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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
60/105

【06】邪魔者達はいない!


次の日、ヒトミと一緒にギルドに向かった。

今まで入った事の無い部屋に案内され、しばらく待っているとドアが開き、1人の女性が入って来た。


「待たせてしまったかな」


立ち上がって、差し出された手を握る。


「私はギルド長のダリスだ」


ギルド長が出て来るほどの話なのか、、、

初めて見たぞ。

ちょっと気になったので《看破スキル》で見てみた。

38歳でレベル28、槍を使う女戦士だ。


ギルド長は自分の名前を告げると、すぐに今回の説明に入った。

この前の盗賊退治のクエストはハイゼルン子爵からの依頼だったらしい。

それでクエストのお礼がしたいと言われ、俺達が行かなければならなくなったと説明された。


明日、ギルドの馬車で出発する。

道中で1泊、ルザーラで1泊、フェンで1泊して面会という予定になっている。


「そういう場所で着る服も持っていませんし、礼儀作法もわからないんですが、、、」

「衣装はこちらで準備する。礼儀作法はフェンまでの道中で最低限の事を覚えてくれればいい」

「わかりました」

「子爵様に謁見するだけだ、そんなに身構える必要は無い。この後、衣装を選んでもらってくれ」

「はい」

「何か質問はあるかな?」

「俺の馬車で後2人連れて行ってもよろしいですか?」

「悪いが宿泊などは手配できないぞ」

「構いません」

「その2人は冒険者か?」

「そうです」

「ならば特別に我々の護衛という形で報酬を出そう」

「ありがとうございます」




ギルド長の説明が終わった後、ギルドを出て服屋に向かった。

そこで2人分の衣装を見繕ってもらい、選んでもらった衣装をギルドの職員に預けて家に帰った。


「昼から旅の準備に行くぞ」

「買い物?」

「ああ、レイアとリワンの分は用意しておいた方がいいだろ?」

「そうね」


ヒトミと買い物を済ませて家に帰り、夕食の時にレイアとリワンに明日からの事を説明する。


「リワン、フェンっていう町は知ってるか?」

「知らないです~」


ルザーラの先にある町らしいから、リワンはそこから来たのかと思ったが違うみたいだ。


「明日からみんなでフェンに行くぞ」

「私達も行けるのですか?」

「謁見は出来ないが、こっちの馬車を使えば一緒に行くのは大丈夫だ」

「わ~い!」

「俺とヒトミは向こうの馬車でいろいろ勉強するから、こっちの馬車はリワンが操縦だ」

「わかりました~」

「一応護衛という形で報酬がもらえるみたいだから、魔物が出たら倒してくれ」

「では私が」

「魔物が多かったらみんなで出よう」


レイアとリワンは旅行が出来て嬉しそうだが、俺は不安で仕方がない。

面倒な事にならないといいけどな、、、





次の日、馬車に乗ってギルドに向かった。

俺とヒトミは向こうの馬車に乗り換える。

馬車の中にはギルド長ともう1人年配の女性が乗っていた。

礼儀作法の先生だと紹介された。


そのまますぐに出発してフェンに向かった。

全部で馬車が2台と騎馬が1頭、俺達が4人ギルド側が4人の編成だ。

道中は先生から礼儀作法をみっちり叩き込まれた。


それほど魔物に襲われる事も無く、順調に旅は進んで行った。

今日は馬車の中で1泊。

みんなで夕食を食べ、寝る時は自分の馬車に戻った。


「・・・・・疲れた」

「うん、、、」

「ご主人様~、大丈夫ですか~?」

「大丈夫、、、、、じゃないな」

「うん、私も、、、」





次の日も馬車の中で勉強していた。

謁見するだけなのについでだからと言って、テーブルマナーまで教わる羽目になった。

時々襲ってくる魔物は、護衛の人とレイアが始末してしまうので、馬車からは出る事が出来ない。


ヴァルアを出発して1日半ほどでルザーラに到着した。

馬車を預けて、今日の宿に向かう。

俺とヒトミはギルドが用意してくれた宿に泊まるが、レイアとリワンの分はこっちで取らなければならない。


「リワン、前に俺と一緒に泊まった宿を覚えてるか?」

「はい~、覚えてます~」

「今日はレイアとそこに泊まってくれ」

「わかりました~」

「宿を取ったら夕食にしよう」


ギルドの人達と別れ、宿を取って帰って来た2人と合流して、前にリワンと一緒に行った店に入った。


「ご主人様~、懐かしいですね~」

「そうだな」

「リワンちゃん、ここに来た事あるの?」

「はい~、ご主人様に初めて連れて来てもらったお店です~」

「そっか、ここでリワンちゃんと会ったんだっけ?」

「ここっていうか、この町の外だけどな」

「ご主人様に助けてもらったんですよ~」

「リワンさん詳しく教えて下さい」

「いいですよ~」


リワンがレイアに俺と初めて会った時の事を話している。

少し話を盛っている気がするが、いい方に盛っているから放っておこう。

夕食後、2人に明日遅れないように言って、自分達の宿に戻った。


—————ふははははは!

今日は1人だ!

邪魔者達はいない!

こんなチャンスを逃す訳にはいかない!


夜中、部屋を抜け出しで娼館にお出掛けした。

1回行っているから場所は知っている。

久しぶりにモヤモヤを吹き飛ばし、浮かれ気分で宿に向かった。




「こんな時間に何をしているんだ?」


宿に戻り、自分の部屋に向かおうとした時に声をかけられた。

声の方を振り返ると、ギルド長がコップ片手に酒を飲んでいた。


「ちょっと散歩に、、、」

「・・・・・そうか、ほどほどにしておくんだぞ」

「はい、おやすみなさい」


さすがは大人の女性だ。

ギャーギャー騒ぎ立てるどこかの連中とは大違いだ!


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