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現代魔法と未来科学は区別がつかない  作者: arsmgn
一章 クノール遺跡
15/38

15 最後の力技


「ハイブースト――アイン、ツヴァイ、ドライ」


 三枚の木符を取り出して、身体強化の下地を作る。念をこめた木符は発光し、それらをすべて『ホルスター』へとセットする。最後の強化、三重の強化を終える。

 

 身体は光に包まれ、一時的な身の軽さは常識を凌駕する。

 

 あとは右腕の『ガントレット』から、アルマを直接コアへと叩き込むのみ。


『――いまです!』

 アリシアの声、それに答えて床を蹴り上げた。


 跳躍は数メートル先まで届く。身体強化と鍛えた身体は軽く、3メートルの巨体であるカルマの中心も安々と届く。


 ――コアは頭部下、胴上部。


「らあああああああああああああああ!」


 床から柱へ飛び移り、そしてコアへ。

 右手に力を込め、その全力を叩き込んだ。


 バシィン! という鈍さと亀裂が割れる高さが混じる音が響く。


「――波動弾!!」


 叩き込まれたカノンの手甲から、アルマの力が光の矢となり、一直線に貫いた。

 ピシりと、カルマのコアに確実な亀裂がはいる。

 


「やった―――いやまだだ!」


 

 勝利を確信した直後、違和感に襲われる。

 カルマのコアは破損することで消滅し、すべての実体を無くすはず。それがまだ始まっていない、となれば。


 ギギギギギ、という重苦しい音を伴い、カルマの腕が抱き寄せるようにカノンへと近づく。


「だっ。くっそ! 抜けない!」


 全力の踏み込みと打撃はカルマの身体を貫いた。そして、カノンの右手はカルマの体内に残ったままだ。


「なら――直接握りつぶしぃぃい!!!」


 ぐぐぐいっと、身体ごと全体重をかけるように手を伸ばす。


――くっそ! あとちょっとで届くのにっ!


「任せなさい……!!!」


 後方支援を専門に扱うアリシアはカノンに比べてブーストの扱いに慣れてはいない。さらに長引いた戦闘によりブーストの木符が切れかけており、ただ息もキレキレに、よろよろと近づいてくる。


 カルマの身体がコアへの接触を拒絶するかのように痙攣を起こし、その魔の手がさらにカノンへと伸びていく。


「―――ひぅっ!!?」



 その手がカノンの首へと触れ、全身の毛が逆立った。



 けれどカノンは動かない。その手を伸ばし続ける。


「はやくっ、しろぉ!!」

「サンドイッチ、ですわぁ!!!!」


 カルマの身体から辛うじて透けて見えるアリシアの姿が、カルマの背後へヨタヨタとたどり着いた。


 そして。

実体化された白金の杖を大きく振りかぶり―――。

「―――ええええええええいいいい!!!!!」



 どがん、と。背中を押し込んだ。逆方向から押し込まれた力により、カルマコアがカノンの手まで近づき。


「届いた!」


その手にカルマのコアが触れ、カノンが最後の力を込める。


 木符で生み出されたガントレットによりアルマが流れ込み、カルマのコアは静かに黒い霧を残し、小さな白い球体を残して消えていった。




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