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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
68/105

【14】・・・・・眠い


—————ん?


顔がくすぐったい。

目を開けるとアルギュロスが俺の頬を舐めていた。

その横にはリワンが座っている。


「ご主人様~、おはようございます~」

「・・・・・おはよう」

「朝ごはんですよ~」


そう言ってリワンはアルギュロスを箱の中に戻しに行った。

みんなはもうテーブルについている。

急いで顔を洗い、俺もテーブルについた。


朝食を食べて着替えをし、忘れ物が無いか確認した。

ヒトミが肩からたすき掛けにした袋に、アルギュロスを入れている。

昨日作っていた物だろう。

アルギュロスは袋の部分から頭と前足を出している。


「これなら両手も使えるし、いいでしょ?」

「ヒトミお姉ちゃん、私もやりたいです~」

「レイアとリワンちゃんの分も作ったから後で渡すね」

「私のもあるんですか?」

「ありがとうございます~」


4人と1匹で家を出て、馬車を取りに行った。


「じゃあ、出発するぞ」


馬車を走らせ、町を出る。

アルギュロスはリードで御者台に繋いである。

長いリードだから、動き回るのに邪魔にはならないだろう。

馬車から落ちないようにする為のものだ。




「リワンちゃん、何かいる?」

「大丈夫です~、人も魔物もいません~」

「じゃあ、飛ぶわよ!」


町から少し離れた場所で、周りに誰もいない事を確認し、ヒトミが転移魔法を使う。

一瞬でフェンの町近くにある転移ゲートに着いた。

そのままフェンに向かい、3人を馬車に残しギルドに向かった。

リンガンブールまでの地図を見せてもらった後で、動物も一緒に泊まれる宿がないか尋ねたが、ここには無いと言われた。


「ここにはアルギュロスが一緒に泊まれる宿は無いみたいだ」

「馬車の中にアルちゃんだけ置いて行く事は出来ません!」

「可哀想です~」

「このまま進むわよ!」


全員一致でこのままリンガンブールに向かう事になった。

今まで馬車に乗っている時は特にやる事も無く、話をしているだけで少し退屈だったが、今はアルギュロスと遊んでいる。

アルギュロスは最初から馬車の揺れなども気にせず、元気に走り回っていた。

転移魔法を使った時も大人しかった。

物怖じしない奴だ。





馬車で1泊し、次の日も順調に旅を進めていたが、昼過ぎから雨が降り始めた。

どんどん雨脚が強くなってきている。

馬車を閉めるように指示を出し、少し道から外れた所で馬車を止めて中に入った。


「今日はここで休もう」

「わかったわ」

「じゃあ、馬の世話をしてくる」

「ご主人様~、私も行きます~」


雨に濡れながら、リワンと一緒に馬を近くの木に繋いで世話をする。

馬に餌と水を与え、馬車の中に戻ろうとした時に、リワンが岩の方を指さした。


「ご主人様~、魔物が来ます~」

「何体だ?」

「3つです~」


リワンが指さした方に目を向けると、蛙の魔物が飛び跳ねながら近づいて来ている。


【 グラタナストード Lv.21 魔物 】【 毒攻撃 牙攻撃 水耐性 】


—————でかい!?

軽自動車サイズの牙を持った茶色い蛙だ。

何で蛙に牙があるんだよ!

しかも毒持ちか、、、


「リワン、2人を呼んで来てくれ」

「わかりました~」


魔法で牽制しながら馬から離れる。

毒が怖いから距離を取りたいが、でかいくせに結構素早い。

こっちは地面がぬかるんでいて動きにくいのに、、、


伸ばしてきた舌を斬り飛ばし、怯んでいる隙に接近し1体を斬り倒す。

応援に来た3人に魔物の情報を伝え、リワンには馬を守らせた。

1体はヒトミに任せて、俺とレイアでもう1体を攻撃する。

後ろに飛んで距離を取り、魔法を撃ち込んでいく。

魔物はこっちに近づけず全身に魔法を浴びている。

いくら動きが素早くても、この数は避けきれないのだろう。

少しずつ動きが鈍くなってきた蛙を、最後は数の暴力で押し切った。




馬車に戻り、着替えを済ませる。

夏なら別に問題なかったのだが、今の時期は濡れると少し寒い。


「夕食はどうする?」

「火は使えないよね」

「手持ちのパンとジュースで済ませるしかないな」

「飲み物だけでも温かいのが飲みたかった」


簡単に夕食を済まし、寝るまでゆっくりしようと思っていたのだが、今日はお客さんが多い。

寝るまでに2回襲撃があった。


「寝てる時にも来るかな?」

「来そうです~」

「魔物避けの薬草は使えないしな、、、」

「ダメよ、アルちゃんがいるんだから!」

「そうです!」

「使うとは言ってないだろ」

「取り敢えず寝ましょう。リワンちゃん、魔物が来たら起こしてね」

「はい~」





・・・・・眠い

結局、朝になるまで4回の襲撃を受けた。

服は濡れるわ、眠れないわの最悪な夜だった。


「眠いです~」

「私もです」

「元気なのはアルちゃんだけね、、、」


フラフラな俺達と違って、アルギュロスは今日も元気に走り回っている。

外の様子を見てみると、雨は小雨になっているが、昨日からの雨で道はぬかるんでいる。


「道はまだドロドロね」

「取り敢えず進んでみるか?」


出発してはみたものの、道が悪くなかなか思うように進まない。

蛙もピョコピョコ襲って来る。

半日進んだ所で今日は諦めて、休む事にした。

昨日あまり眠れなかったから丁度いい。


「今日はここまでにしよう」

「はい~」

「昨日あまり寝てないから、眠れる時に寝ておきましょう」




空はまだ曇ってはいるが、少し前に雨は止んだ。

雨が止むと、蛙の魔物は姿を見せなくなった。

このまま大人しくしていて欲しい。


暖かい昼食を食べて体を温める。

食後はみんな泥のように眠っていた。


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