表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第4章 告白と王子
139/323

138

「〈ナチュラル〉ねえ。庭番に〈ナチュラル〉のやつは入れないんだが」

「そうなの?」

 ヨワは意外に思った。〈ナチュラル〉は自然を尊び愛する思想だ。中でもコリコの樹のような巨木は神として崇めている。コリコの樹を思い、人知れず守る庭番に〈ナチュラル〉ほど適した思考の人物はいない。ヨワにはそう思えたのだが、ススタケはあごに手をやってゆるく首を横に振った。

「ダメなんだ。俺たちはコリコの樹を守るためにこうして幹をくり貫いて薬品を使ってる。〈ナチュラル〉のやつらにとっては言語道断の行為だ」

 ススタケの話を聞いてヨワはバナードが農園の野菜には手作りの肥料や防虫剤を使っていることを思い出した。人が魔法で作り出した薬は一切使用しない。すべて自然の材料で手間暇をかけたものでないと納得しないとバナードが話していた。その強いこだわりは彼が〈ナチュラル〉だからこそだと感じたのを覚えている。

「それなら私の勘違いだったのかな」

「いや。庭番になってから考え方が変わった可能性もある。黒髪っつうのもシオサイしかいねえが、まあそっちも変装かもしれねえからな。全員に探りを入れてみる」

 そこへにわかに歌がはじまった。酒タルのそばですっかり酔っぱらったズブロクとマンジが嫌がるシオサイを巻き込んで肩を組み、思うままのテンポで歌詞を口ずさむ。どうやら庭番がテーマの歌らしい。それはこんな歌詞だった。


  俺たちゃ庭番 ヘッジホッグ ヘッジホッグ

  長いツメも 大きなキバも 必要ない

  虫ケラと同じ 地を這って コリコを守る

  羽をトゲに変え 声に耳傾け 庭を守る

  できないことは誰かにお願い

  知らないことはみんなで考える

  それが俺たち ヘッジホッグ ヘッジホッグ

  根っこの家族

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ