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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
77/105

【23】学習しない奴らだ!


外が少し騒がしい。

目を開けると、外が明るくなっていた。

頭が少しボーっとするのは、二日酔いのせいか?

そのまま顔を横を向けると、ヒトミが俺に抱きついてスヤスヤ寝ていた。

反対側にはリワンが、頭の上ではレイアが丸まって寝ている。


頭を起こして周りを見てみると、馬車の中は大惨事になっていた。

俺は途中で寝てしまったので、あの後どうなったか知らないが、馬車の中に酒の樽とつまみが散乱している。

その匂いが馬車の中に充満して、酷い有り様だ。


「おい、起きろ」

「・・・・・う~ん」

「ヒトミ、起きろ」


ヒトミは薄っすら目を開けてしばらく俺を見つめた後、小さな悲鳴をあげて飛び退いていった。

俺の顔が近かったから驚いたんだろう。


「リワン、起きろ」

「・・・・・ご主人様~、おはようございます~」


目を覚ましたリワンは俺の顔を見てニコッと微笑んだ。

こっちはいつも通りだ。


「レイア」

「・・・・・とっくに起きていま()よ」

「嘘つけ!」


3人を起こして、馬車を片付けようとしたが、みんなフラフラしていた。

—————嫌な予感がする


「う~、頭が痛い、、、」

「私もです、、、」

「気持ち悪いです~」


学習しない奴らだ!

そろいもそろって二日酔いとは!


「リワンも酒を飲んだのか?」

「・・・・・はい~、もう少し甘いお酒がいいです~」

「美味しくないなら飲まなくてもいいんだぞ」

「・・・・・飲んでみたかったんです~」


ぐったりしている3人をそのままにして、馬車を綺麗に掃除した。

換気をして空気を入れ替え、マットを出してその上に3人を寝かせる。


「お薬ちょうだーい、、、」

「私にもお願いします、、、」

「私も欲しいです~」

「クラリーさんにもらった薬はもう無いのか?」

「・・・・・もうありません」


俺の頭も痛くなりそうだ、、、




町で薬と朝飯を買って馬車に戻ると、3人はまだうんうん(うな)っていた。

1人ずつ体を起こして薬を飲ませる。

苦いとか臭いとか、文句ばっかり言いやがるから、無理やり押し込んでやった。


「このお薬、いまいち効かないわね、、、」

「それしか売ってなかったぞ」

「リンガンブールのお薬は凄く効きました、、、」

「あっちは酔っぱらいが多くて需要があるから、いい薬があるんじゃないのか?」

「・・・・・何であんたは平気なのよ?」

「平気って訳じゃないぞ、お前らみたいに酷くないだけだ」

「・・・・・ずるいです」

「ちょっとは学習しろ!二日酔いが直ったら説教してやる!」

「う~、わかったから静かにしてよ、、、」


薬を飲んでから少し時間がたっても、まだ3人の具合は悪そうだ。

体調不良をいい事に、あれをしてくれ、これをしてくれと我儘ばっか言いやがる。

結局、今日一日はこいつらの看病で終わってしまった、、、





次の日、すっかり具合も良くなって、睡眠もバッチリ取った3人は、元気に朝飯を食っていた。

俺が呆れ顔で視線を向けてやると、肩を落としてシュンっと小さくなっている。


「レイア、朝飯食ったらアイテムボックスを取りに行くぞ」

「はい」

「その後ですぐ出発するからな」

「はーい」


2人に留守番をさせて、レイアと一緒に店に向かった。

店に入って行くレイアを見送り、そのまましばらく待っていると、満面の笑みを浮かべながら店から出てきた。

この旅一番の笑顔を見せている。

苦労して手に入れた分、喜びもひとしおなのだろう。

苦労と言っても、ただ単にレイアが浪費家なだけなんだが、、、


そのまま馬車に乗り込み、町を出てルザーラに向かった。

馬車の中でレイアはヒトミから受け取った自分の荷物を、自分のアイテムボックスに入れていた。

この日レイアは終始ご機嫌だった。





数日後、ヴァルアに帰って来た。

ルザーラで1泊、それ以外はキャンプだった。

魔物避けの薬草が使えなくなったので、夜襲を受ける事は何回かあったが、帰りは天候に恵まれ往路みたいな事は無かった。


家に帰ってテーブルについて、大きくふーっと息を吐く。

温泉も良かったし、知り合いも増えた。

いい骨休みになった。


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