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下りていく内にランタンの緑色の光が弱くなっていった。
足が地に着くとまた扉が現れた。しかしススタケはすぐには開けなかった。
「いいかヨワ、よく聞いてくれ。この扉は庭番の長である俺にも開けられない」
「えっ」
「開けられるのはお前たち、浮遊の魔法使いだけだ。そういう封印がこの扉に施されている」
ヨワは今一度よく扉を見た。しかし大きさも色も取っ手も今まで見てきたたくさんの扉となんら変わりはなかった。ススタケに開け方を教える、と言われヨワは扉に近づいた。
「扉に手をかざす。そして力じゃなく魔法で扉を開けるんだ。さっきもやってただろ?」
扉に向けて両手をかざしてヨワはうなずいた。魔法で扉を開けることはいつもやっている横着だからなにも難しいことではない。しかし、ホワイトピジョンの名を取り上げられた自分の魔法で本当に封印を解くことができるのか、ヨワは緊張で胸が詰まった。
「でもどうしてあなたじゃなくて、浮遊の魔法使いが開けられるようにしたの?」
「扉の向こうを見ればわかるさ」
ぽんと肩を叩かれてヨワはようやく意思を固めて封印の扉に向け魔法を放った。なんの抵抗も感じなかった。扉はヨワを受け入れるように押し開いた。ススタケが手で指し示す。うながされてヨワは青い光がこぼれる扉の中に踏み込んだ。
「これ知ってる」
太い根の間にまるくあいたうろにはまる石を見てヨワはつぶやいた。人の頭ほどの大きさでまるく、表面はくすんでいようとなによりも強く青く魔力に呼応する。
「クリスタルの実だ」
カカペト山のクリスタルの根っこの下でひとつだけ見つけたそれよりも、目の前にある石はさらに鈍く照りながらしかし青より濃い藍色に輝いている。小さな部屋はクリスタルの光に染まりまるで海の底のようだった。




