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現代魔法と未来科学は区別がつかない  作者: arsmgn
一章 クノール遺跡
13/38

13 錬成術の戦い



「「リアライズ!」」


 ふたり同時に木符から武器を取り出した。

 カノンは白く輝く多節棍。アリシアは白く輝く杖である。

 戦闘直前まで実体化をしなかったことにより、エネルギーの消費はゼロに等しい。これなら全力で戦ってもエネルギー切れを起こすことはないはずだ。


「「ブースト、セット!」」

 

 互いに木符を起動すると、左腕に着けていた『ホルスター』と呼ばれる装置に木符を差し込んだ。

 そうすることで木符を手に持たず、身体強化―ブーストを行使できる。


 ホルスターがなければブーストの木符は肌身から離すわけにはいかず、手に持つ他に手段も多くはない。

両手が自由になるホルスターは錬成師にとって重要な道具であった。

 加えて、ホルスターの重要な要素は木符を待機モードにさせることにもある。




「作戦通り、まずは体表を削るよ!」

「ええ!」




 カルマの弱点はコアとなる中心部以外に存在しない。

 そしてそのコアを叩くためには、硬質化された体表を砕き、亀裂からアルマを届かせる必要がある。




 すでに警戒網へと入り込んでいたふたりに対し、カルマが声もなく攻撃を開始する。

 3メートルの巨体の手は、黒ずんだ巨大な斧が溶接されたように同化している。その手が大きく後ろに反り返り、続いて振り下ろされた。

 先陣を切って懐に飛び込もうとしていたカノンが一旦飛び退く。

 カルマの斧は空を裂いて礼拝堂の床にめり込んだ。


「ぐっ!」


 斧から振り下ろされたエネルギーは、床に巨大なクレーターを作り、辺りのものを破片として周囲のものをさらに壊した。


「っ! 斧にもエネルギー、着弾すると爆発みたいになる!」

「確認しましたわ!」


 声を掛け合いながらお互いの距離感を維持する。


「そんじゃ、修行の成果をだしますか!」

「もっちろん! ですわ!」


 カノンは飛び退いた位置から動き、カルマの背後へと回り込みながら走り近づく。

 ブーストによって加速した身体能力で床を蹴り、柱を蹴り、カルマの注意を削ぐように確実に近づいていく。


 カルマがカノンに身体の向きを変えて巨体を動かしている隙に、アリシアは反撃の狼煙である準備を終えた。


「エリア――」


 杖によって操作性を増した木符はアリシアの前で意思を持ったように等間隔に宙に浮く。その数は7枚。それらは回転を繰り返しながら何もない空間に陣を描いた。

 

「――フリーズランス!」


 呪文の発生とともに、パキパキと冷たい音を奏で、木符が氷漬けとなり小さな氷槍を作り出し、カルマを襲う。


 7枚の木符がそれぞれ個別の意思を持つように、されど制御のとれた動きでカルマの足、手、胴を傷つける。


 突如背後からの攻撃にカルマの身体がアリシアへと向く。10メートルは離れていた距離に向い、カルマはその巨体を跳躍、一瞬にして距離を詰める。

「あまいですわっ!」


 カノン同様にブーストを『ホルスター』に装着していたアリシアは、敵の跳躍に合わせるように回り込み回避、安全な距離を維持した。しかし『フリーズランス』と化していた木符は糸が切れたように地面へと散らばった。


「隙ありぃ!!!」


 跳躍から斧を床に振り下ろしたカルマの隙をついて、カノンの多節棍が胴体に連撃を与えた。

数発の衝撃で傷や亀裂が体表に広がるものの、やはり決定打となるコアへの攻撃は届かない。

背後からの攻撃を振り払うようにカルマが斧をぶん回し、それを避けるようにふたたびカノンが後方へ飛ぶ。


「やっぱり作戦を試そう」

「確証はできませんが、可能性は充分ありますわ!」


 ふたり横並びとなり一時の連絡をとる。

 そしてすぐさま戦闘を再開させた。




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