2 ざる。めん。
どの作品も続ける根気こそ最強なんだと思います。尊敬します。
「わたくしが! きましたわっ!」
「うるせえよ」
「うるさいよ」
新たな少女の登場にふたりの声がハモる。
煩いと言われた金髪長髪の少女はめげるどころか、まるで褒め言葉のように上機嫌に屋敷の庭に入ってきた。
「おまえね、もうちょっと静かに入ってこれませんかね?」
男が呆れるように投げかけると、
「まあ! わたくしにはアリシアという素敵な名前がありますのよ。ご存知でしょう? お前などと言われてしまってはどんなに正しいことを言われてもそっぽを向いてしまうかもしれませんわ」
「アリシアさんや」
「はい。なんでしょう?」
「おやつ抜きにすんぞ」
「うぐっ。し、しつれい致しましたわ」
どうせ甘いものに引き寄せられたんだろうと男がカマをかけると、苦もなくひっかかった。
「けどまあお菓子タイムはまだ先だ。まずは頼まれていたカルマ退治をやるぞ」
「「ええーー」」
今度はふたりの少女の声がハモった。
「働かざるもの食うべからず。でしょうが」
「ざるよりラーメンが食べたい」
「食ったことねえだろ」
「だから食べたいんですよー」
褐色の少女と男の会話に金髪少女のアリシアは「ざーめん?」ときょとんとした表情を浮かべていた。
そんなふたりを引き連れて、男は森の奥へと足を進めた。