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異世界ナラティブ  作者: SW
第五章
94/105

【08】もはやため息も出ない、、、


—————どうしてこうなった?


いや、理由はわかっている、、、

昨日、こいつらの買い物に付き合うと言ってしまったからだ。

ラーニャが着せ替え人形になっているのはわかる。

なんで俺まで試着させられてるんだ?


「だってあんた、全然服を持って無いじゃない」

「普通の服なんて町中でしか着ないからいいんだよ」

「そうだとしても少なすぎるの!」

「私達が選んであげます」

「ご主人様~、次はこっちを着てみて下さい~」


服なんか白と黒のシャツとズボンがあればそれでいいんだよ、、、

向こうではラーニャもいろんな服に着替えさせられていた。

ラーニャは渡された服を着て、モデルのようなポーズを取っている。

俺とは逆に、楽しそうだ。


「はい、次はこれよ」

「もうさっきのでいいよ、、、」

「ダメです!ちゃんと選んで買わないといけません!」


レイアは生地や縫い目を細かくチェックしている。

ヒトミもこれだと色の組み合わせがダメだとか、ブツブツ考え込んでいる。

リワンは何着も服を持って来る。

きっと俺をマネキンか何かと勘違いしているんだろう。


何回も試着した後で、やっと俺の服が決まった。

この服はみんなが俺にプレゼントしてくれるらしい。

ラーニャも何着か買ったところで、近くの店に入り、お茶とお菓子を頼んで少し休憩した。


「ラーニャの服は昨日買わなかったのか?」

「昨日も買ったわよ」

「違うお店で買いましたよ~」

「昨日は時間が少なかったので、1件しか行けなかったんです」


昼頃から夕方までで、1件しか行ってないのか、、、

冒険者登録とかしていたとしても、少なすぎるだろ?


「そろそろ次のお店に行きましょう」

「そうね」

「俺はもう帰っていいか?」

「まだダメですよ~」




少し休憩したら、また次の店に入って買い物を始めた。

もはやため息も出ない、、、


「あんたはどっちの香りが好き?」

「・・・・・こっちかな?」

「ふ~ん、こういうのが好きなんだ」


「主様~、どっちのリボンが似合ってる?」

「・・・・・青いの」

「じゃあ、これにする!」


「ご主人様~、どっちの靴が可愛いですか~?」

「・・・・・赤い方」

「私もそう思ってたんです~」


「どっちの下着がお好みですか?」

「—————お、おい!」

「ちょっと、レイア!」


し、しんどい、、、

みんな元が良いんだから、どれでも似合うだろ?

自分が好きなの買えよ、、、


ここでの買い物の後、隙を見て逃げようとしたが、リワンとラーニャがガッチリ腕を捕まえていた。

次に入った店で、4人はいろんな小物を買い始めた。

「可愛い!」とか「綺麗!」とか騒いでいるが、あれをどこに置く気なんだ?

俺から見たら要らない物ばかり買った後で、ようやくこの地獄から解放された。

もう晩飯の時間だった、、、


宿に戻り、アルギュロスに飯を食わせた後で、夕食に出掛けた。

今日もリワンは肉、ラーニャは魚を食べている。

夕食を食べて宿に帰って来た俺は、そのままベッドに倒れ込んだ。

やっぱり女の買い物に付き合っても、何一つ良い事が無かった。


「楽しかったですね~」

「ええ、たくさん買い物できました」

「あたし、こんなにたくさん買い物したの初めて!」

「また来ようね」

「うん!」

「ご主人様~、また一緒に買い物しましょうね~」


俺は枕に顔をうずめたまま、リワンの発言に耳を塞いだ。





次の日。

俺はラーニャと一緒にアイテムボックスを取りに向かい、他の3人には食料などの買い出しを頼んでおいた。


「終わったよ」

「じゃあ、馬車に戻ろうか?」

「うん!」


手続きを済ませたラーニャと一緒に店を出て馬車に向かった。

俺と手を繋ぎながら、アイテムボックスから武器を出し入れしている。

上手に使えている、これなら大丈夫だ。

たまに俺の顔を見て、得意げに笑っている。

馬車に戻ってしばらく待っていると、買い出しに行っていた3人も帰って来た。


「じゃあ、出発するぞ」


後ろではヒトミとレイアがアルギュロスと遊んでいる。

御者台で馬車を操縦する俺の両隣には、リワンとラーニャが座っていた。


「後ろに行ってもいいんだぞ、俺が真ん中に居たら話しにくいだろ?」

「ご主人様の隣がいいです~」

「うん、あたしも!」

「あんた、モテモテじゃないの?」

「あれだけ優しくされたら、懐かれますよ」

「2人には優しいもんね」

「アイテムボックスもプレゼントしています」

「私達も何か買ってもらおっか?」

「・・・・・」


仲間が1人増え、さらに騒がしくなった馬車を、次の目的地サザランドに向けて走らせた。


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