【幕間】女子会
【02】話頃のお話です。
「リワンちゃん、あいつにもらった紙見せて」
「どうぞ~」
リワンちゃんが紙の束を取り出して、私に渡してくれた。
次の旅の候補地が書いてあるって言ってたけど、やけにたくさんあるわね。
いろんなギルドで聞いてメモってるのかな?
—————マメな男ね
「ヒトミさん、私にも見せて下さい」
「じゃあレイアはこれね。リワンちゃんはこっち」
「はい~」
「手分けして見てみましょう」
紙には町の名前やヴァルアからの距離、その土地での食べ物、観光地などが事細かく書かれている。
手書きの地図まである、、、
パラパラとメモを眺めていると、1つ気になる町の情報があった。
* リンガンブール、火山で有名、ヴァルアから6日~7日の距離、冬に行きたい 優先度:B *
火山があるんだ、、、
もしかしたら温泉も期待できるかもね。
それにもし温泉街だったら、きっと転移ゲートもあるに違いないわ。
このメモにも書いてあるけど、もう少し寒くなってから行きたい所ね。
まずはこのリンガンブールという町を候補にしよう。
レイアとリワンちゃんは真剣な顔で見ている。
今は楽しい女子会なんだから、2人共もう少しリラックスして探せばいいのに、、、
私はメラゾニアで買ってきたお菓子をつまみながら、他にも無いか読み進めて行った。
「読めません」
「ん?レイア、どうしたの?」
「この文字が読めません」
「ちょっと見せて」
レイアから受け取った紙には、メラゾニアの情報が書かれていた。
* メラゾニア、魔法道具屋有り、ヴァルアから7日~8日の距離、大きな町らしい 優先度:A *
別に変な所は無いわよね、、、
私が見ているメモも、大体こんな感じに書かれている。
—————ん?
この下の文章だけ日本語で書かれてるわ!
町の情報が書かれた下の余白部分に、2人には聞かせられない事が書かれていた。
これはたぶんお店の名前ね、、、
これは女の子の名前かな?
他には顔が綺麗だとか、胸が大きくて柔らかいとか、肌はスベスベで綺麗とか、、、
—————何の情報を書き込んでるのよ!
「ヒトミさん、どうかしましたか?」
「おでこに青筋が立ってますよ~」
「だ、大丈夫よ。何でもないから、、、」
「・・・・・そうですか。それで書いてある内容はわかりますか?」
「な、何かの記号じゃないかな?私にもわからないわ」
「そうですか」
「ヒトミお姉ちゃん、こっちにもありますよ~」
リワンちゃんに渡された紙にも、さっきと同じように女の子の情報が書かれていた。
こっちはルザーラのお店の情報だった。
—————あいつ、最初の旅行の時からこんな事やってたのね!
イライラしてたからちょっとお菓子を食べ過ぎちゃったけど、何とか女子会を乗り切る事ができた。
でも次の旅行の場所は、決まらなかった。
急いで決める必要もないし、また女子会を開いて決めればいいかな。
例の情報は黒く塗りつぶしてやったわ!
その日の夜、2人より先にお風呂からあがって、あいつが魔法の練習をしてる時に話しかけた。
「メラゾニアのお店にいる、胸の大きなミーちゃんって女の子がお気に入りみたいね!」
「—————な!?」
「くだらない情報は塗りつぶしておいたから!」
そう言って私はさっきのメモをテーブルに叩きつけた。
あいつは慌てて「違う!」とか「誤解だ!」とか言ってたけど、無視してやったわ。
きっと浮気がバレた男はこんな感じなのね。
・・・・・まぁ、今回のは別に浮気でも何でも無いんだけど、、、
—————見てなさい!
二度と夜遊びなんかさせないんだからね!