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異世界ナラティブ  作者: SW
第五章
97/105

【11】いじけた顔も美しい、、、


モンブリーを出発してから十数日後、サザランドの町に到着した。

暗くなってきているので、馬車を預けてすぐに宿を探しにいった。

ここは宿場町では無く普通の小さな町で、ちゃんと冒険者ギルドもある。


「さすがに明日出発するのはしんどいから、明後日にしよう」

「はーい」

「俺は明日ギルドへ行って、魔石とアイテムを換金して来る」

「私達は町を見に行きましょうか?」

「そうね」

「その後買い出しに行くけど、何か要るか?」

「食料だけでいいんじゃない?」


補充する物を確認して、みんなから魔石とアイテムを預かり、今日はこのまま眠りについた。





朝早くから出掛ける4人を見送って、ギルドに向かった。

アルギュロスは宿で留守番だ。

用事が終わったら散歩にでも連れて行ってやろう。


ギルドで換金を済ませ、ジェロイの場所を確認した後で、買い出しに向かった。

この町ではあちこちでエルフの姿を見る事が出来た。

エルフの森が近づいてきたと実感できる。

レイアの言っていた通り、髪の色や髪型は違っているが、顔の造りはみんなよく似ている。

つまりは美男美女という事だ。

きっと森に住むエルフもこんな感じに美人なのだろう。

1人くらい人族に興味があるエルフの女性がいて欲しいものだ。




みんなと合流し、夕食を食べて部屋に戻ってから、みんなに換金してきたお金を渡した。


「主様、あたし何もしてないよ、、、」

「いいんだよ、旅行中の魔石とかはいつもみんなで分けてるから」

「・・・・・でも」

「遠慮せずにもらっときなさい」

「そうですよ~」

「それで食べ物でも何でも好きな物を買ってくれ」

「・・・・・うん」


ラーニャは渋々といった感じで、アイテムボックスにお金を入れている。

道中に出る魔物の数なんてたかが知れてる。

そんなに大きな金額でも無いから気にしなくてもいいのに。


みんなにお金を渡して、ベッドに倒れ込んだ。

ベッドで寝るのは久しぶりだ。

今日は夜襲を警戒しなくていいからぐっすり眠れるだろう。





翌朝、いつもより少し遅く宿を出発してジェロイに向かった。

俺もちょっと寝過ごしてしまった。

半月ほど外でのキャンプ生活だったから、目に見えない疲れみたいなのがあったんだろう。


サザランドからジェロイまで約2日。

ジェロイからエルフの森までが約半日。

もうすぐだ。


「ご主人様~、どっちの道ですか~?」

「あれ?1本道って言ってたのに、、、」

「道標も無いわね」

「右です」

「レイア、思い出したのか?」

「いえ、勘です」

「・・・・・」

「その目は何ですか?」

「い、いや何でも無い」

「信じていませんね」

「そんな事は無い!リワン、右だ!」

「はい~」


俺の表情はそんなに分かりやすいのだろうか?

正直、ちょっと疑っていた。

どっちかと言えば左の道の方が真っ直ぐだったし。

もし間違っていたら引き返せばいいか、、、




「今日はここまでにしよう」

「はい~」


今日は小さな川の近くでキャンプをする事にした。

馬の世話と馬車の整備をして、みんなの所に戻ると、豪華な夕食が出来上がっていた。


「今日は豪華だな」

「もうすぐ着くんでしょ?」

「順調に行けば、明日中にはジェロイに着くんじゃないか?」

「なら平気よ」

「大丈夫です。道は合っていますから」

「・・・・・俺は何も言ってないぞ」

「目を見ればわかります」


そう言ってレイアはプイッとそっぽを向いた。

ちょっと頬が膨らんでいる。

—————うむ!

いじけた顔も美しい、、、


「—————この変態!」

「何なんだいきなり、、、」

「そっぽ向かれてんのにニヤニヤしてるんだから、立派な変態よ!」

「ニヤニヤなんてしてねぇよ、、、」

「してるわよ!ねぇ、リワンちゃん」

「してますよ~」

「主様、顔がだらしないよ」


いたたまれなくなった俺は、早々に食事を切り上げて馬車に入った。

馬車の中でゴロゴロしていたら、アルギュロスが来たので一緒に風呂に向かった。

川の近くに風呂を出して、アルギュロスと湯につかり、樽の淵に前足でぶら下がっているアルギュロスを支えながら、綺麗な三日月を見上げた。


早く家が欲しい。

騒がしいのもいいが、やっぱりのんびり自由に暮らしたいなぁ、、、





「ここがジェロイです」

「やっとここまで来れたわね」

「あの丘を越えた所に、エルフの森があります」


・・・・・丘?

山の間違いじゃないのか?

草で覆われていて木は生えてないから、見た目は草原の丘っぽいかもしれないが、大きさは山だぞ、、、


「あれ?レイア?」

「アヴィー」

「旅に行くって言ってたのに、もう帰って来たの?」

「はい」

「まだ1年も経ってないんじゃない?」

「お友達を連れて来たんです」

「・・・・・友達?」


レイアがアヴィーと呼んでいた美人のエルフが、興味深そうにこっちを見ている。

—————ん?

俺達の方を見ていたアヴィーの口が少しずつ開いていく。

そして口をあんぐり開けたまま、レイアの方に向き直った。


「・・・・・お、お友達?」

「はい、旅の途中で知り合ったんです」

「そ、そうなんだ、、、」

「ここで1泊しようと思ってるんですけど、空いてますか?」

「ちょ、ちょっと待っててね。見てくるから」


アヴィーはこっちをチラチラ振り返りながら、村の中に行ってしまった。

何であんなポカーンっとした顔をしてたんだ?

人族って珍しいんだろうか?


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