった。ヨワとは目を合わせようとしなかった。ウララの服を掴む手はすがるようだ。謝る母を見て責められている気持ちになってしまったのだろうか。
「すねてるんだよ。少しそっとしておけば治るさ」
様子を見ていたリンがそう声をかけてくれた。
ウララが用意してくれたハーブティーを片手にヨワは海に行く計画を話して、ユンデとウララもどうかと誘いかけた。




