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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
57/105

【03】そこまで頑張らなくてもいいのに、、、


部屋でくつろいでいるみんなを集めて、テーブルにつかせた。

みんなが不思議そうな顔で俺を見ている。


「ちょっと話がある!」

「急にどうしたのよ?」

「どんなお話でしょうか?」

「食事についてだ!」

「食事がどうかしたの?」

「食事の味を増やしたい!」


レイアは良くわかってなさそうな顔をしているが、ヒトミとリワンはかなり乗り気だ。


「この家には塩・胡椒・醬油もどき・物足りない肉のタレくらいしか無い!」

「後は砂糖とかかな?」

「話にならん!」

「・・・・・やけに熱いわね」

「ヒトミが知っている他の調味料は何だ?」

「パッと思いつくのは、、、ソース・味噌・マヨネーズ・ケチャップかな?」

「初めて聞きました」

「私もです~」

「ヒトミ、作り方を知ってるのはどれだ?」

「マヨネーズだけよ」

「作った事はあるか?」

「あるわよ、二度と作らないけど」

「俺が知ってるのは味噌・マヨネーズ・ケチャップだ」

「味噌なんてよく知ってるわね」

「実家で作ってたからな」

「お店だったの?」

「違う、俺の田舎では各家庭で味噌を作ってるんだ」


俺は作り方を知ってる調味料の材料を紙に書いてみんなに見せた。


「味噌はたぶん無理だ、材料が無い」

(こうじ)が無さそうね」

「あるのかもしれないが、こっちでは見た事が無い。作り方も知らないし、今回はパスだ」

「マヨネーズとケチャップは何とかなりそうね」

「そう言う訳で諸君には、これらの材料を調達してもらいたい」

「わかりました~」

「レイアとリワンが材料、俺とヒトミは道具を買いに行く。昼から作るぞ!」

「「「は~い」」」




俺とヒトミは道具屋と雑貨屋で、調味料を作る時に使えそうな道具を探した。

泡立て器は無いから箸みたいな細い棒を数本、裏ごし用のザルは、、、家にあったな。

後は保存用の入れ物を購入した。


材料は全部買えたみたいだ。

今回はそんなに大変な物は無いからな。

みんなを集めて、作り方を説明した。


「私、ケチャップ班!」

「却下だ!」

「ぶー!」

「全員でマヨネーズを攻略する!」

「みんなで混ぜるって事?」

「そうだ!後、レイアの魔法にも期待している」

「私の魔法ですか?」

「作ってるのを見て魔法でやれないか考えて欲しい」




昼食後、少し休憩してから大変そうなマヨネーズから作り始めた。

作り方は自体は簡単だ。

材料を混ぜるだけ。

しかしこの混ぜるのが辛い。


「そろそろ交代しよう」

「はい~」


俺と交代したリワンが、泡立て器代わりの束ねた棒で、必死にかき混ぜている。

—————目が血走っている

そこまで頑張らなくてもいいのに、、、


「レイア、この混ぜるのを魔法で何とかしたいんだよ」

「わかりました、時間がある時にいろいろ試してみます」

「頼んだわよ!」


何回か交代を繰り返して混ぜていく。

正確な分量が分からないから少しずつ油を加え、それっぽくなった所で完成。


「次はケチャップだ」

「おー!」


トマトと野菜を煮て、それを裏ごしして調味料を入れて煮詰める。

良い感じになった所で、最後にレモン汁を加え完成。


両方とも少し味見したが、納得出来る味になっていたと思う。

元の世界で食べていたような味を期待するのは(こく)な話だ。


「ヒトミ隊長、前に!」

「はい!」

「ヒトミ隊長にもこの2つの調味料を預ける。必ずアイテムボックスで保管するように!」

「サー!イエッサー!」

「では、解散!」


そう言うと全員が俺に向かって敬礼した。

—————ノリのいい連中だ、、、




今日の夕飯はオムレツだった。

肉と野菜が卵に包まれている。

黄色いキャンバスの上には、ご丁寧にケチャップでそれぞれの名前が書かれていた。

オムレツやオムライスの定番だ。

オムレツに添えられているサラダの横にはマヨネーズが置かれている。


「—————ん~!」

「—————こ、これは!?」


初めて食べたであろう2人は、ケチャップとマヨネーズの味に驚いている。


「凄く美味しいです~!」

「初めて食べる味です!」


それを見ているヒトミはとても満足そうだ。

2人は空になった皿を差し出して、お代わりをもらっている。

俺も食べてみたが、本当に美味しかった。

これで作れる料理の幅も広がるだろう。

久しぶりに元の世界を思い出した。


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