【01】そうだ指定クエスト、やろう!
やっとヴァルアの町に帰って来れた。
馬車を預け、久しぶりに家に帰った。
「着いたー!」
「ただいま~」
「ここがヒトミさんの家ですか?」
「そうよ」
みんなで椅子に座って、しばらく休憩する。
疲れているのか安心したのか、1回座ってしまうと動きたくなくなってしまった。
「夕飯は外食にするか?」
「そうね。疲れちゃったから今日は作りたくない」
「もう少ししたら行くか?」
「その前にちょっと掃除したい」
「1ヶ月くらい空けてたからな」
「みんな手伝ってよ」
窓を開け、家中を簡単に掃除する事になり、みんなで1ヶ月で溜まった埃を拭き取った。
「ところでレイア、布団って持ってる?」
「いえ、寝袋しかありません」
「じゃあ、それも買いましょう」
「はい」
「レイアは私と一緒にこっちの部屋で寝てね」
「みんなで一緒に寝ないのですか?」
「あれは旅の時だけ」
「そうですか、みんなで寝るのは楽しかったのですが、、、」
外が暗くなってきた頃、みんなで夕食に出掛けた。
ヒトミが少し高級な店を選んで入って行く。
レイアの歓迎会みたいな感じなのか、いつもより豪華な食事が運ばれてきた。
「いつもこんな食事なのですか?」
「違うわよ、今日は特別」
「いつもはお家で食べます~」
「レイアの歓迎会だろ?」
「そうよ」
「そうだったんですね。ありがとうございます」
「いっぱい食べてね」
みんなでたらふく飯を食って、帰りにレイアの布団を購入する為、雑貨屋に向けて歩いて行った。
「ここは静かな所ですね」
「小さい町だからな」
「メラゾニアみたいな明るい大きな町もいいですけど、こんな風に静かな町もいいですね」
家に帰ってからは、旅の疲れを癒すかのように、旅の話をしながらゆったりと過ごした。
「そろそろ寝ようかな?」
「では、私も」
「レイアは私と一緒にこっちの部屋で寝てね」
「はい」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
2人は隣の部屋へ行ってしまった。
俺はメラゾニアで買ってきたランプに明かりを付け、布団に寝転がりながら、いろんなギルドでもらってきた紙を取り出した。
町の情報が書かれているメモだ。
「ご主人様~、それはなんですか~?」
「これにはいろんな町の情報を書いてあるんだ」
「面白いですか~?」
「これを見て次に旅行に行く町を決めようと思ってな」
「私も見たいです~」
小声で返事をしながら、俺の横に寝転がって覗き込んでいるリワンにメモを数枚渡した。
簡単にメモを確認した後、明かりを消して眠りについた。
◇
「おはようございます」
少し早く目が覚めてしまい、台所で顔を洗っているとレイアが後ろから声を掛けてきた。
寝起きだというのに相変わらず美人だ。
「おはよう、早起きだな」
「少し早く目が覚めてしまいました」
「寝れなかったのか?」
「いいえ、良く眠れましたよ」
特にやる事も無いので、そのまま朝食の準備を始めた。
レイアも隣で手伝ってくれている。
「レイアはヒトミを起こしてきてくれ」
「わかりました」
「俺はリワンを起こしてくる」
爆睡しているリワンを叩き起こすと、ヒトミが目をこすりながら隣の部屋から出て来た。
2人に顔を洗わせて、みんなで朝食を食べながら今日の予定を話し合った。
「俺は今日からまたクエストに出掛けるけど、みんなはどうするんだ?」
「私はレイアに町を案内するわ。リワンちゃんも一緒に行きましょう」
「はい~」
「俺の昼飯はいらないから」
「わかったわ」
ギルドでクエストを確認してから、馬に乗って狩りに向かった。
同じ魔物ばかり狩り続けるのもなぁ、、、
明日は早起きして、もう少し遠出してみるか?
たまには魔物を狩る以外のクエストもいいかもな?
夕方になってギルドに戻り、他のクエストを探してみたが特に目新しい物は無かった。
そうだ指定クエスト、やろう!
このクエストの存在を忘れていた。
別のボードに貼られているDランクの指定クエストを確認すると、その中に護衛の指定クエストがあった。
えーと、薬草採取の護衛か、、、
わざわざ自分で行かなくても取って来てもらえばいいのに、、、
まあいいや、これにしよう。
受付に指定クエストの紙を持って行き、手続きを済ませる。
明日、出発の日時などの詳しい内容をギルドで打ち合わせするらしい。
今日の報酬を受け取って、家に帰った。
「ただいま」
「おかえりなさい~」
「遅かったわね」
「ちょっと頑張りすぎたか?」
みんな俺の帰りを待っていたみたいだ。
テーブルには夕食が並べられていた。
「レイア、町はどうだった?」
「のんびりとした静かな所ですね」
「みんなレイアをジロジロ見てたよね」
「美人の宿命だな」
「そうではなくて、私がエルフだから珍しいのでしょう」
「それもあるかもな」
夕食後、水魔法の練習を始めた。
氷を溶かしてから風呂を沸かすのは面倒だからだ。
=《水魔法スキル》を獲得しました=
おっ、久し振りにこの声を聞いたな。
「魔法の練習ですか?」
「そうだよ、もっと楽に風呂を沸かしたいんだ」
「朝から夕方までクエストをして、夜は魔法の練習なんて凄く頑張るんですね」
そう言われてみれば頑張り過ぎのような気もするが、なぜか嫌じゃないんだよな。
—————週2、3回程度の更新になります。