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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
70/105

【16】聞く気も無いくせに、、、


今日の夕飯はオムレツだった。

今回もご丁寧に全員の名前がケチャップで書かれていた。

3姉妹は初めて食べるオムレツに驚いている。


たぶんヒトミはこの驚いた顔を見たくてオムレツにしたんだろう。

得意げな顔でニコニコしながら、お代わりを渡している。


3姉妹はアルギュロスにも夢中だ。

黄色い声を上げながら、交代で抱き上げて可愛がっている。


寝る時はアイテムボックスから壊れた馬車を取り出して、彼女達にはそっちで寝てもらった。

別に7人でも寝れなくはないが、男の俺がいると寝付けないかもしれない。


「ヒトミ、彼女達にリンガンブールの事を聞いてみてくれ」

「何が知りたいの?」

「温泉に決まってるだろ!」

「それは重要ね」

「後は有名な場所とか、飯が美味い店とか、お勧めの宿とかかな?」

「エッチなお店の場所は聞かなくてもいいの?」

「聞かなくてもいいです~!」

「聞く必要ありません!」

「・・・・・」

「—————ププッ」


俺達の返事を聞いて、ヒトミは笑いをこらえている。

聞く気も無いくせに、、、

俺の腕に抱き付いているリワンの力が少し強くなった。





朝起きて馬車から出ると、3姉妹が隣の馬車の中で着替えをしていた。

クラリーが緑、ミルンが青、ステーシアが白か、、、

ヤバイと思いつつも、この絶景から目を逸らす事が出来ない。

俺の(よこしま)な視線に気が付いたのか、彼女達が俺の方に振り向いた。


「「「キャーーー!!」」」


3姉妹が大きな悲鳴を上げ、その悲鳴を聞いてみんなが馬車から飛び出して来た。

ヒトミ達は周囲を見渡し、一瞬で状況を理解して俺を睨みつける。


「ま、待て!これは不可抗りょ—————」


俺の言葉を聞く前に、足元の石を拾って投げつけてきた。

レイアとリワンが投げた石は避けれたが、ヒトミの投げた石は俺の足元に穴を開けていた。

これが当たったら、どてっ腹に風穴が開くぞ、、、

ラッキースケベなんかで死にたくない!


「うちの変態が本当にごめんなさい!」

「・・・・・すみません」

「いえ、こっちが不用心だったんです」

「そうです」

「気にしないで下さい」


どれだけ言い訳しても、ヒトミ達は俺を無視しやがる。

俺の席には具の無いスープしか置かれていなかったから、パンは自分のアイテムボックスから出した。

俺が自分から覗きに行ったんなら、この罰もわかる。

あんな不可抗力で、何故こんな仕打ちを受けなければならないんだ!


朝食後、昨日と同じように俺が馬に乗り、リワンが馬車の操縦で出発した。

道中の馬車からは楽しそうな声が聞こえてくる。

昨日頼んだ事をちゃんと聞いていてくれればいいんだが、、、




昼食の為に馬車を止め、みんなが準備に取り掛かっている。

俺は嫌な予感がしたので、少し離れた所でもう1つかまどを作り、昼食を作る事にした。

そこで1人寂しく昼食を食べていると、クラリー達がやって来た。

昼食の皿を持ったまま、俺の隣に座って食べ始めた。


「ごめんなさい、私達の不注意のせいで、、、」

「いえ、俺もジッと見てしまったので」

「ヒトミさん達には、後できちんと説明しておきますので」

「大丈夫ですよ、いつもこんな感じなんで」


3姉妹はばつが悪そうな顔をして、俺の横で静かに食べている。


「姉さん、今日はみんな家に泊まってもらおうよ」

「うん、それいい!」

「こんなにお世話になってるんだよ」

「・・・・・そうね、そうしましょうか?」

「うん!」

「私、ヒトミさん達に教えて来る!」


ミルンとステーシアはヒトミ達の方へ走って行った。


「本当にいいんですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。あの子達も嬉しそうですし」

「・・・・・そうですか」

「なのでご遠慮なさらずに、泊まって行って下さい」

「ちょっとあいつらと相談してみます」


立ち上がって話をしに行こうとしたが、すでに話を聞いたんだろう、向こうはもう大騒ぎだった。


「すいません、お世話になる事になりそうです」

「フフフ、構いませんよ」


そのままクラリーの隣に座って食事を続けた。




「あれがリンガンブールにあるプタ火山の煙です」


馬車の中からミルンが指をさしたその方向に、もくもくと立ち昇る白い噴煙が見えた。

しばらく馬車を走らせると、赤黒い外壁が見えてきた。

その町の遥か後方に黒煙を上げているプタ火山が見える。


町に入った後は、ミルンの案内に従って馬車を預けに行く。

馬車を預ける時に壊れた馬車をどうするか聞いてみた。

修理したいという事なので、ここでアイテムボックスから取り出しておいた。


そんなに大きな町ではないが、様々な種族の人達がたくさん歩いている。

人族が多いのは変わらないが、犬耳や猫耳、ウロコの付いた尻尾や小さな羽のある種族もいる。

エルフはまだ見ていない。


「着いたよ!」

「ここが私達のお家なの」


平屋の一軒家、木が立っている小さな庭の中で、色鮮やかな花や野菜が作られている。

玄関まで敷かれている石畳の上を歩いて行った。


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