表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第6章 海
171/323

170

 それもバナードが一向に口を割らないからだろう。リンは尋問の内容をヨワにひとことも喋らないが、芳しくない表情を見ればだいたいわかる。ヨワの護衛に復帰するのを六月まで待ってねばった収穫がゼロでは、苛立ちが思わず顔に出てしまうのもうなずける。

 気分転換が必要なのはヨワだけではないようだ。それならユカシイの言葉に乗ってみるのもいいかもしれない。バナードの一件以来ますますべったりとついて回るようになったユカシイの心も晴れることを願ってヨワは明るく話しかけた。

「じゃあどこへ行く?」

 ユカシイは見るからに喜んで「待って、待って」と悩みはじめた。行きたい場所がたくさんあるようだ。

「海はどうだ?」

 そう言ったのはリンだった。先を越されたユカシイがすかさず噛みつく。

「季節を考えてよ。それに先輩は海には行かないわ」

「じゃあ川」

「なんで水辺ばっかりなのよ!」

 ふたりの軽妙なやり取りがおかしくてヨワは笑った。

 お楽しみのお出かけ先は歩きながら話し、ヨワとリンとユカシイは中央図書館へ向かった。その南玄関口でヨワはある人と待ち合わせをしているのだ。

「パームさん! ポポイさん!」

 ヨワの呼びかけに玄関口で待っていた氷屋の若夫婦は笑顔で応えた。

 ヨワがコリコ祭りで気になった氷の魔法使いの若夫婦は、祭りが終わったあともコリコ国に滞在していた。というのもヨワと同じように彼らを祭りで見かけた城つきの司書が呼び止めたのだ。彼らの魔法は城の貴重な資料を保存するのに打ってつけだった。

 その情報を耳にしたススドイ大臣が中央図書館の資料もぜひにと依頼した。しかし城の書庫とは二倍も三倍も蔵書量が異なり、若夫婦の滞在期間は当初よりも延びに延びていた。もちろんその間の費用はススドイ大臣、ひいてはスオウ王持ちだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ