【25】接待は終了したらしい、、、
次の日、俺は二日酔いになっていなかったので、いつも通り狩りに出掛けた。
今日も肌を刺すような厳しい寒さだ。
こっちでも雪は降るんだろうか?
それぐらい今日も寒い。
家を出る前、3人はまだ眠っていた。
アルギュロスだけは起きていたから、庭で少し遊ばせて飯を食べさせておいた。
どうせあいつらは二日酔いになっているだろうと思い、テーブルの上に薬を置いてきた。
ギルドでクエストを確認したが、報酬が高額なだけで、特に目新しい物は無かった。
寒いから外には出たくないが、やはり稼ぐなら今がチャンスだ。
黙々と狩りを続け、ついでに薬草も採取して家に帰った。
「ただいま」
「「「ごめんなさい!」」」
俺の知らないうちに「ただいま」に対する返事が「ごめんなさい」に変わったらしい。
扉を開けると、3人が土下座で迎えてくれた。
ヒトミが教えたんだろう。
人に土下座されたのは初めてだ。
「お風呂の準備が出来ております」
「ご主人様~、お背中流しますね~」
ニコニコしているリワンに風呂場まで連れて行かれた。
長い事ここに住んでいるが、初めてヒトミの家の風呂に入ったな、、、
今まで入らせてくれなかったくせに、、、
リワンに背中を流してもらった後で、ゆっくり湯に浸かり、寒さと疲れを取り除いた。
風呂から上がってリビングに戻ると、豪華な食事がテーブルに並べられていた。
「こちらにお座り下さい」
「ご主人様~、こっちですよ~」
手招きしているリワンの所に行くと、その隣には短いスカートに着替えたレイアが座っていた。
恥ずかしそうに頬を赤らめるレイアの綺麗な生足が、魅惑のオーラを放っている。
リワンは俺を椅子に座らせた後、ニコニコしながら肩を揉み始めた。
嫣然と微笑むレイアにお酌をしてもらい、ヒトミが取り分けてくれたご馳走を口に運んだ。
「・・・・・一体これは何の真似だ」
「昨日のお詫びでございます」
「ご迷惑をお掛けしました」
「ごめんなさい~」
そう言って3人は深々と頭を下げた。
少しは反省しているみたいだな。
「しょうがない、今回は許してやろう」
「ありがたき幸せ!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます~!」
「早く食わないと、飯が冷めるぞ」
それを聞いて、みんながパッと俺から離れていった。
接待は終了したらしい、、、
レイアもいつものズボンに履き替えてしまった。
美しい御御足が隠れてしまったじゃないか!
「許してもらえて良かったね!」
「はい、安心しました」
「ご主人様は優しいから当然です~」
「あれ?リワンちゃんが一番心配してたんじゃないの?」
「そんな事ありませんよ~」
「ご主人様に嫌われます~って泣いてたのに?」
「それは内緒です~!」
リワンが頬を膨らませながら、ヒトミの腕をポカポカ叩いている。
「昨日、どんな醜態を晒したのか覚えてるのか?」
「・・・・・覚えていません、ヒトミさんに教えてもらいました」
「私もです~」
「大変だったんだからね!」
「・・・・・人の事言えないだろ」
「うっ、、、」
「ヒトミお姉ちゃんは何をしたんですか~?」
「俺の悪口を俺に言っていた」
「・・・・・」
「夜中まで延々と、、、」
「・・・・・ごめんなさい」
◇
次の日から3人は酒を控えるようになった。
俺が飲んでいると、チラチラ横目で見てくる。
記憶が無くなるまで飲まないなら、別に飲んでもいいのに、、、
「飲まないのか?」
「・・・・・いいの?」
「潰れるまで飲まなきゃ別にいいよ」
「コップ持って来る!」
ヒトミが棚からコップを持って来て、みんなに配っている。
すぐに酒を注いで、美味そうに飲み始めた。
「そういえば、この前がクリスマスって言ってたよな?」
「もうすぐ年が明けるから、逆算するとたぶんあの日がクリスマスよ」
「暦ってあるのか?」
「一応ね、私はあんまり気にしないけど」
「俺も今日が何月何日とか全く気にしなくなったな」
「こっちでは1ヶ月が30日で1年が12ヶ月よ」
「分かりやすいな」
「ギルドに暦があるでしょ?見た事ないの?」
「そんなのあったっけ?」
「指定クエストの方の受付にあったと思うから、今度探してみたら」
指定クエストはあんまりやらないから、気付きもしなかった、、、
確かに日付が無かったら、期限とか決められないよな。
「年が変わる時って何かやるのか?」
「お祝い事だから、パーティーとかするんじゃないの?」
「ヒトミはどうしてたんだ?」
「今まで1人だったのに、何が出来るっていうのよ!」
寂しい年末年始を過ごしていたようだ、、、