【07】・・・・・おかしい
「そろそろ寝ましょ~」
「そうね、明日も朝から出掛けるしね」
「おい、まさか、、、」
「もう1泊だけ!」
「お願いします!」
「行きたいお店がいっぱいあるの!」
「ご主人様~、お願いします~」
こうなっらたら終わりだ、、、
結局いつものように押し切られて、明日も1泊する事になった。
「主様、あたしはどこで寝ればいいの?」
「ん?そこの空いてるベッドで寝てくれ」
「・・・・・あたしもリワンみたいに主様と一緒に寝たい!」
「いいよ~」
「待て!3人は無理だって、狭すぎるだろ!」
「ベッドをくっつけようよ」
リワンとラーニャは、余っているベッドをくっつけ始めた。
何故ここまでして俺と一緒に寝たいんだ?
俺を真ん中に寝かせて、リワンとラーニャが俺の両側で寝ている。
「あら、羨ましい」
「両手に花ですね」
「・・・・・代わってやろうか?」
「遠慮するわ、2人に悪いもん」
「明日は私と一緒に寝て下さいね」
「—————ぶっ!?」
「レイア!」
・・・・・おかしい
奴隷が増えたのに、楽になるどころか苦労が増えている気がする、、、
◇
次の日、朝早くからみんなは町に出掛けて行った。
女の買い物に付き合う気は無いので、俺はアルギュロスと一緒にギルドに行って、アイテムボックスを作ってくれる道具屋の場所を聞いた。
ラーニャも冒険者になったんなら、これが必要になるだろう。
魔法の道具屋に行って、リワンと同じ大きさのアイテムボックスを注文した。
ラーニャは受け取りの時に連れて来ればいいだろう。
完成は明後日になるという事だから、最低でも1泊追加だな。
滞在が増える分には文句は言わないだろう。
港に向かい、途中で買った昼食をアルギュロスと一緒に食べながら、海に浮かぶ大きな船を眺めていた。
船を見ているといつか船旅もしてみたいと思ってきたが、やっぱり海にも魔物は出るんだろうか?
船には弓を背負った冒険者風の団体や、いかにも魔法使いという恰好をした人達が乗船しているから、魔物は出ると思っておいた方が良さそうだ。
でなきゃ装備は外しているだろうし。
甲板に大量の木箱が乗っている貨物船のような船からは、たくさんの荷物が降ろされている。
ローラーのような物が付いた大きな板を甲板にかけ、そこに木箱を流している。
降ろされた木箱は馬車に乗せられ、その馬車は町中に向かって行ったり、少し離れた所にある倉庫のような建物に運ばれたりしている。
そこでは3m近くありそうな、ガタイのいい種族が作業をしていた。
《看破スキル》で見てみると、巨人族という種族らしい。
見た目そのままの名前だった。
船に荷物を積み込むときはどうしてるのか見たかったが、荷降ろししか見れなかった。
夕日が海の色を変えていく。
群青から黄金、そしてこの後は漆黒へと変化していくのだろう。
こんな景色を見ながら風呂に入れたら、たまらなく気持ち良さそうだ。
もう少しここで景色を眺めていたいのだが、そろそろ戻らないと連中が騒ぎ出すに違いない。
アルギュロスと一緒に宿に戻って、みんなと夕食に出掛けた
「明日、もう1泊するからな」
「何でよ!」
「怪しいですね」
「怪しいです~」
「え、えっ?何?」
連中はいつも通りだ。
ラーニャ1人がキョロキョロと慌てている。
「ラーニャのアイテムボックスが明後日完成するから、明日もここに泊まる」
「えっ!?あたしの!?」
「冒険者になるんなら、アイテムボックスはあった方が便利だぞ」
「よかったね」
「私もご主人様に買ってもらったんですよ~」
「・・・・・主様、ありがとー!」
ラーニャは俺に飛びついて、胸に頬をスリスリしている。
頭を撫でてやると、嬉しそうにニコッと微笑んできた。
「早く食わないと飯が無くなるぞ」
「うん!」
ラーニャもだいぶ馴染んできている。
リワン程じゃないがよく食べる。
今はちょっと細すぎるから、そのうち丁度良くなるだろう。
それも考えて服を買っているんだろうか?
「明日、私達と一緒に買い物に行かない?」
たらふく食って宿に帰ると、ヒトミがとんでもないことを言い出した。
寝言は寝てから言ってくれ!
「行かない!」
「何でよ!」
「女の買い物に付き合ったって、良い事なんて1つもない!」
「たまにはいいじゃないの!」
「ご主人様~」
「あたし達と一緒に行こうよ」
全員が「お願い!」と俺を拝んでいる。
嫌な予感しかしないが、仕方がない。
「明日だけだぞ、、、」
「わーい!」
「そうと決まったら、早く寝ましょう!」
「そうですね」
「ご主人様~、こっちですよ~」
今日も俺の隣にはリワンとラーニャがいる。
しばらくすると、両隣から可愛い寝息が聞こえてきた。
明日の事を考えると気が重い。
何事もなく平穏に終わってくれればいいが、、、