表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
62/105

【08】・・・・・俺の旅は終わりを告げた


「子爵様、お連れ致しました」

「入れ」


屋敷に入り、案内された部屋の扉を開けてもらうと、中には髭を生やしたダンディーなおじさんが立っていた。

この人がハイゼルン子爵か—————

目の前に歩いて来た、これぞ貴族という感じのハイゼルン子爵が、俺達に(ねぎら)いの言葉をかけてくれている。

見た目だけではなく、声も渋い。


教えられた動作、教えられたセリフを言って無事に謁見は終わった。

呆気ない、、、

ものの数分で終わってしまった。


屋敷を出る時に使用人の方から、俺とヒトミに箱が手渡された。

感謝の印に受け取って欲しいという事なので、ありがたく頂戴する。

そのまま馬車に戻り、2人でほっと一息ついた。


「無難にこなしたではないか?」

「いえ、ずっと緊張してましたよ」

「そうは見えなかったがな」

「これで一安心です」

「我々はこれからヴァルアに帰るが、君達はどうする?」

「もう帰られるんですか?」

「今から出れば今日中にルザーラまで行けるだろう。あまりギルドを空ける訳にはいかんからな」

「せっかくなので今日はここに泊まります」

「そうかわかった、では宿に戻ろう」


宿に戻り衣装から普段着に着替えた。

着替え終わった衣装を積み込んだ後、馬車はすぐに出発するようだ。


「ではお気を付けて」

「ああ、ヴァルアに戻ったら一度ギルドに顔を出してくれ」

「わかりました」

「君達も気を付けてな」


慌ただしいな、そんなに忙しいのか?


「まずは今日の宿を取ってから昼飯にしようか」

「みんなで寝れるお部屋がいいです~」

「そうね」

「そうしましょう」


・・・・・俺の旅は終わりを告げた


3人は近くの宿に入り4人部屋を取っている。

まぁ、いいさ。

2回も行けたんだ、、、

悔いは、、、、、無い、、、




町を散策し、夕食を食べて宿に戻るとすぐにヒトミが話を切り出した。


「明日、もう1泊しましょう」

「それはいいですね」


このままなし崩しに宿泊が増えていきそうな気がする。

メラゾニアの時みたいに、、、


「ねぇ、聞いてる?」

「1泊だけなんだろうな?」

「明日1日、買い物したいの」

「それはいいですね」

「私も行きます~」

「あんたはいろいろ楽しんだみたいだけど、私達はほとんど遊んでないのよ!」

「・・・・・わかった」

「やった!」

「明日は買い物三昧ですね!」

「楽しみです~!」





次の日、3人は朝早くから出掛けて行った。

夕方に戻って来るから、それまでは自由行動だ。

こんな時間に自由をもらってもどうしようもない。


食材を売っている店に入り、何か珍しい物は無いか探してみたが、特に目新しい物は無かった。

ヴァルアより安かった食材だけ買い込んだ。


あっという間にやる事が無くなった俺は宿に戻り、謁見の帰りにもらった箱を開けてみた。

中には短剣とお金が入っている。

短剣の鞘と柄の部分には紋章が刻まれていた。

これはハイゼルン子爵の紋章かな?

中身を確認し、箱に戻してアイテムボックスに大事に入れておいた。




夕方になると3人がニコニコしながら帰って来た。

買い物を満喫してきたようだ。


「今日はずっと買い物してたのか?」

「そうよ」

「たくさん買ってしまいました」

「私もたくさんお洋服を買いました~」

「ここには転移ゲートは無かったのか?」

「あっ、、、転移ゲートの事なんて頭に無かった」

「・・・・・」

「何よ!」

「何にも言ってないだろ?」

「呆れた顔をしてるじゃない!」

「子爵が住んでいるような町だから、たぶんあると思うけどな」

「・・・・・あんたがギルドで聞いてきて」

「何で俺なんだ?」

「いいから!」


こんな見事な逆ギレは見た事が無い。

俺は転移魔法を使う事は出来ないから、変に勘繰られても誤魔化せるだろう。


夕食後、その足でギルドに向かった。

何故か3人は俺の後を付いて来ている。


いや、理由は判っている。

夜は俺に自由を与えないつもりだ。

ならお前が行けばいいじゃないかと思ったのは当然の事だと思う。

口には出せないが、、、




やはりここには転移ゲートがあった。

宿に戻って、帰りの進路を相談した。


ルザーラへの帰り道から少し外れた場所に設置されているから、遠回りにはなるが転移ゲートに寄ってからルザーラに向かう事になった。

朝早く出れば、明日中にはルザーラに着くだろう。

そこからは往路と同じようにヴァルアに帰る。





次の日、昨日決めた通りに馬車を走らせた。

転移ゲートに寄ってからルザーラに向かい、ルザーラで1泊して、そこから2日程でヴァルアに着いた。


「ギルドに行くのは明日にするか?」

「そうしましょう」


馬車を預けて家に帰り、そのまま横になった。

変に疲れた旅だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ