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異世界ナラティブ  作者: SW
第一章
9/105

【08】謎の声が聞こえた


家を出てからクエストの魔物が出る所まで歩きながらいろんな事を教えてもらった。


PTの作り方、解散の仕方、立ち回り。

その中でも驚いたのはPTメンバーには攻撃魔法が当たらないっていう事だ。これで味方を気にせず魔法をブッ放す事ができる。

回復魔法はPTメンバーに使えるのに攻撃魔法が当たらないのは何故だって聞いたら知らないって言われた。

でも武器での攻撃は当たるみたいだからこれは気を付けよう。


アイテムボックスについてもいろいろ聞いた。

持っている人はそれなりにいるから、人前で使っても特に問題は無い。

仕組みとして生き物は入らない、ボックスの中では状態変化が無い、ドロップアイテムは自動で入ってくる、アイテムボックスの容量はお金を払って広げる事ができる。

自分のアイテムボックスの容量は魔物を倒した時に落とすドロップアイテムや魔石が自動で入らなくなることで確認できるらしいが、ヒトミはまだ限界が来てないとの事だ

———無限っぽい気がする。




「じゃあ、始めるわよ」

「おう」


目的地に着いた。少し背の高い草の生えたの草原。

ここに目標の魔物がいるんだろう。


「まずはさっき教えたように私をPTに誘ってみて」

「こうか?」


ヒトミにPT参加要請を念じてみる。


「うん、OKよ。それじゃあ魔物を探して倒してみて、見ててあげるから」


ヒトミはアイテムボックスから取り出した椅子に座ってお茶を飲みながら見学している。

戦う気は無いようだ。


———見つけた。


【 ラビットビット Lv.1 】


簡単に言うと牙と小さな角のある大きなウサギだ。

剣を構え、気付かれない様に後ろの方から近づいていく。

すると急に立ち上がり長い耳をピクピク動かし始めた、キョロキョロと周りを見ている。

あっ、見つかった——

俺を視界に収めたと同時に走って近づいて来た。そしてそのままジャンプして体当たりしてくる。


「うぉっ!」


ちょっと驚いたが余裕を持って避ける事が出来た。


=《回避スキル》を獲得しました=


—————な、何だ今のは?!

謎の声が聞こえた

しかし今は戦闘中、考えるのは後回しにしてまずはこいつを片付けよう。

剣を構えてウサギに近づく。


ウサギにしては動きが速いが元テニス部の俺なら楽に対応できるスピードだ、ボールの方が速い。

再び飛び込んでくるボール———いやラビットビットを右手に持った剣で打ち返す様にスイングする。

腕に強い衝撃を感じたと同時に、ウサギは黒い霧の様になって消えていった。


一撃だった!

飛び込んで来たのを思い切りスイングして斬ったからカウンターみたいになったのだろうか?


=《片手剣スキル》を獲得しました=


—————また、謎の声だ、、、

考えても答えは出ないだろう、ヒトミに聞くのが一番早そうだ。




「楽勝だったわね」


パチパチと拍手をしながらヒトミが近づいてくる。


「Lv.1の敵だったからな、一番弱かったんだと思うぞ」

「・・・・・・・Lv.1って」


ヒトミは冷たい眼で俺を見て、ため息をつく。


「もしかして敵のレベルって見えないのか?」

「正解」

「また秘密にする事が増えたな」

「ほんと、変態ね」


他の言い方は無いのかと問い詰めたい!

規格外とかスーパーマンとか、、、

—————どっちも嫌だな。


「闘ってる時にスキルを獲得したって聞こえたんだが、もしかしてこれも変なのか?」

「それは大丈夫、私も聞こえるから。ほんとゲームみたいでしょ?」

「・・・確かに」

「ドロップアイテムはあった?」

「いや、アイテムボックスには魔石しか入って来なかったな」

「じゃあ、必要な数のアイテムを集め終わるまで続けてて」


そう言ってヒトミは元の場所に戻って行った。

椅子に座ってのんびりお茶をすすっているヒトミを横目に、手当たり次第にラビットビットを狩り続ける。

倒し続けている間に《受け流し》と《格闘》のスキルも獲得していた。

クエストに必要な数のアイテムが集まったのを確認してヒトミに声をかける。


「じゃあギルドに行ってから帰りましょうか」

「PTは解散しなくてもいいのか?」

「どっちでもいいわよ」

「解散したらヒトミは俺を魔法で攻撃できるようになるんだったよな?」

「そうよ」

「じゃあこのままでいいや」

「大丈夫よ、あんたを燃やしたくなったら自分で抜けるから」


魔法で出した火の玉でお手玉をしながら、俺を見てフフフッと笑っている。




町に戻り、ギルドでクエスト完了の手続きをする。

クエストと魔石の報酬は全部俺にくれるそうだ。


買い物をして家に帰り、汗を拭いて着替える。

風呂に入りたい。

ヒトミの家には風呂がある。

風呂といっても魔法でお湯を作るだけの物らしいが、俺には入らせてくれない。

体を拭く為のお湯を作ってもらえるだけでありがたいと思っておく。




風呂から出て来たヒトミを捕まえて、スキルの事を聞いてみた。


「そのスキルを覚えるのに必要な行動をした時に獲得するって事でいいのか?」

「たぶんね」

「自分のスキルの確認ってできるのか?」

「メニューって想像してみて」


言われて通りに思い浮かべると、目の前にゲームのメニュー画面の様なものが現れた。


「何だ、これ?」

「メニュー画面よ」

「ヒトミも言ってたけど本当にゲームだな、、、」

「でしょ」


メニュー画面にあるスキルの項目を選んでみると、スキルの一覧が表示された。

今日覚えたスキル以外にも、いつ覚えたのか身に覚えの無いスキルがいくつかあった。

《共通言語スキル》、《経験値増加スキル》、そして《看破スキル》。

これらは最初から持っていたと考えるのが自然だな。

レベルが見えるのは、この《看破スキル》っていうのが原因かな?


「ヒトミ」

「何?」

「レベルを見る事が出来るのはたぶん《看破スキル》のせいだな」

「どんなスキルなの?」

「対象の詳しい情報が見えるらしい」

「・・・・・私、覚えてないんだけど」

「俺も覚えたんじゃなくて最初からあったみたいだ」

「私は無かった」

「みたいだな」

「う~ん、何か損した気分だけど、理由がわかってちょっとスッキリしたわ」


武器や鎧の手入れをしていると、外が暗くなってきた。そろそろ夕食の時間だ。

そして夕食が終われば魔法の勉強会だ。


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