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務め。スオウ王やススドイ大臣が話していた国家の安全と機密に関わる務めのことだ。それはホワイトピジョン家の者なら知っているべきものだが、ヨワは不義の子ゆえにひとりだけ教えてもらえなかった。
「ヨワの歓迎会やるから準備しとけよ、お前ら」
そう言ってススタケはヨワの肩を抱いて歩き出す。庭番たちはにわかに目を輝かせて喜びの声を上げた。
「酒も開けていいんですよねえ?」
ズブロクの期待に満ちた声にススタケはにやりと笑った。
「もちろんだ。じゃんじゃん開けろ。惜しむなよ」
一際高まった歓声が弾けるのを背に聞きながらススタケはヨワをどこかへ連れて行こうとしている。ヨワは背の高い彼を見上げた。
「私が本当に庭番の仲間になってもいいの?」
「当たり前だろ。なんでそんなことを聞く?」
心底不思議そうに問い返されたことがヨワにはうれしかった。「聞いてみただけ」と返してヨワは庭番の仲間のことを思う。容姿も性格も年齢もばらばらだ。ヨワには今まで接することのなかった個性の持ち主たちが集まっている。それでもみんな仲間として互いを認め受け入れていることが肌でわかった。それはきっとススタケのまとうおおらかな空気が影響している。誰もがみんなススタケを見る目は親しみにあふれていた。
そうでなかったらあの遊び心の数々は芽生えない。
ススタケはたくさん並んでいる扉の中からひとつを開けてヨワを通した。ヨワにはちっとも見分けのつかない扉をよく迷いもせず選び出せるものだと感心した。
扉の先にはまた扉があり、その扉を開けると長い長いはしごが地の底まで届いているのではと思うほど下に伸びていた。これを下りるのは大変だと覗き込んでいるヨワにススタケは「下ろしてくれ」と言った。一瞬きょとんとしたがヨワはすぐに魔法をかけて、ススタケとともにはしごを横目に辿りながらふわふわと下りていった。




