【SS】ラーニャ
もう疲れちゃった、、、
今日も遠い所まで旦那様のお使い。
こんなにいっぱい無理だよ、、、
う~、お腹空いたなぁ~
・・・・・あっ、雨が降って来た。
あたしは急いで木の下に逃げ込んだ。
服が濡れちゃうと、寒くて眠れなくなっちゃう。
お布団があれば、裸で眠れるのに、、、
ちょっとここで休憩していこう。
どんなに頑張っても、こんなにたくさんお使い出来ないもん。
ちょっとだけ、、、
ちょっとだけだから、、、
—————あれ?
何だか凄く暖かい、、、
体がフワフワ気持ちいい。
ずっとここにいたいなぁ、、、
—————って、ここはどこ?
お布団の上かな?
とっても柔らかくて気持ちいい。
知らない間に辺りはすっかり暗くなっていた。
暗闇の中で目を凝らすと、人影が見えた。
あたしのすぐ近くに座ってる。
旦那様かな?
違う、、、
旦那様はこんなに細くないもん。
わたしの知らないお兄ちゃんが私の頭をポンポンって優しく撫でてくれた。
暖かくて大きな手。
あたしの尻尾をチラチラ見ながら、耳を優しくフニフニ触ってる。
お使いの事を思い出して、お家に帰ろうとしたら、お兄ちゃんに止められちゃった。
旦那様に怒られないかなぁ?
でもお兄ちゃんは大丈夫って言ってる。
怒られてもいいから、もうちょっとここにいたい。
お兄ちゃんはあたしにご飯を食べさせてくれた。
初めて見る食べ物だったから、最初はちょっと怖かったけど、お兄ちゃんと一緒に食べてみたら凄く美味しかった。
お兄ちゃんが一緒に寝てくれるって!
お願いしたら聞いてくれたの!
優しいお兄ちゃんだから、大丈夫だと思ったんだ!
明日は奴隷のお店に連れてってくれるみたい。
あそこに帰りたいなぁ~
今の所は嫌だもん。
ちょっと不安だったから、お兄ちゃんの手をそっと握ってみた。
◇
—————あれ?
あたし、お兄ちゃんの奴隷になれるかも?
やったー!—————じゃなかった、まだ決まって無いから頑張らないと!
あたしはお兄ちゃんの目をジッと見つめて、心の中でいっぱいお願いした。
あたしを買ってー!
あたしを買ってー!!
わーい!
お兄ちゃんがあたしのご主人様になってくれた。
商人のおじさん、ありがとー!
すぐに「解放しようか?」って聞いてくる変な人だけど、優しいから別に平気。
あたしはお兄ちゃんのそばに居たいから、離れてあげない。
そんな事よりもお兄ちゃんの事、何て呼ぼうかな?
もう1人の奴隷の子が「ご主人様」って呼んでるから、あたしは「主様」って呼ぼうっと。
主様の事は名前で呼ばないよ。
嫌われたくないから、そんな失礼な事はしないもん。
あの子だって「ご主人様」って呼んでるからいいでしょ?
みんなはあたしを名前で呼んでくれる。
昨日までは「おい!」とか「お前!」とかだったから凄く嬉しい!
ご飯もみんなで一緒に食べた。
すっごく美味しかったんだけど、、、
リワンはいつもこんなに食べるの?
怒られない?
そんなリワンを見て主様は笑ってたから、あたしも負けないようにいっぱい食べよう。
主様があたしのお洋服を買ってくれるって!
姉様達が選んでくれるんだ!
よかったー!
お洋服なんてほとんど持ってないから、どんなのを買えばいいのかわかんない。
お買い物の途中で姉様達に話を聞いてみた。
みんな冒険者なんだって!
信じられない!?
よしっ!
だったらあたしも冒険者になって、主様のお役に立たなくっちゃ!
ちょっと怖いけど、主様なら守ってくれそう。
—————ん?
奴隷が守られてちゃダメだよね、頑張ろう。
宿に戻ると、ヒトミ姉様が髪を切ってくれた。
切りながら、あたしの耳も触ってくる。
主様も触ってたけど、人族は耳を触るのが好きなのかな?
可愛いリボンが付いたあたしの髪を見て、主様が似合ってるって言ってくれた。
えへへ~、やったー!
リワンが主様と一緒に寝てるのを見て、凄く羨ましくなった。
お願いしたら一緒に寝てもいいって!
昨日は手を握っただけだったけど、今日はリワンみたいに主様にくっついた。
すっごくあったかい、、、
きっといい夢が見られる。
明日も今日みたいに楽しいといいなぁ~