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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
63/105

【09】「「な、なんだってー!!」」


次の日、言われた通りにギルドに顔を出した。

特に何かする訳でも無く、ギルド長から労いの言葉と、これからもよろしく頼むと言われただけで済んだ。


家に帰ってもやる事が無いので、俺はそのまま狩りに出掛けた。

ヒトミは家に帰ると言って、そのまま歩いて行った。




今日は少し早めに狩りを切り上げて家に帰り、夕食を作る事にした。

たまには俺も作った方がいいだろう。


せっかくマヨネーズを作ったのに、サラダにしか使っていない。

今日は鶏肉の照りマヨにしよう。


鶏肉が焼きあがったら、そのままアイテムボックスで保管しておき、みんなが帰って来てから調味料で味付けして、最後にマヨネーズをサッと絡ませて出来上がり。

お手軽だな。


「う~ん、美味しい!」

「これもマヨネーズを使っているのですか?」

「ああ、そうだよ」

「とても美味しいです~」

「こんなの食べてると本当にご飯が欲しくなるわね」

「確かに、、、」

「照りマヨ丼が食べたーい!」

「ご飯って何ですか~?」

「白くて小さな粒がお米で、ご飯はそれを炊いた食べ物よ。」

「・・・・・白くて小さい粒ですか?」

「レイア、見た事あるの?」

「こんな感じですが、元の色は白ではありません。手を加えると白くこの形になります」


そう言って、レイアは少し欠けた楕円の絵を描いて見せた。


「・・・・・ヒトミ」

「・・・・・ええ、間違いないわ」

「レイア、どこでこれを見たんだ?」

「エルフの森ですが、、、」

「「な、なんだってー!!」」


俺とヒトミは噛みつかんばかりの勢いでレイアに迫る。

レイアはその迫力に押され、仰け反りながら話を続けた。


「エ、エルフの森の非常食みたいな物ですが、実際は鶏などの餌に少しずつ混ぜて使っています。固いからかパンの方が断然人気です」

「それは生でバリバリ食う物じゃ無い!」

「そうよ!何をやってんのよ!」

「す、すみません、、、」

「煮てみようとは思わなかったのか!」

「本当よ!」

「わ、私に言われましても、、、」

「パンは作れるのに、ご飯が作れないとは何事だ!」

「話にならないわね!」


俺達の迫力に押され、レイアはビクビク震えている。


「ヒトミ、どうする?」

「次の旅行はリンガンブールよね?」

「そうだ」

「お米、食べられちゃうかな?」

「レイア、さっき非常食みたいな事を言っていたが冬に食べるのか?」

「いいえ、よほどの非常時にしか食べないはずです」

「なるほど」

「なら少しくらい後回しにしても大丈夫じゃない?」

「すぐにでも飛んで行きたい所だが、冬に遠出はしたくないしな」

「そうね」

「レイア!」

「は、はい!」

「リンガンブールの旅行が終わって暖かくなってきたら、エルフの森に案内してくれ!」

「お願い!」

「わ、わかりました」

「・・・・・ついに見つけたぞ」

「・・・・・ええ、やったわね」


不気味に笑いながら、俺とヒトミは固い握手を交わした。




「さっきのご主人様とヒトミお姉ちゃん、とても怖かったです~」

「ええ、私も食われるかと思いました、、、」

「ビックリしました~」

「食とは恐ろしい物ですね、、、」

「でもお米という物を使ったお料理は楽しみです~」

「そうですね、2人の作るお料理はとても美味しいですから」

「・・・・・ワクワクします~」

「・・・・・待ち遠しいですね」


不気味な笑みを浮かべる2人の横で、レイアとリワンも頬を緩めていた。





夏の暑さもすっかり影を潜め、過ごしやすい気候になって来た。

秋がやって来たのだろう。


俺はほとんど毎日、旅行とマイホームの資金稼ぎの為にクエストをこなしていた。

家がいくらくらいで買えるのか知らないが、マイホームはまだまだ先になるだろう。

エルフの森に本当に米があったら、その近くに建てるのも良いかもしれない。




「ご主人様~、乗馬の練習がしたいです~」


家に帰って来た俺に駆け寄って、腕に抱き付きながら上目づかいで頼んできた。

俺に頼み事をする時、リワンはいつもこうだ。

ヒトミの入れ知恵に違いない。


「乗馬?俺が教えるのか?」

「いいえ~、宿屋のおじさんに教えてもらいます~」

「私もやりたい!リワンちゃん、一緒に行こう」

「はい~」

「わざわざ俺に言わなくても、自分のお金なら好きな事をしてもいいんだぞ」

「ご主人様には言わないとダメなんです~」

「・・・・・なら奴隷から解ほ—————」

「お断りします~」


—————クッ

また断られた!

しかも食い気味に、、、

何回言っても聞きやしない!


「明日から行ってきますね~」

「ああ、わかった」

「では、明日から私と一緒にクエストに行きませんか?」

「2人でか?」

「はい、その方が安全だと思います」

「そうだな、いいよ」





次の日から4人で一緒に家を出るようになった。

途中で分かれて俺とレイアはギルドに、ヒトミとリワンは乗馬の練習に向かう。

ギルドに向かって歩いていると、前から歩いて来たフォルミナさんに声を掛けられた。


「おはようございます。この前はお世話になりました」

「フォルミナさん、お久しぶりですね」

「そうだ、また薬草採取の護衛をお願いしたいんですが、、、」

「ええ、大丈夫ですよ」

「明日の朝、ギルドに来てもらえますか?」

「わかりました」


フォルミナさんと別れ、ギルドに寄ってから馬で狩りに向かった。


「レイア、今度指定クエストやろうか?」

「さっきの女性ですか?」

「そうだ、護衛と手伝いだな」

「わかりました」


町を出て、今日の狩り場に向かって馬を走らせた。


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