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異世界ナラティブ  作者: SW
第五章
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【06】・・・・・可哀想に


「ラーニャ、奴隷から解放してほしかったら、今すぐにでもするからな」

「・・・・・やだ!」

「リワンは?」

「お断りします~」

「もういい加減、諦めなさいよ」

「・・・・・じゃあ、馬車に戻るぞ」

「はーい」


奴隷商館を離れ、アルギュロスが待っている馬車に戻る事にした。

馬車に戻りながら、3人はラーニャにいろいろ聞いていた。


「ラーニャちゃんはリワンちゃんと同じ歳なのね」

「リワン姉様も16歳?」

「む~、リワンって呼んで~」

「えっ、でも、、、」

「いいからリワンって呼んでやってくれ」

「う、うん。えーと、リワンも16歳?」

「はい~」

「ヒトミ姉様とレイア姉様は主様の奥様なの?」

「その2人は奥さんでも恋人でもないぞ。それと俺の事も名前で呼んでくれないか?」

「主様は主様だから、、、」

「あんたが買ったんだから、しょうがないじゃない」

「・・・・・金は払って無いけどな」


ラーニャは馬車に戻ってからも、みんなとずっと話をしている。

アルギュロスもすぐに馴染んでしまった。

昼食の準備の時もヒトミ達と一緒だ。

料理はやった事がないから、今日は見ているだけみたいだが、これならすぐに打ち解けそうだ。




昼食の準備が終わり、みんなが席についている中、ラーニャだけが俺の横に立っている。


「ラーニャ、座らないのか?」

「あたしは主様のお世話しなきゃ」

「俺の世話はいいから、座って食べろ」

「で、でも、、、」

「・・・・・ラーニャ、リワンを見てみろ」


フォークを両手に持ったリワンが、どの肉から食べようかと必死の形相で皿の上を見つめている。


「あれでいいんだ」

「遠慮してたら全部リワンちゃんに食べられちゃうわよ」

「・・・・・うん」


ラーニャが席についた所で食事を始めた。

リワンの食いっぷりに少し気圧されしているが、ラーニャもちゃんと食べていた。

—————そのうち慣れるだろう


「リワン、昼からラーニャの服とかを買ってきてくれ」

「わかりました~」

「ラーニャも一緒に行ってこい」

「いいの?」

「ああ、服の他にも必要な物を買っていいぞ」

「私も行く!」

「私もラーニャさんの服を選びたいです!」


この後、ラーニャはこいつらの着せ替え人形にされるんだろう、、、

・・・・・可哀想に




「ヒトミ」

「ん?何?」

「ここでは前みたいに主人に尽くす必要は無いって、ラーニャに言っておいてくれ」

「うん、わかった。でも今までどんな生活してたのかな?」

「さぁな、あんまり考えたくないな、、、」


初めて会った時は、体中に傷があった。

たぶん俺が想像する奴隷の生活だったんだろう。

いろんな縁があって一緒に生活する事になったんだから、ここでは辛い思いはさせたくない。

ヒトミに任せておけば、うまくやってくれるはずだ。


アルギュロスを馬車に残し、みんなで町に出掛けた。

リワンにお金を渡し、みんなと別れた後、俺は今日の宿を探す為にギルドに向かった。

ギルドで教えてもらった動物可の宿を取り、馬車に戻った

あいつらは夕飯までには帰って来るから、それまでアルギュロスと遊んで時間を潰そう。




買い物を終えて帰って来た4人とアルギュロスを連れて宿に向かい、部屋にアルギュロスを繋いだ後で夕食に出掛けた。

適当に大皿の食事をいくつか頼み、それをみんなで取り分ける。

ラーニャは魚が好きなのか、魚料理をよく食べている。

遠慮して肉を食べていないって事はないよな、、、


「ラーニャちゃんも冒険者になりたいって言うから登録してきたわよ」

「—————へ?」

「あたしも主様のお手伝いがしたいの!」

「う~ん、危ないぞ」

「大丈夫よ!私がちゃんと教えるから」

「・・・・・」

「私はリワンちゃんをここまで育て上げたのよ!任せてよ!」


ヒトミは得意げな顔で胸を叩いているが、ヒトミみたいな天才肌は、人に教える事には向いて無さそうなんだけどな、、、

でもヒトミの近くにいるのが一番安全だとも言える。


「怪我しないようにな」

「うん!」

「装備は買ったのか?」

「武器はヒトミさんが、防具は私がプレゼントしました」

「武器は何にしたんだ?」

「これだよ」

「グローブか?」

「うん!剣とかは重かったから、これにしたんだ!」


リワンが最初に使っていたのと同じような、金属のプレートが付いたグローブだ。

これで犬パンチと猫パンチが揃ったという事か、、、




夕食を食べて部屋に戻ると、ヒトミがラーニャを椅子に座らせた。

鏡を取り出してテーブルに置いている。


「ねぇねぇ、ラーニャちゃんはどんな髪型がいい?」

「このままでいいよ、、、」

「ダメよ!もっとちゃんとしないと!」

「そうです!髪は女性の命だと言います」

「これがいいと思います~」


3人がラーニャの髪を(いじ)り回している。

あーだこーだと騒がしい。

俺はアルギュロスと一緒にその様子を眺めていた。

ラーニャは困った顔をしながらも笑っているから、嫌ではないんだろう。


「これが一番いいんじゃないかな?」

「ええ、とても似合っています」


長い時間騒いでいたのに、結局は普通のツインテールに落ち着いたようだ。

赤い髪に黒いリボンが結ばれている。

無駄に伸びていた前髪もカットされ、綺麗な顔が良く見えるようになった。


「主様、どうかな?」

「ん?よく似合ってるな」

「えへへ、ありがとー」


みんないろいろ髪型を変えて俺に感想を聞いてくるが、自分の好きな髪型にすればいいのにと思う。


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