表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
61/105

【07】—————!?


次の日、ルザーラを出発してフェンに向かった。

もう覚える事は無いのだが、ギルド長から話に付き合えと言われて、ヒトミと2人で向こうの馬車に乗っている。

ギルド長からは愚痴を聞かされるだけだった。

若い冒険者はすぐに町を出て行くだの、他の町のギルドに行きたいだの、俺達が聞いてもいいのかと思ってしまうような内容だった。

まだ昨日の酒が残ってるんだろうか?




昼を少し過ぎた頃、思っていたよりも早い時間にフェンに到着した。

ルザーラよりは大きな町だが、メラゾニアに比べたらはるかに小さい。


馬車を預け、レイアとリワンの宿を探しに行く。

俺達の宿から少し離れた所にある宿に部屋を取った後、まだ夕飯までは時間があったので町中を散策した。


「2人は明日どうするんだ?」

「私もご主人様と一緒に行きたいです~」

「それはちょっと無理だな」

「お見送りがしたいんです~」

「お屋敷の前まで行くだけなら大丈夫じゃないの?」

「わかった、ギルド長に聞いてみるよ」

「はい~、ありがとうございます~」

「レイアはどうする?」

「ご一緒できるなら私も行ってみたいです」

「わかった」


夕飯を食べて宿に戻ってから、ギルド長に明日2人を屋敷の前まで連れて行ってもいいか聞いてみた。

屋敷の前までなら構わないと言うので、みんなでギルドの馬車に乗って行く事にした。


飯も食べ夜も更けたとなったら、この後は男の散歩だ。

今日も宿を抜け出して、夜の町へと繰り出した。




「今日も散歩か?君も好きだな」


店を探して町中を歩いていると、バッタリ会ってしまったギルド長に声を掛けられた。

今日は外で飲んでいたんだろう。


「まったく、3人も傍に女性が居ると言うのに、、、」


俺を見て呆れるよう呟いている。


「あの3人は嫁でも恋人でもありませんよ」

「そうなのか?」

「ええ」

「まぁ、明日は大事な日だからあまり無茶はしないようにな」

「はい、大丈夫ですよ」


ギルド長と別れ、再び店を探して歩き回った。

程なくして店が見つかり、中に入る。

2日連続の夜遊びだ。

メラゾニアに行った時より夜遊びが充実している。

謁見の為とはいえ、やりたくもない勉強までしてここまで来たんだ

これくらいのご褒美はあってもいいだろう。

旅の疲れと勉強のストレスを綺麗サッパリ洗い流した。


—————来てよかった!

さすがは子爵の住む町!素晴らしい!


フラフラしながら宿に戻り、そのままベッドに寝転がった。

明日が本番か、、、

顔を見るだけだからすぐに終わるだろう。





—————コンコンッ


ノックする音が聞こえたので、ドアを開けると礼儀作法の先生が立っていた。

準備が終わり次第、衣装に着替えるから来て欲しいとの事だ。


部屋を片付けてから言われた部屋に行き、そこで衣装に着替えて部屋を出た。

丁度、ヒトミも着替えが終わったようだ。

着付けを手伝ってもらったであろう女性と一緒に、隣の部屋から出て来た。


いつもはポニーテールにしている髪を後ろで纏め、薄くメイクをして赤いドレスを着ている。

胸元の露出は少ないが、ドレスが体にピッタリとフィットしているので、大きな胸が余計に目立っている。

綺麗なアクセサリーを身に着け、少し低めのヒールを履いている。

あまりの変わりように驚いて、少しボーっとしてしまった。


「今、私に見とれてたでしょ?」


ヒトミがドヤ顔で俺の顔を覗き込んでいる。


「馬子にも衣—————」

「うるさい!」


すべて言い終わる前に食い気味で怒鳴られた。

予想していた言葉だったんだろう。




宿を出て、2人で馬車に乗り込んだ。

俺達よりも先に、レイアとリワンは中で待っていたようだ。


「ご主人様~、カッコイイです~」

「ヒトミさんも凄く綺麗です」

「はい~、ヒトミお姉ちゃんも凄く綺麗です~」

「そうかな?ありがとー」


3人が騒いでいるのを見ながら、ギルド長が来るのを待った。

最後に馬車に乗り込んで来たギルド長は、ドレスではなく制服を着ていた。

派手な制服だ。

きっとギルド関係者はこの制服が正装なんだろう。

ギルド長が合図を出すと、馬車が屋敷に向かって出発した。


「そのドレス、良く似合っているではないか」

「あ、ありがとうございます」

「こんな綺麗な女性が3人も近くにいるというのにこの男は、、、」

「何のお話ですか?」

「ん?この男の夜遊びの話だ」

「ギ、ギルド長!」


ギルド長が落とした爆弾を合図に、3人が一斉に俺を睨みつける。


「ん?マズイ事を言ってしまったか?」

「大丈夫です。詳しく教えて下さい」

「昨日、一昨日と2日連続で夜遊びをしていただけだぞ」

「「「・・・・・」」」

「どこに行っていたのかまでは知らんがな」

「「「・・・・・」」」

「まぁ、本人は散歩だと言っていたが、、、」

「「「・・・・・」」」


3人はゴミを見るような目で俺を見ている。

—————やめてくれ!

そんな目で見られて喜ぶ趣味は持ち合わせていない。


「最初は君達が奥さんだと思っていたのだが違うのだろう?」

「・・・・・そ、そうですが、、、」

「なら多少の夜遊びくらいで目くじらを立てるものではないぞ」


—————!?

味方だ!

初めての俺の味方だ!


よし!

そこだ!!

言いくるめろ!!!


俺は全力でギルド長を応援した。

もちろん心の中でだ!

さすがにギルド長には何も言えないのか、3人は大人しくしている。

そのまましばらく馬車に揺られていると、御者が屋敷に着いた事を教えてくれた。


「では終わるまで待っていてくれ」


3人で馬車を降り、屋敷に向かって歩いて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ