表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮遊の魔法使いヨワ  作者: 紺野真夜中
第4章 告白と王子
124/323

123

 やる気のない「おう」という返事とまばらな拍手が起こった。ススタケは次に庭番の仲間をヨワに紹介した。はじめに指をさしたのは床から出てきた男性だ。

「このタンクトップのダミ声のいかついおっさんはマンジ・グッドリーフ。野外区の庭師だ」

 マンジは片手を挙げて応えた。スキンヘッドにねじりはちまき、黒々とした眉が特徴的な彼はしっかり日焼けした肌色も相まって頑固そうに見えた。

「そんで正面にいるひょろいのが、毎度お馴染み赤クマ印の薬師ズブロク・レッドベアだ」

「どうもお」

 間延びした口調に無気力な表情とは裏腹に、ズブロクの髪は真っ赤でワックスをぬっているのかツンツンと逆立っていた。服装はやはり作務衣だがベンガラやハジキと違って派手な黄色に染まっている。マンジは五十代といったところだが、ズブロクはまだ若く三十代に見えた。

「そしてこの中では一番の新顔、ヨワからすればひとつ先輩にあたるシオサイ・ブルーウェーブだ。植物学者を目指すために港町から移住してきたんだ。今は東区イルミナル大学に在籍してる」

「はじめましてヨワさん。よろしくお願いします」

 シオサイは礼儀正しく握手を求めてきた。黒い髪は短く整えられ好印象を受ける。青い目はおだやかに光を湛え口元はやわらかくはにかんでいた。大学に在籍している、と言ったがシオサイは若くても四十代に見える。しかし仕事のためや退職後の生きがいとして後々に大学入学する者は珍しくない。

 ひと癖もふた癖もありそうな庭番の中では一番親しみやすそうな彼がひとつ先輩でよかったとヨワは安堵した。

「って違う違う! 私庭番になるつもりはないから」

「なに言ってんだ。ホワイトピジョ……あー、ただのヨワか。とにかく浮遊の魔法使いはもれなく庭番の仲間になる。それが決まりで務めってやつだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ