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異世界ナラティブ  作者: SW
第四章
55/105

【02】—————こ、これは卑怯だ!


次の日の朝。

家を出るまで椅子に座ってゆっくりしていたら、リワンが俺の近くにやって来た。


「ご主人様~、あの紙を見せて下さい~」

「あの紙?」

「町の事がたくさん書いてある紙です~」

「ああ、あれか」


こんな紙がリワンに必要なんだろうか?


「次はどこに行くかみんなでお話するんです~」

「えっ!?」

「今日はメラゾニアで買ってきたお菓子を食べながら女子会するから、その時に使うのよ」

「楽しみです~」

「え~と、1人旅の予定なんだけど、、、」

「「「・・・・・」」」


—————い、痛い!

3人の視線が突き刺さる!


「—————レイア!」

「はぁ、やってみます、、、」


レイアが椅子から立ち上がり、俺の後ろに移動した。


「一緒に行きたい、、、」

「—————!?」


俺の肩に手を置き、耳に顔を近づけて悩ましげな声で(ささや)く。

—————こ、これは卑怯だ!

一気に心臓の鼓動が早くなった。


「ねぇ、お願い、、、一緒に、、、」

「・・・・・わかった、一緒に行こう」


俺は何も悪くない!

これを拒否できる男など、この世には存在しないのだ!


「わ~い!」

「・・・・・相変わらずチョロいわね」

「よかったです、成功しました!」


3人はハイタッチをして喜んでいる。

俺はフラフラと立ち上がり、そのままドアを開けてギルドに向かった。




ギルドの受付で昨日受けた指定クエストの話をすると、別室に案内された。

しばらく待っていると依頼主と思われる人が入って来た。


「初めまして、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


名前はフォルミナ。

小柄で少し痩せ気味の女性だ。

26歳の人族で、錬金術などのスキルを持っている。


お互いに自己紹介をした後で話を聞いた。

彼女の話では、いろんな薬品を作る為の薬草を取りに行きたいので、その護衛をお願いしたいという事だった。


「そのまま薬草の採取を依頼しなかったのですか?」

「前は依頼してたのですが、最近数が減ってきたのと、質もちょっと、、、」

「そうでしたか」

「それに種類も多いので、、、」

「なるほど」

「それでいっその事、自分で行って不足している物や、質のいい物をたくさん取って来ようと思いまして」

「薬品はフォルミナさんが作っているんですか?」

「ええ、私も作っています」


予定を打ち合わせした後、よろしくお願いしますとお辞儀をして帰って行った。

俺はそのまま町を出て、今日も狩りに向かった。

女子会真っ最中の家に帰っても、(ろく)な事にならないだろう。

今日も夕方までせっせと魔物を倒し、家に帰った。





指定クエスト当日、朝食を食べて出掛ける準備を始めた。


「今日は帰りが遅くなるかもしれないから、先に夕飯を食べていてくれ」

「そんな遅くまでクエストをやるの?」

「ああ」

「どんなクエストなのよ?」

「指定クエストだ。薬品作ってる人がその材料を取りに行くから、その護衛をして欲しいって」

「ふ~ん、頑張りなさいよ」


家を出てギルドに行くと、フォルミナさんが俺を待っていた。


「おはようございます」

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」

「え~と、目的の場所はどこですか?」

「この辺りです」


地図を確認すると、町から少し離れた所にある草原だった。

ここなら大丈夫。

出るのはウサギと鳥の魔物ぐらいだ。


「ここまで歩いて行くんですか?」

「はい」

「少し遠いので、良ければ馬で行きましょうか?」

「すみません、乗馬が出来ないんですよ」

「大丈夫ですよ、2人くらいなら一緒に乗れますから」

「・・・・・では、お言葉に甘えて」


馬を取りに行き、フォルミナさんと一緒に馬に乗って町を出た。

襲って来る魔物は馬の上から魔法で焼いていく。

しばらく馬を走らせると、目的の場所に到着した。


「ありがとうございます。では採取してきます」

「一応、魔物避けを使っておきます」


俺は火を起こして、そこに魔物避けの薬草を放り込んだ

ここでボーっと待っているのも暇だったので、採取の手伝いをする事にした。

実際に薬草を見せてもらい、取る時に注意する事も聞いた。

採取した薬草をそのままアイテムボックスに入れていく。


「袋が一杯になったら俺が持ちますよ」

「そんな、悪いですよ」

「アイテムボックスに入れるだけなんで大丈夫です」


薬草で一杯になった袋を預かり、どんどん採取していった。

昼飯をご馳走になり、数回場所を変えながら、いろんな種類の薬草を採取していく。

場所を変える度に魔物避けを使ったからか、採取をしている時は一切魔物は出て来なかった。




「そろそろ帰りましょう」

「もう集まったんですか?」

「はい、予定よりもかなり多く採取できました!」


日が暮れる前に町に帰って来れた。

馬を預けてからギルドに向かい、報酬を受け取った。

そのままフォルミナさんを店まで送り、預かっていた袋と俺が採取した薬草を渡して家に帰った。


—————すべて世は事もなし


楽なクエストだった。


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