表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
72/105

【18】これはダメなやつだ!


リビングに入り、椅子に座って見渡すと、ミルンとステーシアはキラキラした目で、反対にヒトミとリワンはジト目で俺を見つめている。


「ねぇねぇ、レイアさんがお兄さんの恋人なの?」

「・・・・・違うよ。ちなみにその2人も違うからね」

「じゃあじゃあ、一番好きなのは誰?」

「・・・・・」

「教~え~て~よ~」

「・・・・・」

「ミルン、止めなさい」

「え~、お姉ちゃんも知りたいでしょ?」

「ミルン」

「・・・・・は~い」


クラリーの執り成しで危機を脱した俺は、この場から逃げるために寝てしまおうと考えた。


「俺はどこで寝ればいいですか?」

「あら?もうお休みになるんですか?」

「はい」

「じゃあ、私達も寝ようっか?」


クラリーがレイアと、ミルンはヒトミと、ステーシアはリワンと一緒の部屋で寝るらしい。

俺を寝室に案内しようとクラリーが席を立ったので、俺も一緒に立ち上がった。


「ご主人様~、私も抱っこして運んで下さい~」

「—————えっ?」

「レイアお姉さんみたいに運んで下さい~」

「私も!私も!」

「私も運んでー!」


リワンの一言をきっかけに、ミルンとステーシアも便乗してきた。

運ばないと収まりがつかないと諦めた俺は、リワンに近づいて行った。

ニコニコしているリワンを抱きかかえて、案内された部屋に入り、ベッドに寝かせた。

笑顔で「おやすみなさい~」と言っていたから、機嫌は直ったと思いたい。


リビングに戻ると、順番待ちの列が出来ていた。

それに従って、ステーシア・ミルンの順番で部屋に運んでいく。

最後にヒトミが立っていたのは気のせいだろうか?

あいつがこんな事をするとは思えない。

2人を寝かせた後でリビングに戻り、俺の寝室に案内してもらおうとクラリーに声を掛けた。


「ちょ、ちょっと!」

「・・・・・何だ?」

「私まだ運んでもらって無いんだけど、、、」

「ヒトミも運んで欲しかったのか?」

「並んでたでしょ!」

「何かの間違いかと思ってた」

「・・・・・あんたねぇ」


ヒトミは拳を握りしめ、うつむいたままプルプル震えている。


—————マズイ!

俺にはわかる!

これはダメなやつだ!


身の危険を感じた俺は、すぐにヒトミに近づいた。


「—————ひゃっ!?」


小さな悲鳴を上げたヒトミを抱きかかえ、そのままリビングを出た。

ヒトミは顔を赤くして(うつむ)いたまま黙っている。


「軽いな。ちゃんと飯食ってるのか?」

「・・・・・食べてるわよ」

「ヒトミがこんな事をするとは思わなかった」

「わ、私だけしない訳にはいかないでしょ!」


胸の中でブツブツ文句を言っているヒトミをベッドに寝かせてリビングに戻った。


「やっと終わった、、、」

「まだ私が残っていますよ?」

「へっ?」


クラリーが腕を広げて笑っている。


「—————はぁ」


ため息をついてクラリーを抱き上げ、そのまま部屋まで運んで、レイアの横に放り投げてやった。


一仕事を終えて自分の寝室に入り、ランプに明かりを灯してみると、箱に入ったアルギュロスが、ベッドの上でスヤスヤ眠っていた。

俺だけ1人かと思っていたが、ちゃんと相方が準備されていたようだ。

俺はアルギュロスの箱を抱えて床に置き、ベッドに入って頭から布団を被った。





「行ってくる」

「行ってきます~」


次の日、情報を集めるために出掛ける事にした。

調べるのはアルギュロスが一緒に泊まれる宿、それとヒトミに頼まれた転移ゲート、ついでにレイアの為にアイテムボックスが作れるかも聞いておきたい。


今日の監視役はリワンだ。

レイアはまだ二日酔いでダウンしているので、ヒトミかリワンのどっちかだろうと思ってはいたが、、、


「リワン、どこか行きたいところはあるか?」

「ご主人様の行く所に行きたいです~」

「・・・・・じゃあ、ギルドでいろいろ聞こう」

「はい~」


教えてもらった通りに歩いて行くと、いつもの白く大きな建物が見えてきた。

冒険者ギルドに入り、受付で宿について聞いてみた。

動物を連れて泊まれる宿はあるにはあったが、数は少ないと言われた。

動物を連れている人はあまり見た事がないから、それは仕方が無いだろう。


いくつか宿を紹介してもらい、ついでにどんなクエストがあるかも確認してみた。

さすが温泉街、食材を集めるクエストが多い。

その他にはプタ火山の見学に行く観光客や商隊の護衛などがあった。

こういうのを見ると、やはり旅をする事は危険なんだと気付かされる。


リンガンブールの近くに転移ゲートはあったが、アイテムボックスを作る施設は無かった。

これは仕方がない。

それなりに大きな町だが、あくまでもここは観光地だ。

温泉街にそんな場所があるとは思えない。


ギルドを出て、紹介してもらった所に足を運んだ。

温泉から少し離れた場所にある宿で、動物も泊まれる4人部屋をお願いした。

その後はリワンと一緒に町を見たり、お茶を飲んだりして時間を潰し、昼飯前にクラリーの家に戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ