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「さあ戻って歓迎会だ!」
封印の扉は閉める時もヨワが魔法でやらなければならなかった。なんでも浮遊の魔法使い以外の者が触れると勢いよく弾かれるそうだ。そう話すススタケは労るように手をなでていた。相当痛いらしい。
はしごの縦穴は再びヨワの魔法で上った。その途中でヨワはススタケに尋ねた。
「ねえ、まだ他にも庭番っているんでしょ。さっきの封印とか」
「その通り。封印の魔法使いと光明の魔法使い、それにレッドベア家の薬師もズブロクの他にふたりいる。あと忘れちゃならないのが俺」
「ススタケさんも魔法使いなの?」
「おいおい。王族が魔法使えなかったら寂しいだろ」
大げさに傷ついたふりをしてみせるススタケにヨワは笑った。確かに王族が魔法を使えないのは少し格好がつかないと思うが、考えてみると王族が魔法を使うところを見たことがなかった。
「ま。俺たちは魔法を使うって感じじゃないから知らなくても仕方ないな」
どこかで聞いた言葉だ。ススタケは空中遊泳を楽しむように逆さまになって耳をとんとん叩いた。
「王族は植物の声が聞こえるのさ」
「本当にっ? じゃあコリコの樹も? あっ、さっき言ってた本人って本当に本人だったんだ!」
「そうそう。ヨワを引き止めたのもコリコの樹がそう言ったからだ。なんでなのか最初はわからなかったが、ヨワが浮遊の魔法使いってことを知ってたんだな」
ススタケの話を聞いてヨワはカカペト山で聞いた不思議な声はやはり魔法だったのだと確信した。それでも誰の声でどうやってヨワに届けたのかはさっぱりわからない。他にも類似の魔法があるのかヨワはススタケに聞いてみようと思った。だがその前に「あ!」という大声に遮られてしまった。
「ちょっと待ってくれヨワ。大事なことを言い忘れていた」




