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狼シェフと愉快なレストラン  作者: ただっち
第1部:秋月一族編
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雷オーナー討伐作戦

【いいかい、楓――魔法って言うのはね】


え?

シロンさんの声?

頭の中に何か――これは前世の思い出?

どこかの研究室で、目の前には若い姿のシロンさんがいる。


【魔法って言うのは、信じる力―――そして、祈り。 この要素が合致して初めて使えるんだ】


信じる力―――祈り―――。


【僕は出来る、絶対に―――そして、事象に感謝の祈りを捧げる。 まあ、始めは難しいけど慣れれば―――って、もうお前魔法使えるようになったのかよ。 理解力ありすぎ】


……。


【いいかい、魔法は信じて祈れば誰でも使うことが出来る神秘の力なんだ―――それだけは、忘れちゃだめだよ―――】


信じて、祈る。


「楓くん、魔王の城に行って雷オーナーに会いたいよね」

「はい! どんな時でも優しくしてくれる雷おじちゃん、たまにセクハラしてくる雷おじちゃん、みんなを笑顔にしてくれる雷おじちゃんに会いたいです‼」


真ん中の奴はいらないけど―――俺も会いたいんだ。

雷オーナーに‼

「魔法―――お願い―――俺と楓くんを雷オーナーの所に連れてって!」


この祈り―――届いてくれ。


―――――



【一方、魔王城では】


天野教授VS魔王インフィニティ。

この両者には因縁がある。

と言うのは、遡ること宇宙創世時代よりはるか前―――。

二度目のビッグバンが起こる前の出来事に遡る。

宇宙戦争に発展した人類はその強力な兵器により、故郷である地球はおろか―――すべての銀河を破壊しつくしてしまった。

その発端となる兵器を偶然にも生み出してしまったのは、当時中学2年生だった若き天野翔琉教授である。

とは言っても、彼は今の天野教授とはまた別の存在。

多次元宇宙に存在した、別の天野翔琉だったわけだが。

その彼が生み出した兵器は彼が封印しようとした矢先に、悪い大人たちによって悪用されてしまう。

しかも、その兵器の唯一止める方法を知っていた天野翔琉はその大人たちによって殺されてしまった。

故に大人たちは、身を滅ぼし、世界を滅ぼし、そして――――始まりの宇宙は一度完全に消滅することになった。

それがビッグバンの裏側―――歴史の裏側である。

そんな中生き残れたのは、数人の不死者たちととある世界だけだった。

その不死者たちは、神と言う存在に成り代わり、再び世界を創造した。

それが第二次ビッグバン現象―――この世界の成り立ちだ。

さて、話を戻すとしよう。

天野教授と魔王インフィニティ―――この2人の因縁とはつまりはそういう事だ。

世界を滅ぼした旧時代の者達の怨念が神と呼ばれていた雷オーナーに憑りつき魔王となった。

故に、兵器開発者にして不死者であった別次元の天野教授の事を恨んでいる。

これが全ての始まりだったのだ。


―――――


「そろそろ決着をつけるときだね」

 

 天野教授は、ボロボロで這いつくばっている魔王インフィニティに言葉を投げ掛ける。

 しかしながら、こんなにもボロボロの雑巾のようにされても魔王インフィニティは諦めない。

 なぜなら、怨念だからだ。

 恨みは決して癒されない……どんなに月日を重ねても、どんなに昔の事でも。

 人の抱いた憎しみや怒りや悲しみはいつまでも留まってしまう。

 それが、怨念と言うものなのだ。

 

 「己ぇぇ!! 天野翔琉ぅぅぅ!!」

 

 魔王インフィニティの声は轟きのごとく、辺りを振動させる。

 最早羽をもがれた魔王は成す術がない。

 時間停止も、空間転移も、魔法も……天野教授の前では無意味だ。

 

 「さて、魔王インフィニティ……雷くんの肉体……返してもらうよ!! 」

 

 天野教授の放つ光に包まれる魔王インフィニティ……しかし、雷オーナーから離れることはなかった。

 

 「無駄だよ……この虎の魂はガチガチに我々で固めている。 いくらお前とて、そう簡単には……」

 「いいや、できるよ……いまから、来る希望があればね」

 

 そういった瞬間に、天野教授……いや、お父さんの前に俺は、俺たちは現れたんだ。

 

 「で、できた……」

 「わぁ!! 教授しゃんに雷おじちゃんです!!」

 

 魔法による移動……やってみれば凄いことだ。

 けど、これは馴れるまで辛い……頭がいたい。

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 汗ばんで少し悶えてしまった。

 

 「迅雷しゃん、大丈夫ですか?」

 「う、うん……」

 「ショ……」

 

 ん?この聞き覚えのある声は……と思って振り向くと、ボロ雑巾のようになりながらヨダレを垂らしてこちらを見ている変態……雷オーナーがいた。

 

 「ショタキタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 「いまだ!! 光天神(こうてんしん)!!」

 

 お父さんから放たれた美しい光は、雷オーナーの肉体を貫き、魔王インフィニティの核とも呼べる禍々しい塊を放出させた。

 そして、雷オーナーはといえば……。

 

 「ショタ最高♪」

 「雷オーナー、くすぐったいですよ」

 「わぁ、おじちゃん!尻尾舐めないでください!!」

 

 俺と楓くんをがっちりと掴んでいた。

 優しく、優しく……。

 そして、笑みと涙を同時に浮かべていた。

 

 「お帰り、雷オーナー」

 「お帰りなさいです、雷おじちゃん」

 「ただいま……こんな危険なとこまで来てくれてありがとう……」

 「やれやれ、ディルのやつ……迅雷たちを送り込んで来るとは思っていたが、迅雷を子供姿に戻していたとは……」

 

 と、呆れたように首を振るお父さんだが、懐かしいように俺の方を見ていたのは覚えている。

 そしてその直後に魔王インフィニティの核はお父さんの身体を乗っ取ろうと迫ってきた。

 

 「肉体ィィィィィィィィィィィィ」

 「無駄だよ……魔王インフィニティ……旧世界の産物よ……無に帰れ。 光魔法【絶対の(アブソリュートレイ)】!!」

 

 辺りに浮かび上がる惑星一つ一つを模した球体が出現し、そこからまるでレーザーのように放たれ照射された光が魔王インフィニティの核を覆い尽くし、そして消滅させた。

 

 「これで、魔王インフィニティは永劫に消えた……ふぅ……なんとかなった……」

 

 ガクッと、お父さんは膝をついていた。

 さすがに消耗が激しかったようで、息が上がっていた。

 「やれやれ、歳は取りたくないものだね」

 「翔琉……ありがとう」

 「お、ようやく普通に翔琉って言ってくれたね雷……よかった。 助けられて」

 「うん……迅雷、楓……二人もありが……!!」

 

 雷オーナーのお礼が言い終わる前に、すさまじい音が辺りに木霊する。

 なにか、なにか恐ろしい……ものが。

 

 「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 と巨大な声が響く。

 そして、次の瞬間俺たちのいた魔王城の前にあった惑星がこちらを睨み付けた。

 この表現は正しいと思う。

 だって、あの惑星には顔がついていたのだから。

 真っ赤な目に黒い笑み……。

 某ゲームの月を彷彿させるような、その風貌に思わず楓くんは身を震わせ怖がっていた。

 

 「アマカッタナ天野翔琉ゥゥゥゥゥゥゥ」

 「魔王……インフィニティ……!!」

 「我ハ何度デモ蘇ル……何度デモ、何度デモ!!」

 「でも、忘れてるよね……魔王インフィニティ……雷くんの肉体から離れたお前は時間凍結を使えない……と言うことは」

 「私たちの出番よね!!」

 

 そう言って現れたのは、ディル=トキヨミ……俺の母親と、ハスキー先輩たちだった。

 

 「さあ、反撃開始だ」

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