【05】武器と防具
「じゃあ装備を買って帰りましょう」
装備か———
武器と防具
もちろん決まっている、剣と鎧だ!
ん?ちょっと待てよ?
「クエストはやらないのか?」
「ええ、説明しなきゃいけない事もあるでしょ?お昼ご飯を食べてからでいいわよ」
「他の人が先にあのクエストやっちゃうんじゃないのか?早い者勝ちって言ってなかったっけ?」
「あのクエストなら大丈夫よ、繰り返して依頼されてるから無くならないわ」
なるほど、需要が高いって事か。クラスが上がるとクエストもいろいろ変わっていくのだろう。
そのまま町の門の方に歩いて行き、建物に入っていく。
外から剣や槍が見える。武器屋みたいだ。
俺もヒトミに付いて店に入る。
「おはよう。おじさーん、いる?」
しばらく待っていると店の奥から小さなおじさんが、頭をボリボリ掻きながら出て来た。
「おう、嬢ちゃんか。いらっしゃい」
「武器を買いにきたんだけどいい?」
「ああいいぞ、好きなのを選びな」
「あっ、今日は私のじゃないの。———ほら好きなの選びなさい」
そう言ってヒトミが俺を店の奥に手招きする。
剣、槍、弓、他にも沢山の種類の武器が並べられている。
使う武器はもう決めている、剣だ。少し長めの剣がいい。
どんな剣が良い剣なのかはわからないが、最初なんだから自分が扱いやすい安めの物でいいだろう。
1つ1つ手に取り、握りの太さや重さを確かめていると、後ろで話している2人の声が聞こえる。
「あの兄ちゃん、嬢ちゃんの男か?」
「ちょっ、違うわよ!そんなんじゃない!」
「いやぁ~、嬢ちゃんが男を連れてくるとはのぉ」
「違うって言ってるでしょ!ただの小間使いよ、小・間・使・い」
「ほぉ~、そうかそうか」
誰が小間使いだ!
頭の中で文句を言いながら剣を手に取り悩んでいた。
「ちょっとあんた、いつまで探してんのよ!初めての武器なんだからどれでも一緒よ、今持ってるのでいいでしょ!はい、おじさんお金。また来るわ、ありがとう」
おじさんにからかわれて恥ずかしくなったんだろう。剣を持ったままの俺の腕を引っ張り、お金を払って逃げるように店から出て行った。
店から離れてもまだ腕を引っ張っている。今度は俺が恥ずかしくなってきた。
「そろそろ放しくれよ」
「あっ、ごめん」
思い出したかのようにパッと手を放した。
「次は防具を買いに行くわよ」
「ああ」
俺の方を見て、少し赤い顔で俺を睨む。
防具屋は武器屋から離れた場所にあった。武器屋よりも少し大きな店だ。
「防具は何にするの?鎧?」
「ああ、軽くて動きやすそうな鎧にしようと思ってる」
「じゃあ、私が買ってきてあげるからちょっとここで待ってて」
「待て待て待て、俺の体のサイズ知ってるのか?」
「知らないけどある程度サイズが合ってたら大丈夫だから」
そう言ってそのまま店に入って行ってしまった。
防具屋の場所は覚えたし、もしサイズが合ってなかったら後で交換に来ればいいか。交換してもらえるかわからないけど、、、
店の前をウロウロしながら待っていると手ぶらでヒトミが店から出て来た。
「じゃあ帰るわよ」
「ん?何も持って無いけど良いのが無かったのか?」
「大丈夫よ、重いから手には持ってないけどちゃんと持ってるから」
何を言ってるのかわからないが、それを確かめる前にヒトミはどんどん歩いて行く。
俺は慌ててヒトミの後を追いかけた。